さて、先日の話だがボーナスが振り込まれたのである。
お恥ずかしい話なのだが、これが本当に嬉しい。私は額が書かれた紙面を何度も何度も見返してしまった。
ボーナスはフリーターとして時給で働いていた身だった私からは考えられないもの。安定して収入が入ってくるというのは、それだけでほっとするものなのである。
特別に働いたわけでもなく、今月は3ヶ月分が貰えるという珍妙なシステム。ブラックと言われる教員だが、私はボーナスがちゃんとあるだけで許せる。
ちなみにボーナスが入ったことで妻には新しいスマホを購入。スマホは高いのでずっと中古を勧めていたのだが、
「中古は嫌だ」
というので渋々新品を買ってあげた次第である。
ちなみに私がボーナスで欲しかったのがマフラーである。
普段は全身ユニクロの私だが、顔周りにちょっと良いものを置くと全身が高見えする。
30も越えたことだし、ここは大人の色気を…と色々とマフラーを見ていた。
その結果、私が「欲しい!」と思ったカシミアのマフラーがあったのだが、
残念ながらお値段が、
66000円
だったのである。信じられるだろうか、これがマフラーの値段である。
ちなみにマフラーなんてユニクロで二千円ほどで買えるだろう。このカシミアのマフラーがユニクロの30倍あったかいかと言ったらそんなことがあるはずもないのである。
しかし、見れば見るほど美しい。きめ細やかな繊維の集合体はもはや伝統工芸の域。喉から手が出るほど欲しくなってしまった。
私はトランペットに憧れる少年のように毎日スマホを覗き込んでため息をついていたのである。
「(いっそ黙って買ってしまおうか…。)」
「(配送先を職場にしてしまえばバレないか…。)」
そんなことを色々と考えていたのだが、結局決定する勇気をもてないでいたわけである。
そんな私に先日妻がこんな話をしてきた。
「ねえ、ボーナスも入ったんだし、自転車買いなよ」
と。
なんでも私が自転車に乗れば車が一台自由になるため、私に自転車に乗って欲しいらしい。しかも、もう自転車の目当てをつけているというではないか。
「これなんだけど…」
そう言って妻が見せてきた写真を見て驚愕した。
というのも、
ぼろっぼろ
なのである。
なんでも家の近くのおじさんが売りに出しているそうなのだが、もう誰がどう見ても年季が入っているぼろぼろの自転車。
自分は新品のスマホ買ったくせに、なぜ俺だけ中古なのか…。
自転車の写真を見た私はまさにこんな心境。
(ハンターハンター参照)
しかもお値段なんと、
4千円
である。
私はこの一件からこれが妻が私に使ってもいいと許容している上限の額なんだなと察した。
6万のマフラーが欲しいだと?無理に決まってる。首に十五台自転車が巻けるぞ。
結局私自身は何も買わないまま、今年のボーナスは年末の帰省やら何やらで消える予定。
ちなみに妻曰く、ボーナスで娘のために本棚と机は買うらしい。
今年も私の首元は寒いままである。