教職者K

教育について考えるブログ。

中高一貫校のメリット・デメリットを現役教員目線で書きます。

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受験シーズンが始まりました。中高一貫という選択肢が増えてきたので、うちの子も来年は中高一貫を受験させようか、なんて考えてるご家庭も多いと思います。

 


今回は中高一貫のメリットデメリットについて教員目線で書いてみたいと思います。

 


進路選択の際の皆様の参考になれば幸いです。

 

 

 


先取りができるので大学入試に強い

まずこれなんですけど、多くの中高一貫校で数学の先取りをしているので、数学については非常に強い学校が多いです。中学校3年生の段階で高校1年生の1Aの勉強に入っていたりするので、高校2年生の段階までにほぼ数学のカリキュラムの全てが終了します。

 


そうなると高校3年目を大学受験対策に当てられるので、ほぼ浪人してるのと同じ位に時間のゆとりができるわけです。数学はどこの学校でも受験の上で非常に重要になっていますので、とても有利であるといえます。

 


他にも社会科だと中学校で習う部分と高校で習う部分が被っているところもあるのですが、一貫校の中には中学校までの段階で中学の部分の履修を必修にしていない学校もあります。時数にゆとりがある教科において中学の段階で高校の内容を取り扱っているところもあったりします。


つまり、高校受験対策をする必要がなく、大学受験に必要な科目に早い段階から集中できるわけです。


6年間大学受験にかけられるというのは、中高一貫校を受ける上で最大のメリットであるといえます。

優秀な教員が多い

次に優秀な教員が多い。


学校にもよるでしょうが、地方の一貫校の場合、教員側も子供の学力の高さに対応出来る人が集められます。これまで見てきた人の中にも東大出身者が何人かいたりと、普通の学校ではまず出会えないような高学歴で力のある先生がいます。(私は違いますよ)


どんな教員がつくのかというのは子どもを取り巻く環境の一つとして非常に重要ですし、教員の姿というのは子ども達のロールモデルにもなります。


優秀な教員に会って人生の可能性を広げる、その確率を上げるためにも中高一貫校は良い選択肢であると言えるでしょう。


文化系に強く、幅広い経験ができる

また経験できる幅も中高一貫の方が広いと感じます。受験している生徒は勉強熱心な子が多いので、そういう同級生の子達から刺激を受ける事も多いです。


また特に文化部では小さい頃から音楽経験を積んだ子達が集まってチームを組めるので、吹奏楽や合唱などは成果をおさめやすいです。


そうなると学習や文化系の大会は全国大会を目指しやすいので、子ども達が特殊な経験を積みやすいです。そういう特殊な経験はそのままAO入試などで自分の武器として語る事が出来るので、この経験もまた入試に有利に働くことになります。

 


また修学旅行で海外に行くところもあったりするなど、他ではできない体験を出来るところも大きな魅力ですね。


モデルとなる子が多い

また様々な場面で高校生や年上がモデルになる事も他にない魅力です。


部活動や中高一緒に活動したり、本来中学にはない行事を体験する事ができます。中1と高3では成長に大きな差がありますが、年上と接する事で進路選択にも参考にできますし、また自分が上の代になった時にも異年齢集団との触れ合いはプラスになる場面が多いように思います。

 

学習に取り組む真面目な子が多いのでトラブルも普通の学校より少ないと言えるでしょう。

 


この辺りがメリットとして挙げられるでしょうか。では次にデメリットについて挙げます。

 


主役になりづらく、運動系に弱い

中高一緒になるので、上の子に役割が回ってしまう事が多いです。年齢差で言えば小6と小1の差があるので、どうしても役回りは高校生が持っていく事が多いのです。

 

なので生徒会活動や行事を通して生徒が感じる充実感は普通の学校の方があると言えるでしょう。また学習を優先して生活している子が多いので、運動部(特に団体競技)は勝ち上がるのが難しい側面があります。


コストがかかる

またコスト面でもデメリットがあります。合格する子は小学校4年くらいから当たり前のように塾に通っています。


単純に通うだけでなく、テキスト代もかかります。また面接対策や小論文対策など、特別講習を受ける事によってさらに費用がかさみます。


また合格してもそこまでにサンクコストがかなり発生しているので、明らかに学校が子供の実態に合っていなかったとしても保護者も本人も進路変更という選択が取りにくくなります。(お金積みはじめたら、クレーンゲームをやめられないですよね)

 

なので、実際学校に来れていないにも関わらず、何年も留年したままになっている生徒もいます。

 

なので、その子が本当に向いているのかどうかは受験前によく見極めたいものです。


学校まで遠い

また学校まで遠いのもデメリットになると思います。体力的に弱い子は朝学校に来るのも一苦労だったりしますし、新幹線で通っている子もいますが、交通費もばかになりません。もし不登校になっても他の子のサポートをもらったり担任の先生に家庭訪問してもらうことも難しくなります。


また大きな災害が起こった際に連絡が取れなくなったり、帰って来れなくなる可能性もあります。なので、いざという時にはどうするのかよく話をしておく必要があるでしょう。


受験期に面倒を見てもらえない

最後にこれも挙げられます。他の学校と違って入試があるので、その期間は学校が半日になったり休みになる事が多いです。


先生達もその期間は入試にかかりきりになるのでその間は自分で学習を積み重ねたり、トレーニングをする必要があります。


コツコツと自力で努力できる子は良いですが、一度合格すれば6年間は受験もないので目標をもてずにダラダラしてしまう子も発生します。

 

ということで書いてみましたが、このようなメリットデメリットを踏まえた上で自分のお子さんが本当に中高一貫に向いているのかはよくよく見極める必要があるでしょう。

 

皆様の進路選択の参考になれば幸いです。

 

読んでいただき、ありがとうございました。