これ最近読んだんですけど、超面白いのでお勧めです。
教育って「人の思考(行動)を変える」って事だと思っているんですけど、なかなか人って動かないもんじゃないですか。
でもそんな動かない人でも触媒(カタリスト)によって変える事が出来るっていう主張がまとめられた本ですね。
教育の世界にも転用できる部分があるのでかなり参考になりました。
例えばタイでは喫煙率の高さをどう下げるかが課題になったようで。
タバコをやめさせたい人にタバコを吸わせないためには、どういうアプローチが考えられるでしょうか。
「体に悪い」
「タバコをやめろ」
「税金取られるぞ」
そう本人に言ってもなかなか人は行動を変えないですよね。
本にもありますが、人にも慣性があるのです。動くものは動くけど、止まっているものを動かすのは相当なエネルギーが必要なんですね。
そこでタイのキャンペーンでは、タバコを吸っている大人に対して子供がタバコを持って近づき、「火を貸してもらえませんか?」と聞きます。
当然大人は「いやいやダメだよ、体に悪いし」「絶対ダメだよ」「君まだ子供じゃないか、自分の体を大事にしなさい」と拒否します。
そう言ってきた大人に対して子どもは「あなたは子供に対して優しいのに、自分の体には優しくないの?」と書かれた手紙を渡す。
渡された側ははっとするわけですね。
実際にその場でタバコを置いた人が多かったとか。
これは心理学の「認知的不協和」といって自分の言っている事とやっている事が一致しないと人間はモヤモヤするという心理を利用したものです。
人間ていうのは一貫性を求めるものなんですよね。だから自分が言ってるにも関わらず、行動していない事に気づけた瞬間に自分から行動を変えるわけです。
そしてそういう時の気づきというのは周りから強く言われるよりも遥かに強い原動力となって人をつき動かします。
同じように学校という教育現場でも委員会の生徒を中心に挨拶の呼びかけだったり、遅刻の呼びかけをしたりするわけなんですけど。
一番効果あるのは周りの生徒じゃなくて言っている本人
なんだと思いますね。
言ってる以上、自分が守らないことが認知的不協和に繋がるからです。
これは他の場面でも言えます。
私は部活動の練習に参加しない生徒に対して「練習に来なさい」とは絶対に言いません。
人間は言われると反発したくなる生き物ですし、強制される練習ほど辛いものはないからです。
じゃあどうするかというと、
「どうしたらもっと勝てると思う?」
と来た時に子供自身に問うて、答えさせるのです。
当然子供たちは、「もっと練習したらいい」「声を出してやるべき」「筋力トレーニングが足らない」と自分で答えを出します。
練習に参加してない子はここに認知的不協和が生まれますから、繰り返してるうちに来るようになるっていう手法ですね。
よく練習の参加率が悪いことに対してブツブツ文句を言っている指導者がいますが、強制するだけなら誰でもできますからね。
我々は教育のプロなんだから自然と子供達が動くように仕向けないといけない。
他にも認知的不協和を使える場面としては、
あえて非協力的な子を中心にすえる
ってのもありだと思っています。
合唱コンクールだとどうしてもやる気のない男子とかが出てくるものですが、そういう子をあえてパートリーダーや指揮者にしてしまう。
(ただし、これは本人が乗り気and周りも了承している時のみです)
今までやる気がなくてサボる立場だった人間が周りに対して「ちゃんとやって」と言わないといけなくなる。ここにも認知的不協和が生まれるので、サボるわけにはいかなくなるわけです。
結果的にそういう子が減ることで周りも集中して練習に取り組めるので、全体のパフォーマンスが上がるわけですね。
この本にはそんな人を動かすテクニックが他にも色々と書いてあるわけです。
特に交渉人みたいな人は人質の命がかかる状況で何とか犯人の思考を変えないといけない訳ですが、そういう時にどんなテクニックを使っているのかは本当に参考になりました。
(学校も生徒指導でギリギリの駆け引きする場面てありますからね)
またちょこちょこ書けたらと思いますが、気になる方は是非手に取ってみて損のない一冊だと思います。
(今ならKindleが安いのでお勧めです。)
またちょこちょこ覗いてもらえたら幸いです。
本日も読んでいただき、ありがとうございました!