どうも大仏です。
大仏先生@ほぼ毎日ブログを書く教師。 (@sunostrism) on Twitter
先日こちらの本を読みましたので,今回は概要と私見を述べたいと思います。
作者
作者は飛田基氏。『ザ・ゴール』の著者であるゴールドラット氏の提唱したTOCという理念をもとに,TOCを適用する経営コンサルタント及びライフコーチなる肩書を持ってらっしゃる方です。
ビジネス面だけでなく,教育の世界でも十分通用する本であるように思いました。
今回は私が大事だと思ったポイントを紹介していきます。
問いかけろ。
これがこの本の結論なんですが,
「問いかけろ」
です。
指示することや,答えを教えることをやめて,とにかく「子どもには問いかけませんか?」というのがこの作者の主張です。
さらに
一番良くないのは親が指示してしまい,本当は考えられる機会を奪うこと。
とまで書いているわけですね。
これ確かにそうで,その場で言ってしまうと結局子どもは理解したような顔をしてその場をやり過ごそうとします。
さらには,大人がいないと正しい行動が取れない人になってしまいます。
なので「本当に理解させる」という意味では子ども達自身に考えさせることが重要であるということは私も同意しています。
学校現場で使えそうな言葉。
では「どんな言葉で問いかけるのか?」ということが重要になってくるのですが,この本の中では様々な事例が出てきます。
その中でも特に私が使えそうだなと思ったのがこちら。
「どんなことで困っているの?」
さらに
「もし心配があるとしたらどんなこと?」
です。
学校現場でも「何か困っていることある?」と聞くことはありますが,大概の子が「無い」と答えて会話が終了してしまいます。
そこですかさず,「じゃあ,もし心配があるとしたら?」と聞いてあげる。
大概年頃の子ども達は何かしら不安に感じていることや気になっていることはあるものです。こう言われると「そういえば最近数学がちょっとわからないかも…」なんて出てくるわけですね。
生徒との距離を近づけるためにも非常に有効な言葉であるように感じましたので,今年は二者面談で生徒と話す時に積極的に使わせてもらいました。
クラウド
そして本の中では思考させる方法として「クラウド」「ブランチ」「アンビシャスターゲットツリー」が紹介されています。
今回はその中から「クラウド」という手法について説明したいと思います。
使うのはこんな図です。
(毎度すいません)
右上の行動の箱のところに,子ども達の気になる行動が入り,その下の行動の箱には,その反対の言葉が入ります。
ちょっと意味が分からないと思うので,具体的にしていきますね。
例えばこんな感じ。
友達を叩いてしまう子がいたとして,右上には「友達を叩く」その反対には「叩かない」が入ります。
叩くことによってその子が得たい要望は「自分も仲間に入れて欲しい」みたいなものです。
そして,彼は叩くことによって,最終的に自分の考える充実した学校生活につなげているわけです。
でも反対に「叩かない」という選択肢を取れば、 「トラブルにならない」ですから,それも充実した学校生活につながるわけですね。
そしてクラウドではこれを交差させて子ども達に問いかけろと言っているわけです。
つまり,
「叩いてもトラブルにならない方法ってないのかな?」
「叩かないで仲間に入れてもらう方法ってないのかな?」
「トラブルにならないし,かつ仲間に入れてもらう方法ってないかな?」
とこのようにクロスして考えることで,具体的に子ども達への問いかけが生まれるわけです。
子ども達はそこから,
「まずは入れて欲しいってことを伝えてみる」
「ボディタッチみたいな感じに柔らかくする」
なんて答えを出すかもしれません。
少なからず頭ごなしに「人は叩いちゃダメだろう!」と言われるよりも有効なのは間違いないように思います。
私見
ここまで本の私の気になったポイントを上げてきました。「子ども達に問いかける」これ大賛成です。
ただ一つ問題があって,それが,
時間がかかる
っていうことなんですよ。
生徒指導でも部活動でも考えさせることの大切さは重々承知しているんですが,限られた時間の中では教え込んでしまった方が成長させる上では早いのもまた事実なんです。
例えば今の部活時間なんて1時間もないですから,その中で
「この時はどうしたらいい?」
「君たちは今何をすべき?」
と問いかけ続けたらあっという間に時間が終わってしまう。
問いかけるのは非常に重要なんですが,考えさせることと,指示することのバランスが教育現場では大事なのかなと。
個人的には両立させるためにも
「事前に教えていて,子ども達がすでに知っていることについては考えさせる」
「知らないことは教え込む」
と線引きをして指導をするようにしています。
また,むしろ時間が取れる家庭でこそこういう「考えさせる」という教育方法は大事なんじゃないかと思いました。
ということで,概要と私見を書いてみましたがいかがでしたでしょうか。
子ども達への問いかけの幅を広げるためにもいい一冊だったように思います。
興味のある方ぜひどうぞ。
本日も読んでくださり,ありがとうございました!