教職者K

教育について考えるブログ。

ボーナスを早速使ってみた。

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最近の私は浮かれていたのである。

 

いわずもがな12月10日のボーナス支給日が楽しみだったのだ。

 

日ごろ多忙を極めるこの仕事だが,この時ばかりは公務員という仕事の有難みを感じずにはいられない。12月あたりから頭の中は「ボーナスをどう使うか」でいっぱいだったのである。

 

元々私は洋服が好きだ。結婚してからというもののお金はかけられなくなってしまったが、たまにはユニクロ以外のものが着たいではないか。

 

いい歳になってきたし,カシミヤのブランドマフラーを買ってみようか…

 

それとも,マルジェラの財布にしようか…

 

はたまた流行りのタイロッケンコートを買うか…

 

 そんなことを考えながら,海外のブランド品サイトのセールを見ていたのである。

 

しかし、そんな私のハッピーな気分は,一転する。きっかけは先日放送されたNHKスペシャルである。

 

www.nhk.or.jp

 

この放送の中ではコロナによって内定を失ったシングルマザーの母親が出てくる。

 

女性は3人の子どもを抱え,毎日ぎりぎりの生活を送っている。

 

まだ小さな子どもはクリスマスに一万円のキッチンのおもちゃを欲しがり,サンタクロースに「キッチンが欲しい」とお願いをする。

 

しかし,家計に余裕がない母親は買ってあげられない。

 

「買ってあげたいけど…。一万円あったとしても食費に回さないといけないし…」

 

そうやって母親は子どもの願いを叶えられない自分を責める。

 

そして行政を頼りに給付金の申請に向かうが,窓口で「内定の取り消しは給付の対象にならない」と断られてしまう。

 

母親は「ここに来れば助けてもらえると思ったのに…」と声にならない声をあげ,担当者に迫る…そういう内容の放送だった。

 

私は放送中、画面から目を離すことが出来なかった。

 

日本中に今,こういう想いをしている人がいる。そして,こういう環境の中で生活をしている子ども達がいる。

 

もしかしたら私が見ている子ども達の中にも,私が気づいていないだけでこういう状況の子はいるのかもしれない。

 

いや,これはきっと,もともとあった話なのだろう。

 

シングルマザーの生活が苦しいのも,十分な暮らしが出来ない子どもがいるのも,子育てが結局女性任せになってしまうのも,全て以前から日本にあった話である。

 

しかし,そんなこの国の問題をコロナが露骨に浮き彫りにしたのだ。

 

資本主義とは本当に正しいのだろうか…。そんなことを考えずにはいられなかった。

 

同時に私はなんだか私欲を満たすためだけの物欲にまみれていた自分が,急激に恥ずかしくなったのである。これまで見ていたブランド物は,本当に自分の生活に必要だろうか。

 

もう少し,何かの役に立つことがしたいと思い立ち,ボーナスは少しでも寄付に回すことにした。

 

色々調べてみたのだが,近くでフードバンクの活動を行っている団体を見つけたので,ボーナスが振り込まれた今日,仕事帰りに人生で初めてフードバンクに寄付をしてきた。

 

寄付先にフードバンクを選んだのは最近この映画を見たからである。

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この映画にもシングルマザーの女性が出てくるのだが,子ども達を食べさせるために必死な母親は,自分の食事を後回しにして子ども達にご飯を与えて暮らしている。

 

そして,フードバンクに行った際に目の前の食料に我慢が出来なくなり,人目もはばからずその場で缶詰の缶をあけ,母親はむさぼるように缶詰を食い始めるのである。

 

中身をこぼしながら,泣きながら缶詰を食べるそのシーンが私にとってあまりに衝撃的だった。

 

「人が物を食べる」という本来人にとって喜びである瞬間がこんなにも悲しく映ることがあるのだろうか。

 

このワンシーンから,人間にとって最も大切である「食べる」ということの重要さを痛感し,今回寄付先にフードバンクを選んだ次第である。

 

先に,「資本主義とは本当に正しいのだろうか…」と書いたが,資本主義でもいいと個人的には思う。

 

ただ,少しでも余裕がある人は余裕がない人に手を差し伸べてあげられる社会であって欲しいと思っている。

 

わずかではあるが,私が寄付したお金が誰かの役に立ってくれれば幸いである。