教職者K

教育について考えるブログ。

子供の問題を大人が解決しようとしてはいけない。

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世の中全体に余裕がないんでしょうかね。

 

最近学校に色々と保護者の方々からご意見いただくことが多いんです。

 

もちろんその中にはすごく適切で,教員にとっても生徒にとってもプラスになるものもあるんですけど。

 

一部はそうでもなくて,こちらとしては非常に違和感を感じるというか。私なりにどう違和感を感じているのかをちょっと書いてみます。

 消費者意識

根底にあるのは消費者意識なのかなと思います。

 

つまり,学校がサービスを与える側で,保護者と子どもはそれを受ける消費者だと思っている方が多い。

 

製品に不良があったら販売元に電話する感覚で,学校から与えられるサービスが不満だった場合は,すぐに文句をつけていい。そう思っている方が多いんじゃないでしょうか。

 

しかしこれはちょっと違うんじゃないかなと思うわけです。

 

というのも本来教育における第一義的な責任は保護者にあるわけで。学校はそのアドバイザーであり,伴走者なわけですよね。

 

だからその子に何か問題があった時に,「学校がおかしい!」とすぐに声をあげるのはちょっと違うのではないかと思うのです。

 

まず自分の教育・取り組みがどうなのかを振り返るのが最初ですよね。

 

例えば部活がそうなんですが,教員の勤務は16:40分までで。そこから先の部活動というのは完全に教員によるボランティアなんですね。

 

(どこも当たり前のように18時過ぎまでやってますけど)

 

だから16:40分以降の練習量が少ないことに対して文句をつけるのは,まさに消費者意識だなと思うわけです。

 

なぜならその時間というのはもはや親が面倒見てもいい時間なわけだからです。

 

練習がしたいなら自分たちで練習の場を設けたり,他の地域のクラブに参加したりするなどやり方はいくらでもあるはずです。

 

しかし,「学校は全然練習してくれない」とクレームがついたりします。

 

そういう感覚がまさしく消費者意識,お客さんの感覚だなと私は思うわけですね。

親が動くことが子どもの主体性を奪う

そして最大の問題点がこれです。親が動くことで子どもの主体性を奪ってしまっている。

 

子どもが家で愚痴を吐き,それを聞いた親がすぐに学校に電話をしてくる。

 

そういう時親の姿を見て,子ども達が学ぶこととはいったいなんなのでしょうか。

 

「都合が悪いことは親に言えばなんとかなる」

「困ったら他の人が解決してくれる」

「嫌なものは文句を言えばなくせる」

 

そんなことを学んだ子どもが,大人になった時に社会にある様々な課題を主体的に解決していける人間になるでしょうか。

 

結局何かある時に「周りの人間が悪い」と周りのせいにする人間になってしまわないか心配なのです。

 

私は別に「学校にクレームをつけるのは良くない」と言いたいのではありません。

 

もちろん正当なものもあるし,子どもの力ではどうしようもない時もあるでしょう。

 

しかし,あまりにも助けを出すのが早すぎたり,本人も親も何もしていないのに助けを学校に求めてくることが多い。

 

結局親御さんの他人任せな生き方がそのまま子どもの生き方になってしまう気がします。

子どもを救うのが一番うまいのは子ども

そして大人は子どもに対して「どうしたら困っているその子を救ってあげられるのか」をあれこれ考えます。

 

しかし、私が思うに,子どもに対しての大人からの声掛けにはそんなに力はありません。

 

むしろ子ども達同士の言葉の方がはるかに効く。

 

というか,子ども達の方が子どもを助けるのが上手いと思うのです。

 

子どもというのは本当に根気強く,一生懸命他の子をなんとかしようとするんですよね。

 

私自身、中学校の頃に不登校になった子にちょこちょこ電話かけてた経験があります。

 

今思うとなんでそんなことしてたのか分からないですけど,私なりに役に立ちたいと思ってたんでしょう。

 

(向こうはどう感じてたのかは知らないけど,親御さんからはお礼を言われました)

 

それと同じことを30人抱えた今出来るかっていうと,ちょっとそこまで丁寧なこと出来ないんですよ。

 

子ども達っていうのは我々が思う以上にピュアで,根気強く人の役に立ちたいと思ってます。

 

そして,その力というのは大人の声掛けよりもはるかに効果があるんですよね。

 

だから,すぐ大人が何とかしようとするのではなく,子ども同士の力をもっと信じても良いのではないかと思うのです。

最後に

ということで,ちょっと最近思っていることについて書いてみました。

 

何かトラブルがあった時というのはある意味で「子ども達にとって,これまでにない価値観を学ぶ時」でもあるわけなんですが,周りの大人がそのチャンスを奪ってしまっていることが多いと思うんです。

 

もちろん大人が環境を整えることは必要ですが,多すぎる手助けはかえって本人の成長を阻害します。

 

その辺のバランス感覚をもった大人がもう少し増えれば学校も子どもも保護者ももっとハッピーになれるのに,と思っている次第です。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!