教職者K

教育について考えるブログ。

生徒指導提要(改訂版)の解説

12月に生徒指導提要の改定が出たんですけど。

https://www.mext.go.jp/content/20221206-mxt_jidou02-000024699-001.pdf

全部で300ページ

 

あるんですよ。誰がこんなに読めんだと。

 

なので今回は今後求められる生徒指導の在り方について説明を聞いてきたので,私が重要だと感じた点を解説していきたいと思います。

 

①上から押し付ける→子どもを中心にして主体的に考えさせる。

まずはこれです。これまで生徒指導については上から押し付けるものだったわけですね。

 

教員の価値観が正しくて,それに従わない生徒をビシバシ指導する。その結果不条理な校則が残ったりしているわけです。

 

しかし,もうそういう時代じゃないと。

 

今回の改定では校則については「校長によって制定される」としながらも「積極的な見直しをはかるべき」としています。

 

また校則については

 

・制定の背景や理由を教員が理解していること

・策定については児童生徒に主体的に関与させること

・HPなどで公開すること

 

が求められたわけです。

 

ようはこれまで「決まりなんだから守れ」としていたものを「みんなで決めたんだから守ろうね」に転換してくださいってことなんですね。

 

このようにいろんな場面で大人が画一的に決めていたことに対して生徒を参画させることが求められます。

 

生徒指導って先生が竹刀もってビシバシやるイメージが昔からあると思いますけど,そうじゃなくてこれからは一緒に考えていく。

 

そんなコーチ的な存在になることが求められているのだと個人的には思いました。

②なってからどうするかを考える→なる前の予防策を対策を大切にする。

またいじめや不登校など,これまではなってからどう対処するかの議論がされてきたわけですけど,もっとなる前に何をするかを考えるべきであると。

 

私自身経験ありますけど,不登校って一回なってしまうと本当に大変なんですよね。なかなか動けない。

 

だから今回の改定ではそういう風にならないように,そもそも分かりやすい授業しようね、とか教室に居場所があるような学級経営をしようね,とされているわけです。

 

個人的には,気になる子にはとにかくこまめに声かけたり,休みが断続的になり始めた段階でちょっとスタッフでミーティングをもって方針を考えておけるといいんだろうなって思いました。

③警察との連携

あとこれです。これまで警察に連絡するってハードルが高かったわけですね。子どもが逮捕されちゃいそうで。

 

でも今後は警察と連携をとるべきだと。

 

というのもいじめがネット上に移行してかなり見えにくくなっているわけです。そうなってくるともう教員ではどうにもならなかったりする。

 

でも警察なら例えば児童ポルノ的な画像がネットに出た瞬間に対処することができる。

 

なので被害者を守るためにも,今後は警察との連携が求められるようです。

④不適切指導の根絶

最後にこれです。

 

背景にあるのは指導死が増えていることです。指導されたことを苦にした子ども達の自殺。

 

昔みたいに人とのつながりが強い時代じゃないですし,コロナもあるからか,人から怒られたり強く指導されたりすることになれていない子が凄く多い。そのこともあるかと思いますが,指導されたことを理由にした自殺が増えているんですよ。

 

今回の改定ではそれを防ぐためにも不適切指導についての注意が出ました。

 

不適切な指導の例としては以下のものがあげられています。

 

・大声で怒鳴る,ものを叩く・投げる等の威圧的、感情的な言動で指導する。

・児童生徒の言い分を聞かず,事実確認が不十分なまま思い込みで指導する。

・組織的な対応を全く考慮せず、独断で指導する。

・殊更に児童生徒の面前で叱責するなど,児童生徒の尊厳やプライバシーを損なうような指導を行う。

・児童生徒が著しく不安感や圧迫感を感じる場所で指導する。

・他の児童生徒に連帯責任を負わせることで、本人に必要以上の負担感や罪悪感を与える指導を行う。

・指導後に教室に一人にする、一人で帰らせる、保護者に連絡しないなど,適切なフォローを行わない。

 

恥ずかしい話、これみて私やっちゃったなって思いましたね。今年一件だけ「大声で怒鳴る」,「面前で叱責」をやってしまったんですよ。

 

結局楽だったりするんですよね。そっちの方が時間もかからないし。

 

でもそれじゃダメなんだなと。相手には「怖かった」という想いが残るだけで何も成長にはつながりません。

 

なので上の例をひっくり返すと。

 

①冷静に子ども達の話をよく聞く。

     ↓

②対応をみんなで考える。

     ↓

③適切な場所で指導する。

     ↓

④フォローして帰す

 

ってことなんでしょう。

 

個人的には覚えにくいので

 

「生徒指導のレバニラ」

 

を提唱していきたいなと。こんな感じです。

 

レ…冷静に。子どもの話をよく聞いて。

 

バ…場所をよく考えた指導を。

 

ニ…人数は2人以上。組織的な対応を。

 

ラ…ラストは必ずフォローして。

 

どうでしょう、少しは頭に入れやすいんじゃないでしょうか。

 

「すぐ指導しちゃだめなんて嫌な時代になった」

 

「ここまで気にしないといけないなんて窮屈」

 

という先生もいるんですけど,私は手間でも今の方がよっぽどよくなったと思うんですよね。これまでの当たり前がむしろ子どもの人権を軽視していたんだと思います。

 

そしてですね,私自身が今勤めている学校は本当に親御さんの知識がありますから。なにかミスするとすぐ訴訟起こされてもおかしくないんですよ。

 

なので身を守るためにも正しい指導の知識を身に着けておくことが重要だなと感じております。

 

皆様の参考になれば幸いです。

 

読んでいただき,ありがとうございました!