白眉最良

教員が書く日々のあれこれ。

ギフテッドの子どもたちはどのような特性を持っているのか。

 

 

 

皆さんは「ギフテッドの子ども」と聞いて、どのような子をイメージするでしょうか。

 

おそらく、とてもIQが高い天才のような子を思い浮かべるかと思います。


実際に私の教え子たちの中にも、ギフテッドの子が何人かいます。

 

彼らはIQが非常に高く、150前後の数値を出します。

 

難解な数学の問題を一瞬で解いたり、他の子が何時間もかかってもできないようなパズルを見ただけで解いてしまうような、まさに天才的な頭脳を持っています。


しかし一方で、彼らはとても暮らしにくそうで、周りの生徒と合わせるのがとても苦手な部分もあります。

 

実際に私が見てきたギフテッドの子どもたちは、皆不登校の傾向を抱えていました。

 


「彼らはどういうものの見方をしているのか」「どんな特性を持っているのか」

 

これは意外と世の中に知られていないのではないかと思いました。

 

本を読みながら学んだ部分を引用して紹介します。

 

 

本からの引用

 

 

お手伝いや片付け、興味のない教科の勉強などには無関心で取り組もうともしません。好きなことには没頭しますが、ちょっと失敗してしまうこともあります。情熱を持って始めたはずなのに、すぐに飽き、長続きしない傾向があります。

 


ギフテッド児は、興味がない授業は聞こうとせず、地道な努力も苦手です。一方で興味があることには、知的に高い発言や難解な質問をし、先生が対応しきれず「生意気な子」と否定的に見られ、先生との関係がうまくいかないこともあります。

 


ギフテッド児は、全ジャンルにおいて優れているという子は少なく、特定の分野で高い能力を発揮します。得意・不得意のギャップが非常に大きいのです。

 


ギフテッド児は、同学年の子どもたちとは話が合いません。学習能力が高い反面、社会性の獲得が遅いため、小学生の時期には相手の状況や気持ちを想像することができず、自分の興味あるテーマだけを話して周囲を引かせてしまうこともあります。

 


また、子どもたちは会話だけでなく、サッカーやバスケ、ダンスなどのスポーツを通しても絆を深めますが、ギフテッド児は協調運動が苦手で、友達との共同作業もうまくいかないことが多いです。

 


ギフテッドの中にはスムーズに社会生活を送るタイプもいれば、発達障害と診断され医療が介入するタイプもいます。こうした場合、二重の困難を抱える子どもを「2E」と呼びます。

 


ギフテッド児の才能を開花させるには「高い知能」「創造性」「課題へのコミットメント(やり抜く力)」という3つの輪が必要だとされています。

 


さらに、彼らが学習習慣を積み上げにくい大きな原因として「過度激動」という特性があります。これは環境からの刺激に対する感受性が非常に高いために生じる強い反応で、ポーランド精神科医カジュミシュ・ドンブロフスキーによって提唱されました。過度激動は「精神運動性」「感覚性」「想像性」「知性」「情動性」の5つに分類されます。

 


ギフテッドや2Eの子どもたちは、神経発達の段階の違いから、TOM(心の理論)の獲得が遅れやすく、小学校の集団生活から外れてしまうケースが多いのです。

 


ギフテッド児は、知的活動に関する「認知能」が高い一方で「社会能」が弱いため、両者のバランスを取る必要があります。

 

社会能が最も活性化するのは「ぼーっとしている時」、つまりデフォルトモードネットワーク(DMN)が働いている状態ですが、ギフテッド児はこのDMN状態を作るのが苦手です。そのため睡眠障害を起こすケースが多く、一般の人に比べて4.67倍も睡眠障害に陥りやすいという調査結果もあります。

 


ギフテッドは感覚過敏や忍耐困難など、さまざまな困りごとを抱えていますが、障害や疾患とされていないため医療費助成の対象にはなりません。

 

 

 

私自身の実感

まさに、私が見ている子どもたちも、得意な教科には驚くほど集中する一方で、漢字練習のような単純な作業には「なぜこんなことをやらなければならないのか」と感じ、ストレスで暴れてしまうことさえあります。頭の考えることのスピードに手が追いつかないことも大きなストレスになっているようです。

 


教師の目から見ても「一部の教科はとんでもなくできるのに、他は全然やらない」ため、サボっているように見えることもあります。

 


現在の日本の学校システムでは、特定の教科だけ突出していても、他の教科をこなせなければ卒業が難しい学校も多く、ギフテッドの子どもたちの能力を正当に評価する仕組みが整っていないのが現状です。

 


ある医師は「能力が高すぎるということは、ある意味で知的障害でもある」と話していました。

 

私も教育に携わる一人として、彼らの困難さを「サボり」ではなく「特性」として理解し、どう支援していけるかを考えることが大切だと感じています。

 

 

まとめ

 

今回は、ギフテッドの子どもたちについて本から学んだことや、私自身が現場で感じたことを紹介しました。少しでも皆さんに実態を知っていただければ幸いです。

 


本日の記事は以上です。

 

ご覧いただき、ありがとうございました。