今日は、スポーツ指導の現場で「子供たちに既定の型を押し付けるべきか、それとも個性を引き出して自分のやり方を見つけさせるべきか」というテーマについて、私が最近考えていることをお話しします。
日本と海外のコーチングの違い
海外のスポーツ選手を見ると、自由なフォームで好きにやっている人が多く、各選手の個性が際立っています。
一方で、日本では幼い頃から細かく指導し、決められた型(いわゆる「型にはめる」)を強要する傾向があるように感じます。
このようなスタイルは、一見効率的に技術を向上させるように思えますが、実際には個々の本来持っている個性や独自の感覚を奪ってしまう可能性があります。
実例—ある選手のエピソード
先日、実業団に進むことになったある選手の話を書きました。
私が初めてその子を見たとき、その運動能力の高さは明らかでしたが、理論ではなく、直感や感覚でバレーボールをプレーしていました。
特にスパイクのフォームにおいて、一般的な踏み込み方とは逆の足順(右と左が逆になるような踏み込み)をしていました。
私としては、体の回転が十分に取れておらず、効率的な動作とは言い難いと感じ、何度も「足の順番が違う」と指導してきました。
しかし、その子は慣れ親しんだフォームを変えるのに抵抗がありました。
そこで、当時の全日本ジュニアユースの監督だった方に相談したところ、「海外の選手も逆足の人もいるし、そのままで十分戦える」という回答をいただき、最終的に無理に型を変えさせず、そのままのスタイルで見守ることにしました。
結果として、高校に進んだ際、その子はバレーボールではなくハンドボールという新たな競技を選択。
そこで、指導者が「逆足のままなら、左手で打ってみなさい」と促す指導をします。
この方法が功を奏し、左右どちらでもシュートを打てるという独自の技術を身につけ、大学でも活躍する選手へと成長しました。
型を教えることと個性の尊重のバランス
このエピソードから考えたのは、まず基礎となる「効率的な型」を教えることは大切だということです。
基本的な技術がしっかりしていれば、選手は最短で成果を出すことができます。しかし、同時に本来の個性を無理に押し付けて変えようとすると、かえってその子の可能性を狭めてしまうこともあると感じました。
全日本の竹下選手とお話させていただいた時にも、トスのフォームについて質問したのですが、
「骨格や筋力、指の長さなどは個々に異なります。だからこそ、統一されたフォームを求めるのではなく、その子にとって一番力が入るポイントや最適な角度を見つけ出す努力が必要があるのではないか」
という回答をもらいました。
指導者としての在り方
スポーツ指導においては、まずベーシックな技術を伝えることが大前提です。しかし、同時に子供たちが持つ「個性」や「独自の感覚」を尊重し、その個性が最大限に活かされるようサポートすることも重要だと考えます。
どんなに効率的な型でも、無理に統一しようとすると、本来の個性が埋もれてしまいます。
私自身、指導者として日々考えさせられるテーマであり、これからも各選手に合った最適な指導法を模索していきたいと思います。
まとめ
スポーツ指導は、ただ「正しいフォーム」を教えるだけではなく、選手それぞれの個性を引き出すことが求められます。親や指導者が、型を教えると同時にその子の可能性を信じ、自由に成長させる環境を提供すること。それが、子供たちが未来で輝くための大切な土台になると信じています。
難しい話ですけど、型を教えると同時に型から離れることが大事ってのが今日の結論ですね。
皆さんは、スポーツ指導においてどのようなアプローチが最適だと考えますか?
ぜひ、コメントなどでご意見をお聞かせください。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。