どうも大仏です。
大仏先生@ほぼ毎日ブログを書く教師。 (@sunostrism) on Twitter
昨日に引き続きこちらの本を読みながらゲームになぜ子ども達はハマるのかを書いてみます。
- 作者: ジェイン・マクゴニガル,妹尾 堅一郎,武山政直,藤本 徹,藤井 清美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: 単行本
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ゲームの可能性
「ワールド・オブ・ウォークラフト」というゲームがあるんですが,世界で500億時間プレイされてるんですね。これは年にすると,593万年,つまり人類が誕生したから今までと同じくらいプレイされてるんです。
控えめに言ってすごくないでしょうか。何がそんなにもゲームに子ども達を惹きつけているのでしょうか。
またある音楽ゲームについては,経験したプレイヤーが現実の楽器の練習を始める確率が上がったというではありませんか。
これを転用できれば,例えば「選挙ゲーム」なるものを授業で考え出してそれが面白ければ,若者が選挙に行くようになるかもしれないじゃないですか。
私はゲームのその辺りにすごく可能性を感じているんですよね。
ゲームの4つの特徴
そもそもゲームとはなんなのか?
という話なんですが,ゲームには以下の4つの特徴が共通してあると言えるようです。
以下の四つです。
・ゴール
・ルール
・フィードバックシステム
・自発的な参加
です。
わかりやすくゴルフで例えてみましょう。
ゴール…他の参加者より少ないスコアで回る。
ルール…例えば「手でボールは運んではいけない。」などの制約。一見邪魔な制約だが、これがあることで面白くなる。
フィードバックシステム…スコア。パー,ボギーなど結果がすぐ分かる。ゴルフではそんなフィードバックが明確。
自発的な参加…言わずもがな。誰もゴルフすることを強制していない。(まぁ強制される時もあるか笑)
という風にあてはまるわけですね。
SNSとかブログとかもまさにこれに当てはまるわけで。私もどっぷり浸かっていますが,ハマってしまうのはある意味でそれがゲームだからかもしれません。
学習はゲームになり得るのか。
では学習とはゲームになり得るのでしょうか。
上のように考えると,ゴールとルールという点では学習にも共通点があるように思うのです。
例えばテストであれば,「いい点を取る」というゴールがあり,「カンニングしてはならない」というルールがあるわけですから。だから勉強って面白くなる要素は絶対にあると思うのです。
ただし,フィードバックシステムと自発的な参加については弱いところがあると思います。
まずフィードバック。
昨日のブログにも書きましたが,教育の場面で適切なフィードバックが出来る指導者や保護者というのは案外少ないんじゃないかと思うのです。
(偉そうに書いてますけど私も出来ているのか自信ないですからね)
それに多くの子にとって例えば自分が問題といたとしてもそれが出来ているか出来ていないかがわかっていません。
特に学力が低い子は答えを見ても何が何だかわかりません。つまり,フィードバックが自分の力で出来ないんですね。
さらに義務教育です。もともと学習したくない,他に楽しいことが世の中にいくらでも溢れている時代です。
まだ未熟な子ども達にその重要性が分かるのかというと,なかなか難しいものがあるように思います。
ゲームは完全に反復可能な障壁
そんななかでゲームは自分の行動に対するフィードバックがスキルポイントや報酬といった目に見えやすい形で行われるわけです。
そして同時に本の中ではゲームと現実の違いとして「ゲームは完全に反復可能な障壁」と書いてありました。
つまり失敗しても何度もやり直してついにクリアして自分の成長を実感できるわけです。
しかし,現実(学習)はどうでしょうか。定期テストで悪い点を取ったらそこまで。
受験に落ちたら一年後…
そこまで待てないという子も多いでしょう。
つまり,反復できないという状況が子ども達を勉強嫌いにさせている可能性があるのです。
麹町中の取り組み
このブログでも何度も登場してきているこの本なんですけど。
学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―
- 作者: 工藤勇一
- 出版社/メーカー: 時事通信社
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この中学校は定期考査を廃止して単元テストをこまめに実施。
しかも,生徒の希望があればテストを何度でも再チャレンジ可能だというではありませんか。
つまり,そうやって何度もチャレンジして子ども達は力をつけていくことができるわけです。
ゲーム的な観点から考えてもこの取り組みは非常に理にかなっていると言えます。
それを参考にして再チャレンジ可能な小テストを私も実施しています。
しかし、残念ながら全員がクリア出来るまで何回もチャレンジ出来るほど時間の余裕がありません。テストだけではなく授業内容を進めないといけないからです。
また評価の観点からも難しいところがあります。最終的にみんなが満点を取ったとして、全員に5をあげたとしましょう。
現在のシステムではそれでも問題ないのですが、実際のところ、
「あの学校の子達はみんな5」
となると公教育の公平性から考えても大きな問題があると言えます。
なので、そもそもの受験のシステムにも変革が必要なんだろうなぁと感じております。
(続きます)