受験シーズンですね。
以前「受験の時に漢字が分からない時はひらがなで書いても良いですか?」という質問を生徒から受けた事があります。
塾とかだと「漢字を間違えると減点になるからひらがなで書け」と指導しているところもあるようです。
このような場合、どうすべきなのか。今回は私なりに答えてみたいと思います。
テストが行われた際に、採点者はその時々でルールにブレがないように、はじめにルーブリックを作成しています。
そしてそのルールに基づいて誰が採点しても同じ点数になるように何度もチェックしています。
例えば漢字に関する事であれば以下のように採点者同士で最初に話し合って基準を決めます。
漢字で正確に書けているもの…文句なしの◯。
ひらがなで書いているもの…減点1
漢字が間違っているもの…減点1
漢字が間違っており、ふりがながあっているもの…減点1
論述の問題の中で漢字が間違っているもの…減点1。
(同一の漢字が間違っていてもそれ以上減点しない。また漢字ミスによる減点は一問の中で最大で3点までとする。)
みたいな感じですね。あくまで例ですが。
なので最初の漢字でなくても良いのか?という問いに対しては「減点される事もあるからきっちり漢字で書けるようにしておいてください」というのが正しい返答になるでしょう。
この辺の採点の基準というのは学校ごとに決められたりする事が多いので、例えばひらがなでも書けていれば◯とする学校もあると思います。
しかしながら、進学校であればひらがなと漢字であればそこに受験者の優位な差があるととらえ、減点の対象になるケースも少なくありません。
だから受験用語は漢字できっちり確認しておくべきですね。
また、このようにどう採点されるのかというのをイメージしておくというのは、受験勉強にとりかかる上でも学習の仕方が変わってくるので、案外大切な点であると私は思っています。
ちなみに論述問題については次のように採点されていきます。
次の問題は2024年の北海道の社会の公立入試問題です。
この問題が5点満点だった場合、皆さんはどう採点するか考えてみてください。
これについてもルーブリックが作られます。
これは1939年と1949年の変化ですから、終戦にともなうGHQの改革によって日本がどう変化したのを問うています。言わずもがな農地改革について聞いている問題ですね。
この場合、どのような変化が見られたのか、その理由となった政策に触れて書けと書いてありますから、それに基づいて次のように私なら採点基準を作ると思います。
①「農地改革」という語句を用いているか…1点
②農地改革という政策ついて説明できているか…2点。
③農地改革により自作農が増えたことについてグラフから読み取って記述できているか…2点。
計5点。
です。
これに基づいて採点を行います。
例えば生徒の回答が
「農地改革により自作農が増えた」
であれば②がないので3点の評価になります。
また「政府が小作地を買取り、売却したことで自作地が増えた」では①がないので4点になる。
こうやって決めておくことでだれが採点しても同じような点数になり、公平性が保たれるわけですね。
これはどの教科でも同じです。ルーブリックに基づいて公平に採点は行われます。
ですから言い換えれば
どんなルーブリックがつくられるかイメージが出来るか
でテストの結果が変わってくるということですね。テストの解答を見ているとこの事がよくわかっていない解答がどんどん出てきてその度に減点がされてしまいます。
例えば記述問題で2点ずつ取り逃がしがあったとして。記述問題が5問あれば10点の差になります。
だからどういう風に採点されるのかというのは受験者自身が知っていないといけないのですが、これがよく分かっていない子が多い。
もっと言うなれば、教員もわかっていません。
なぜなら、教わる機会がないから。
教員を養成していく過程で授業作りについては学びますが、テストをどう採点するかについては学ぶ機会がないんですね。
だから教員も自信を持って採点できないですし、日頃からどう点数を取らせるのか生徒に指導することもできないわけです。
この辺のことは高校の先生達が毎年入試やっていて非常に上手なので私は義務教育においても研修が必要なのではないかと感じます。
ちなみに私は社会なので社会という科目に対してなら採点できますが、英語や国語の作文となるとまた少し勝手が違うでしょうから自信がありません。
ただそれらがどう評価されるのかを教員自身が知っておくことによって子ども達への教育の質が変わるのもまた事実だと思うのです。
ということで今回はテストはどう採点されているのかっていうお話でした。
誰かの参考になれば幸いです。
読んでいただき、ありがとうございました。