今週は大会があったので,そのことについて書いてみたい。
今年はコロナの影響でどこの市町村も中総体の中止を発表。そんな中で私のいるところはぎりぎりまで議論を積み重ねた上で中総体を決行したのである。
無観客,握手なし,ボールの消毒,など様々な対策をこらした上での例年にない大会となった。
子ども達は新人戦で負けているので,最後を優勝で飾ろうと必死にこの一ヶ月練習に取り組んできたのだった。
私は子ども達の勝利ももちろんだが,感染が広まらないか,もっというならお揃いの靴下が間に合うのかが一番心配だった。
(私のせいで発注がぎりぎりになってしまったが,なんとか前日に届きました。本当によかった…。←アホか。)
さて大会の方はというと,結論から書くと,優勝することが出来た。
新人戦で負けた相手を倒し,全て危なげなくストレート勝ち。子ども達はうれし涙で最後を迎えることが出来たわけである。
うちのチームはエースの運動能力が非常に高く,裏エースも170センチを超える高身長からコートの真ん中に強烈なスパイクを打つ。
なので,どうしてもそこに視線が集まるのだが,本当の勝因はそこではないと私自身は思っている。
3年生で一人だけ,これまでずっとレギュラーになれなかった子がいたのである。
運動が苦手で,練習についていくのもやっとなタイプ。その子は退部者が出たことによって最後の最後,この大会でようやくレギュラーをつかんだのである。
運動は苦手なのだが,とにかく真面目。他の子が生徒会や他の活動で練習に居ない時もサボらずに練習に取り組んできた。
この大会はその子の初舞台だったのである。
試合では,運動の苦手なその子がレギュラーとして練習してきたスパイクを何本も打つ。
パワーは無いので全てレシーブされてしまったが,彼女がスパイクを打っていることそのものが3年間の努力の証だった。
そしてサーブミスをしない。ミスが許されない場面で確実にサーブを入れた。
他のチームもエースが凄いスパイクを打つのは一緒である。
でもそれ以外のメンバーのミスがうちのチームは少なかったのである。
だから,私はエースももちろんだが,そういうサポートメンバーの頑張りこそが勝利の要因だったと思う。
最後のあいさつでその子は「これまで頑張ってきて本当に良かった…」と言いながら涙を流していた。
開催に賛否がある大会なのは間違いないが,私は子ども達のそういう姿が見れて心から良かったと思う。
私は上手いプレーが見たいのではなく、人が成長する瞬間が見たい。
だからプロの試合を見ているより中学生の完成していないバレーが好きなのだ。
本音を言えば県大会でも子ども達の姿が見たかった。
あと2つ,いやあと3つ勝つことも出来たチームだと思っている。だからここで終わりになってしまうことに寂しさを感じる。
しかし,この大会ならではの良さもあったように思う。
今までは夏の大会と言えば,必ず負けて終わりだった。
しかし,今年に関しては初めての勝って終わりである。例年なら全国大会を優勝するチームでしか出来ない経験をすることが出来たわけである。子ども達の満足そうな顔を見ること以上に嬉しいことなんてない。
コロナで子ども達も色々と不安のある毎日を過ごしているわけだが,
バレーを通じて得た経験が子ども達の今後の人生の糧になっていくことを,指導者の一人として願うばかりである。