今回は、「授業に東京大学の入試問題を積極的に取り入れよう!」という話をしてみたいと思います。
最近、私は実際の授業の中で東大の過去問をよく使っています。
実際にやってみると、すごく面白くて、生徒の反応もいいんですよね。これはぜひ他の先生方にもおすすめしたいなと思っています。
東大の問題が授業に使いやすい理由
まず、東大の問題って、本当に良問が多いんですね。知識だけに偏っておらず、思考力やひらめきさえあれば、小学生でも解けるような内容もたくさんあるんです。
たとえば、以前出題された問題で、「なぜ北海道や青森で風力発電が多いのか、理由を答えよ」というものがありました。
確かに、この2つの地域では風力発電が盛んですが、「なぜそうなのか?」と聞かれると、意外とすぐには答えが出てこない。
でも、考えてみると「土地が広くて確保しやすい」「台風の影響が少なく、安定して運用できる」といった理由にたどり着きます。
これは、知識を詰め込んでいなくても、地理的な視点や論理的な思考があれば十分に答えられる問題です。生徒にとっても、チャンスのある問いだなと感じます。
このように思考力さえ働かせられれば解けるものが多いのが魅力なんです。
東大の「名前」も生徒の背中を押す
それに、「東大の問題」と言えば、みんなが知っている難関大学の名前です。「これ、東大の問題だよ」と言うだけで、生徒のモチベーションが上がることもあります。
仮に解けなかったとしても、「東大の問題だし、しょうがないよね」っていう、ちょっとした諦めもつけられる。逆に、もし解けたらクラスのヒーロー。自然と自己肯定感が上がります。
つまり、「解けたらすごい、解けなくても恥ずかしくない」──そんな絶妙なバランスが、東大の問題にはあるんですよね。
授業の上ではそんな誰も傷つけないような生徒指導的な配慮も必要だと思うのです。
東大入試に込められた「メッセージ」
私は、東大の問題から「こんな人に来てほしい」というメッセージを感じ取ることがあります。
たとえば、「台湾の人に、奈良京都以外の観光地をすすめるとしたらどこか」という問題が社会で出題されたことがありました。
これに応えるには台湾の文化や気候を理解し、日本の観光地の特徴を踏まえて提案する必要があります。
模範解答では、「台湾は雪が降らないから、雪のある北海道をすすめたい」といった答えが示されていました。これは単なる知識問題ではなく、相手を知り、自国も知ったうえで提案をする力が問われている訳ですね。
そういう人を日本のリーダーとして求めているのだと感じます。
ほかにも、「『三日坊主』を英語でどう表現するか?」という出題も印象的でした。
直訳して「Three-day monk」なんて言ってしまいそうになりますが、大切なのは“意味”を英語でどう表現するか。「飽きっぽい人」「続けるのが苦手な人」といった言い換えができるかどうかです。
私自身、かつてスリランカで活動していたとき、「言い訳」という単語が現地の言葉にないことにかなり苦労した経験があります。
めちゃくちゃ子供達が遅刻してくるのに、「言い訳するな!」と言えない。でもある時「それは“理由”じゃないよ」と言い換えることで、意図が伝わることに気づきました。
そういう「言葉の本質」に気づかせてくれるのも、東大の出題の魅力ですし、実際に海外でも活躍できる柔軟な思考をもった人が欲しいのだと思います。
他にも、四コマ漫画にオチをつけて英語で物語を書く、なんていうウィットに富んだ問題もあります。
つまり、単なる「英語力」ではなく、「発想力」「センス」「柔軟性」といった力が求められている。つまり東大は、知識偏重ではなく、“おもしろさ”も含めてバランスの取れた人を求めているように感じるんです。
私は、そんな東大の「求める学生像」がすごく好きなんですよ。
東大過去問を授業で使う方法
実際に授業で使うときは、ChatGPTに「この単元に合う東大の問題ある?」と聞いてみることもあります。「○○年の入試に出ていましたよ」とすぐ教えてくれますし、使える素材が見つけやすいです。
また、これは学校にもよると思いますが、学校の資料室や進路指導室には赤本などの過去問が山ほどありますので、そこから引っ張ってきて教材化するのも手かなと。
あと最近は東大の良問を集めた本が出ているのでこういった本を参考にしています。
東大の問題を授業に取り入れると、生徒の思考が深まり、自信にもつながります。自分自身の勉強にもなるので個人的にもかなりおすすめの実践です。
この記事が、どなたかの授業づくりのヒントになれば嬉しいです。
本日も読んでいただき、ありがとうございました!