教職者K

教育について考えるブログ。

一寸先はパニック。

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私のいる地域では中総体に代わる代替大会が行われることが先日新聞で発表されたのである。

 

その発表の仕方がなかなか面白く,

 

「○○市,中総体代替大会開催決定!!」

 

とでかでかと市の方針が書いてある隣に,

 

「○○市,中総体初の中止!!代替もなし!!」

 

と隣の市町村の中止を知らせる一文も載っていたのである。

 

それこそブレーキとアクセルを同時に踏みような記事だったのだ。

 

 

学校関係者でない方からすると,「3年生がけじめをつけるためにも大事」「大会はあった方がいい」という人も多いと思うのだが,いざ計画を立てる身となると,これがなかなかに大変なのである。

 

まず新聞が出てから結構な数のご意見がすでに学校のもとに来ている。

 

言わずもがな感染が心配される中での開催に不安を感じている方からの疑問の声である。

 

その気持ちは勿論わかる。これで感染が広がる危険性だってあるのだ。

 

(逆にあの記事でなんでうちはやらないんだというご意見もあったことだろう)

 

更には競技のルールについても,感染症対策を意識したものとなるのでいつもと勝手が違う部分がある。

 

例えば「ハイタッチ禁止」となると,そういう一つの動作に子どもの集中力が使われるので,他への集中がおろそかになり,ケガにもつながりやすくなってしまう。

 

また熱中症も心配だ。

 

7月の熱い時期で,かつ空調も整っていない場所での大会の開催は想像以上に酷である。更には子ども達は約三か月家に閉じこもっていたこともあり,体力も相当落ちている。何人か倒れるのは間違いないだろう。

 

では当の子ども達はどう思っているのか?

 

これがまちまちなのである。

 

大会の開催を喜ぶ生徒がいる一方で「レギュラーになれないのが分かっているから,もう受験勉強したい」「感染が怖い」という声もある。

 

こうなってくると必然的に,

 

やりたい人だけでやりましょう

 

という大会になるのだと思うのだが,そうなってくると団体競技の場合チームが成り立たなくなる可能性があるわけである。

 

中学生の場合どこの部活も人数はぎりぎりの中でやっているのが実態だ。やりたい人は申し出ようといった結果,子ども間、保護者間で余計な軋轢を生む可能性が考えられるのである。

 

つまり,我々指導者は今から子ども達を連れて薄氷の上をわたろうとしているわけである。

 

もし万が一その薄い氷が割れてしまった場合,

 

仲間割れ…

 

大けが…

 

コロナ感染…

 

クラスター発生…

 

信用失墜……etc

 

 

という取り返しのつかない事態にもなりうるわけである。

 

よって非常に多くのリスクを抱えての開催になるので,正直やらない方が余計な心配はしなくて済むところもある。

 

しかし、これは個人的な意見なのだが,いつまでもリスクがゼロになるのを待つ生活というのは限界があると思うし,コロナと共に生きていくという意味でもやれるならやった方がいいと思っている。

 

私がいる地域は感染者の報告も出ていないし,県内で見てもここ一ヶ月感染者は出ていない。相当落ちた子ども達の体力を取り戻すという意味でも部活は有効だろう。それで救われる子がいるのも事実である。

 

しかしながら,毎日神経をすり減らす練習になるのは間違いない。

 

来週から練習が始まるが,どうなっていくのか不安である。

 

十分に気をつけて指導に当たりたいものである。