ではこの前の続きを書いてみます。(事前の内容が分からない方はこちらから)
学校がいじめを認知し,保護者連絡と聴き取りを終えた後にやること。ここが最重要ポイントになります。
それが,
「事実の確定」
です。
つまり,聞き取ったことを元に,「これが事実でした」と学校が確定させる作業ですね。
実際やってみて思ったのが,これがはっきりしてるかどうかで,のちのちの家庭連絡や指導に雲泥の差が出るということ。どれだけ案件が大変でもここさえ芯が通っていれば必ずなんとかなります。
ちなみに指導がもめたり炎上したりするのは,両者の言い分が異なる時です。このずれが大きいほど,もめる可能性が高い。
特に加害者側は自分の身を守るためにも平気で嘘をつきますから,ここで両者の申し出にずれが生まれ無いようにするためにも,正確に聴き取りをする必要があります。
例えばこんな風な聴き取り結果だったとしましょう。
B君「A君に社会の授業中にペンを取られました。前に死ねと言われたこともあります。帰り道に叩かれたこともあります」
この場合、事案は3つなのでそれぞれについてA君に聞きます。
(①ペンとられた②死ね発言③叩かれた)
A君はこう答えました。
A君「B君のペンは確かにとりました。でも死ねと言う発言は言っていません。帰り道には叩いたのではなく,偶然手が当たってしまいました」
こうなると特に被害者側について親も本人も納得しないことになりやすいわけです。
なのでポイントとしては
必要に応じて周りの生徒の聴き取りも行う
ことかと思います。
この場合は一緒に帰っていた生徒がいないか確認して,その生徒に聞いてみるのもいいでしょう。
「いや明らかにあいつ殴ってましたよ」という証言が他の生徒から出てくればそれを出せばいい訳です。
もしそれでもはっきりした証言が出てこない場合は,それぞれの意見と周りの生徒からの聴き取り結果を併記しておき,「学校として事実として認める部分はどこか」をはっきりさせます。
つまり,この場合でこれ以上調べても分からない場合は,
「社会の授業中にB君はA君のペンを取った」
この部分については事実として確定させるわけですね。
そしてこの確定したことを保護者に伝えます。
その際は特に加害者については本人・保護者同席の場で直接確認した方がいいようです。
というのも,家に帰ってから子どもが嘘をつく可能性があるからです。
つまり、学校では「確かにペンは取りました」と言っておきながら,家では「そんなことはやっていない」「先生はいつもひいきする」と言うケースがあるわけです。
そうなってしまうと保護者からすると「先生の言っていることと,うちの子が言っていることが違います」「先生はそうやってひいきした目で見るってうちの子が言っています」となるわけです。(無駄な手間ですね。)
だから案件が重大であるほど,直接目の前で確認した方がよりミスがないでしょう。
そして被害生徒家庭については,事実が確定した部分を伝え,残りの確定しなかった二件については,「調べた結果,どうしてもここまでしか分からなかった。」「だからせめてこの確定した一件についてしっかりとこれから指導していきたい」と伝えるわけです。
とはいっても学校側がどこまで調べてくれたのかを気にするでしょうから,この段階で納得がいくまで調べておく必要があります。
(続きます)