さて、今後このコロナウィルスがどうなるか分からない状況である。
このコロナでの休校が今後どのような影響を及ぼすのか、私の思うところを書いてみたい。
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高学力の子は伸びる
まずメリットなのだが、今のこの学校に行けない状況でかえって学力が伸びている子達は日本中にいるはずだ。それが高学力の子達である。
なぜならば、学校に時間を取られずに済むからである。
高学力の子達は自分のやりたい学習をこの時期にどんどん自分の学習を進められる。
これはもちろん「高学歴の子に必要なものが提示できていない」という指導者側にも責任はあると思うが、現実的に低学力の子も高学力の子も満足する授業というのはかなり授業者の腕にかかる部分が大きい。
オンラインでの個別学習はそんな高学力の子達のニーズに答える可能性が高いのではないだろうか。
更には休校中の大学生をアルバイトで雇って家庭教師にしていたり、子ども達にたくさんの本を買い与えたりと、家庭によってはこの時期にかなり投資して学力アップを狙っているようである。
そんな高学力、かつ家庭が教育熱心な場合はこの時期にかなり力を伸ばすことが考えられるだろう。
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格差の拡大
一方でそれによって格差が出てくるのも事実だろう。
これは2つあると思っていて、「家庭間格差」と「地域間格差」の二つである。
家によっては日中子供たちが一人で過ごさざるをえなかったり、家庭に余裕がない家がたくさんある。
そういう子達はこの3か月間ほぼ何もしないまま過ごしているわけである。
低学力の子達は大人のサポートなしに学習を進めるのはかなり難しいものがある。ただでさえ勉強嫌いな上に,励ましもない状態で自発的に学習に向かうことはほぼないと言っていいだろう。
更には体力の低下など、健康面でも非常に心配である。(現に昼夜が逆転してしまった子もいる)
そしてもう一つが市町村ごとの差である。
ちなみに私がいる市町村では「タブレットが学校に6台」という状況である。
しかし、隣の市町村では基本的にタブレットを用いた家庭学習ができ、家庭にタブレットが無い場合は市町村から貸し出しを受けることが出来る。
家庭の単位だけでなく、市町村ごとにもICT環境に格差があることも今回の一件でかなり浮き彫りになった。
そんな格差の広がりはここから先も間違いなく出ていくことだろう。
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コミュニケーション・模倣能力の低下
学力のみでこのように書いてきたわけだが、学校という場で子供たちが学んでいるのは単純に計算や読み書きの技能だけではない。
他の生徒とのやり取りの中から、コミュニケーションだったり、相手との接し方、グループにおける共同作業の仕方を学んでいるわけである。
そういう意味ではすでに4・5月という学級づくりにとって最も重要な時期を逃してしまった。
更には行事や中総体を通して先輩たちの姿を見ることも無くなったわけである。
そうやって見る先輩たちの姿というのが来年度以降の自分たちの「型」として蓄積されていく。
その「型」を学べなかった経験が来年度以降にも影響していくのではないかと考えられるのである。
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まとめ
ということで、私の思う影響について書いてみた。
今学校では子供たちが学校に登校してきた際の動きを確認しているのだが、
「授業中の対話禁止」
「身体接触禁止」
「大人数での集会禁止」
「机はとにかく離すこと」
など、とにかく細かいところまで注意事項があり、それに留意するように上から伝えられている。
正直なところ「家でやっていたことを学校でやる」ぐらいしか今は出来ないのかもしれない。
そして、このような制限がかなり多い状況では学校に来たところで教育的な効果を上げるのは難しいのではないかと感じてしまっている。
しかし、これをポジティブにとらえるならば、
「なぜ学校に来るのか」
「どうして教室で教えるのか」
を問い直す機会なのかもしれない。
これまでの学校の当たり前を問い直す機会なのではないだろうか。
再来週からは学年ごとの分散登校が始まる。
一つ一つ見直しながら、丁寧に進めていきたいものである。