さて前にも紹介したこの本からの話です。
この「上流思考」というのは、問題が起こる前に対処しよう、という考え方なんですけど。
そんな当たり前のことをなんで多くの人々ができないかと言うと、その要因がトンネリングであるとしているわけです。
つまり、多くの人が金と時間の無さからトンネリング(視野狭窄)に陥っているということなんですね。
たくさんの問題で右往左往しているときに、本当に解決しなければならないことを諦めてしまうと。
確かに川で次々と溺れる子を助けるのに必死になっている時に、上流で子どもを川に投げ込むやつのことをなんとかしようって考えるゆとりはないですよね。
結局お金とか時間がないことで、上流にあるもっと大きな問題の根源について考えることをしなくなっているわけです。
そして、これは学校の教員も同じようなことが言えると思っています。
日頃授業も作らなきゃいけないし、部活動も教えなきゃいけない。休日もない。さらには行事の準備もして、保護者の対応も考えなければならない…。
ありとあらゆることを常に対応しなければならないとなると、そもそも問題の根本にある予防策を考えるような時間が取れません。
このことによってトンネリングが起きてしまい、未然防止ができなくなってしまうわけですね。
また、トンネリングには快感が伴うとも書いてあります。
というのも、不登校を未然に防いだ人は褒めてもらえません。何が凄いか成果が分かりにくいからです。
一方で、不登校を復帰させた先生は褒めてもらえます。それは結果的に誰の目にも明らかだからです。
なので、目の前に起こった問題を対処した方がヒーローになれると言う点もあるわけですね。
なのでまぁ我々はどうしても物事の本質ではなくて、目の前の問題に囚われがちになってしまい、トンネリングを起こすわけです。
そして、そうならないためにも、この本の中では、戦略的なゆとりを作る事が大事であると言っています。
例えば会議の時間を作って、一人一人の学習の状況を確認する。これは自然発生的には生まれないので、こういう場を意図的に作るっていうことが重要であるということが書かれていました。
ちなみに私自身も生徒指導主事って言う立場なので、各学年の生徒指導の先生に月に2回、1時間だけ集まってもらって、最近の各学年の様子とか生徒指導の雰囲気、何が課題になってるのかっていうのをちょっと考えてもらう時間を取るようにしました。
こうやって共有することで、教員同士の指導のブレとかを防ぐのが目的です。
やはりこういうことは自然発生的には生まれないので、意図的に設定するっていうことが重要だと思います。
ちなみに私は生徒指導主事なので、生徒指導っていうことについてやっていますが、例えば教科についてこういう単元構成や評価計画でいいのかとかを教科担当で話し合う時間を取ってみるのもいいでしょう。
他にも行事が始まる前にどんな問題点が起こると考えられるか、みんなで話し合って共有しておくとか。
新人の先生に最近どうなのか聞いたりする座談会を定期的に開いてあげるとか。
やっぱり忙しいんですけど、こういう場を持つっていうことが最終的にいろんなトラブルを防ぐためにもすごい重要なんじゃないかと思います。
なのでまぁ我々はトンネリングしてしまいやすいですよっていう、まずはそんな思考の癖があることを自覚することが大事かと思います。
そしてそうならないようにするためにも、意図的なゆとりの時間の設定をすると言うことが大事みたいなんで、書いておきます。
皆さんの参考になれば幸いです。
なかなか難しいと思いますが、最終的により少ない問題を解決するのはこちらじゃないかなと思いますね。
ちなみに、そもそも上流思考ってなんのこっちゃわからん、という方は先にこちらからご覧ください。
本日も読んでいただき、ありがとうございました!