
「顧問は休日も練習! 無給! トラブル対応もヨロシク!」
そんな“ブラック部活動”がいよいよ終わりを迎えようとしています。神戸市ではついに『部活動の終了』を宣言。これは時代の転換点と言えるでしょう。ただ、その変化の中で、思わぬ問題も次々と噴出しているのです。
私のいる地域でも部活動の地域移行が進んでいますが、実際に運用される中でさまざまな課題が見えてきました。
今回は、その問題点について考えてみたいと思います。
① 生徒同士のトラブルへの対処
地域クラブで子ども同士のトラブルが発生した場合、誰がどのように指導するのかが明確でありません。
たとえば、休日に地域クラブで生徒同士が揉めた場合、それは誰が対応すべき問題でしょうか。
活動の母体は学校にあるため、保護者からすれば「先生、なんとかしてください」というのが本音でしょう。
しかし、教員はその活動に関与しておらず、当日の状況も分かりません。教員側としては「自分たちが関わっていない外部の活動に責任を持つのか?」という疑問があるのも事実です。
今後、地域クラブと学校の間で相談体制を構築するなど、協力のあり方を明確にする必要があるでしょう。
具体的にいうなら休日の活動で生徒の大きな怪我に関わる問題やいじめ問題が起きる可能性だってあるのです。
また地域移行が進めば学校をまたぐような生徒同士のトラブルへの対処も起こってくることでしょう。
この辺りの問題に対して誰が責任を持つのか、また地域人材はこうした技術支援だけでなく、生徒指導の機能を果たす事が出来るのか。
このあたりの問題というのは地域移行をしていく上で大きな課題であるといえます。
② 地域による人材確保の格差
地域移行が進むにつれ、都市部と地方で指導者の確保に大きな差が生じていることが明らかになっています。
特に田舎では、指導者の確保が難しく、声をかけてもなかなか人が集まらないという実態があります。そのため、地域移行がまるで進まず、「従来どおり教員が部活動を指導する」と宣言する自治体もあるほどです。
このように、地域移行は地域によって進捗に大きな差があり、それが生徒の選択肢の格差につながる可能性があります。都会ではさまざまなスポーツを選べるのに対し、地方では一部の競技しか受け皿がないという状況が生まれるかもしれません。
③ 子どもたちの学校への所属意識問題
これまで無料で行われてきた部活動に対し、地域クラブは基本的に有料になります。
そのため、「金のかかるものを子ども達に強制するわけにはいかない」という判断から部活動(地域クラブ)への参加が任意参加となる学校が増えていくと考えられます。
これにより、学校の教育活動における部活動の役割が大きく変わる可能性があります。たとえば、体育祭や文化祭など、部活動単位で動く場面は少なくありません。しかし、部活動に所属しない生徒は学校行事にどのように関わるべきなのでしょうか。
また、「部活があるから学校に来ていた」という生徒の存在も無視できません。そうした生徒たちが、地域クラブ移行後にどのようなモチベーションで学校生活を送るのかも、大きな課題となるでしょう。
④ 部活動の費用負担の問題
また部活動という学校を母体とした大きなシステムは、費用面でも一定のメリットを持っていました。
全員が部活動に所属し、会費を支払うことで、活動実績のある生徒を支援する仕組みが成り立っていたのです。たとえば、全国大会に出場する生徒の遠征費なども、こうした仕組みで支えられてきました。
しかし、今後は部活動が任意参加となり、全員が費用を負担しなくなることで、個々の負担が増えることは避けられません。
具体的には、受益者負担が原則となれば、団体競技のユニフォームを個人で毎年生徒が個人で購入する必要が出てくるなど、これまでになかった新たな負担が生じる可能性もあります。
こうした変化により、部活動の継続が難しくなり、ひいては競技の継続が困難になるケースも考えられるでしょう。
おわりに
部活動の地域移行は、教育現場にとって大きな転換期です。制度としては前進しているものの、実際に運用する中で浮かび上がる課題も多くあります。
今後、トラブル対応のルール作りや人材確保の仕組み、費用負担のあり方など、具体的な解決策を議論しながら進めていく必要があるでしょう。
個人的には少しでも負担の軽減になるのならそれに越したことはありませんし、やりたい人は副業として認められるのでそれでいいのではないかと思います。
実際これまで3時間で2400円程度だった手当が地域クラブとなれば1時間で2700円ほどになると試算されており、教員の副業としても魅力的であるといえます。
一つずつの問題をクリアして、教員にとっても子どもにとってもより良い環境が生まれていくことを願っております。