教職者K

教育について考えるブログ。

講演会に行ってきた。

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近くに某大学の名誉教授(S藤Mぶ先生)が講演に来られるということで行って来ました。

 

コロナを踏まえてのお話しだったのですが,そこでのお話が非常に勉強になったので私なりにまとめながら,皆様と知識を共有できたらと思います。

 

以下講演内容より引用です。

 

・4月の段階で世界の92%の子ども達が学校に行けない状況だった。現在でも地域によっては休校が続いており,10か月以上子ども達が学校に行けない現状がある。

 

・最大の問題はコロナの感染よりも「子ども達の学ぶ権利が奪われていること」である。

 

→世界はどう子ども達の学びを保障するかを議論している。しかし,日本だけが学校における感染症対策について議論している。

 

・経済の上で世界で一番ダメージを受けているのは日本。過去30年でGDPの伸びは1.6倍(世界平均6倍)。そこにコロナが来た。ダメージは日本経済を考える上で測りしれない。そんな中で,将来を切り開いていく子ども達をいかに育てていくかが,教員の使命である。

 

・コロナについては先が見えない。ウィルスは自然破壊によってもたらされている。過去20年で世界の森林は半分になった。これが止まらない限りウィルスが止まることはない。

 

・ウィルスは野生の蝙蝠に寄生するが,それ以外にも85万種もの動物がウィルスを保持している。ワクチンが出来ても変異し,4ヶ月しか効果が無いと言われている。開発成功率はこれまでも5%程度であり,ワクチンに大幅な状況の改善を期待することは出来ない。

 

・コロナによって社会の分断が生まれている。国家優先or人権優先なのか。その分断の中で子ども達を育てていくことになる。

 

・コロナの影響を受けて,6・7月はシングルマザーの52%が収入ゼロだった。子ども達の心理的ストレスの高まりから,大都市での子ども達のDV・無気力が多く報告されている。

 

・上海では休校があけて一週間でストレスから生徒が26人が自殺している。(ちなみにコロナによる死者は0人である)

 

・今後は子ども達の情緒的,社会的教育をより丁寧にやっていく必要がある。

 

・これまでの研究で子どもは感染しにくく,発症しにくく,重症化しにくいことが分かっている。(中国で2%,日本は0.6%程度)

 

・これはコロナがACE2?という遺伝子と結びついて発症するためである。この遺伝子は20歳を超えないと出てこないことからこのようなことが分かってきた。

 

・しかし,だから大丈夫というわけではない。1歳未満(特に生後6か月以内)の発症は極めて危険であり,子どもが感染した場合の拡散力は大人の50倍ともいわれている。なので万全の対策をとる必要がある。

 

・10月までの段階で学校でのクラスターは68件。その中で学校での感染は5%。4割が家庭内。3割が地域からだった。学校での感染を見てもそのほとんどが,感染源が教師である。

 

→つまり,学校が子どもにとって一番安全な場所である。よって今後の休校はない。

 

・現状では感染対策だけをやっている経済的に苦しい地域の生徒から学びの離脱が見られる。コロナによる不登校貧困層は5倍である。

 

・また教員側もつぶれ始めている。感染症対策,など様々な対策を求められて疲弊している。大学ではほとんどの授業がオンラインだが,その準備に多大なる労力がかかる。

 

・今こそ一人も一人にしない教育が必要である。(子どもも教員も)

 

・物理的な距離は取るが,心の距離は強く求めなければならない。

 

ここから先も講演は続いたのですが,とりあえずはコロナに関するところまで。

 

私が思っていた以上にコロナというものから子ども達を守るという意味で,学校の果たしている役割は大きいし,その社会的な使命みたいなものを私は感じました。

 

どうしても噂話やメディアからの印象だけで「学校の集団活動は危ない」というイメージを持ちがちですが,このように整然とデータを示しながら話をしてもらえたことで,私の中での心配が少し減ったように思います。

 

このコロナの厳しい時代に少しでも多くの人を救う,そしてこんな中でも生き抜く子ども達を育てていく。

 

そういう教育という仕事の責任の重さと社会的な意義を痛感させられた講演になっておりました。

 

とりあえず,今学期もあと一か月ほど。

 

講演で学んだことを生かして頑張りたいと思います。

 

読んでいただき,ありがとうございました!