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「学校経営」の本質とは?進学実績から考える学校のブランド力

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学校における「経営」の意味とは?


学校現場では「学級経営」や「学校経営」といった言葉が頻繁に使われます。ただ、企業と違い、生徒は基本的に「何もしなくても集まってくる」ため、私自身、これまであまりピンときていませんでした。

 


しかし、中高一貫校で働くようになり、受験を経て生徒が入学してくる様子を見ていると、受験者数や倍率が学校の人気=ブランド力 を示していると実感するようになりました。

 


もし不祥事やいじめ問題が報道されれば、受験者数は激減するでしょう。これは企業でいう「評判が悪くなり、商品が売れなくなる」のと同じ構造です。

 

つまり、学校も経営的な視点が求められるのです。

 


進学実績が示す「学校のブランド力」


受験生や保護者が特に気にするのは進学実績 です。実際に今年のデータを見てみると、近県のすべての進学校の中で最も高い合格実績を出しているのは中高一貫でも私立でもなく、伝統ある公立進学校 でした。


これは意外でした。

 

なぜなら、中高一貫校

 

✅ 小学生の段階で優秀な生徒を確保

✅ 数学などを先取り学習

✅ 高校受験がないため、大学受験に専念しやすい

 

という圧倒的なアドバンテージ を持っているはずだからです。また私立も生徒を集めたり施設投資の点でも優位にあります。

 


にもかかわらず、公立進学校が高い実績を出している。この理由を考えてみました。


「伝統」が生み出す圧倒的な強み

 


その公立進学校の特徴として、次のような点が挙げられます。

 


✅ 医学部志望者向けの特別授業 を実施

✅ 厳しい登山研修 など、団結力や忍耐力を鍛える行事

✅ 過去の卒業生が積み上げたブランド力

 


これらは、単なる「受験勉強」だけではありません。特に登山研修のような「理不尽とも思える伝統行事」は、新しい学校では簡単に真似できない ものです。

 

同じことを形だけ真似しようとしても保護者や生徒からクレームが飛んでくることでしょう。しかしながらそれがその学校の伝統であれば許される。みんなが分かった上で入学してきているからです。

 


企業の例で言えば、「老舗の和菓子屋」と似ています。

✅ 長年の信頼がある からこそ、買い続ける人がいる

✅ だからこそ、さらにブランドが確立される

 


伝統のある学校が生徒を集め続けるのも、これと同じ構造です。

 

どう頑張っても時間は圧縮できないので、伝統があるというのはそれだけで他者が真似できない圧倒的な強みになるわけです。


中高一貫校の課題:「タピオカ化」の危機


一方で、中高一貫校の増加により、「どこでも似たような教育をしている」状態になりつつあります。これは、タピオカブーム と似ています。

 


✅ ある時期、中高一貫校の人気が高まり、新設校が急増

✅ 競争が激化し、差別化が難しくなる

✅ どの学校も同じような取り組みをしているため、「どこでもいい」と思われる

 


実際、私の学校も開校当初は倍率10倍を超えていましたが、現在は3倍程度まで落ちてきています。

 

それに伴って進学実績においても少しずつ落ちてきている印象があります。

 


このままでは、ブランド力が埋もれてしまう可能性があります。

 


学校経営に求められる「差別化戦略


では、中高一貫校が生き残るためには何が必要か?

 


✅ 明確な特徴(尖った強み)を作る

✅ 進学実績だけでなく、学校独自の魅力を打ち出す

✅ 新しい取り組みを積極的に導入する


例えば、

 

✔ 医学部や海外大学に特化したコース

✔ AIやプログラミングを活かした探究学習

✔ 企業と連携した実践型教育

 


こうした「他校にはない特色」 を生み出さなければ、今後は淘汰される可能性があります。


学級経営も「経営視点」が必要


これは学級経営にも言えることです。

 


私は以前、ある先生から「隣のクラスより良ければ大丈夫」という言葉を聞きました。

 


✅ 保護者も生徒も、他のクラスと比較する

✅ 「あのクラスがいい」と思われるクラスには、生徒が集まる

✅ 学年全体の雰囲気も、そうした積み重ねで変わる

 


学校全体の経営も、学級経営も、結局は「どこよりも魅力的であること」が求められるのです。

 


まとめ:学校経営に必要なのは「ブランド戦略」

 


✔ 伝統校は「老舗のブランド力」を持ち、進学実績を維持

中高一貫校は「タピオカ化」し、差別化が難しくなっている

✔ 生き残るためには「他にはない特色」を作る必要がある

✔ 学級経営も同じで、「他のクラスより魅力的」であることが大事

 


「教育の現場に経営視点を持ち込む」。

 

これからの学校に求められるのは、まさにそうした戦略なのかもしれません。

 

ビジネス書とかもっと読んどこうと思います。

 

本日も読んでいただき、ありがとうございました!