歯磨きが嫌いだ。
これは私の話ではなく,2歳になった娘の話である。
毎食後に歯磨きをしようと押さえつけると,泣きわめくのである。
歯磨きのために押さえつけるので,体の自由が奪われるのが嫌なのだろうか。そう思い,本人に任せてみたりもした。
しかし,その場合口の中に歯ブラシを突っ込んで数回磨いたふりをしたら「ピッカピカッ!」と虚偽の報告をして歯ブラシを我々に突き返してくるのである。
すでに虫歯も発見されているので,予断を許さない状況なのだが,当の本人がとにかく歯磨きを嫌がる。
我々の方も工夫を凝らした。歯磨き粉を味付きのものにしてみたりもしたのだが,今度は歯磨きそのものを食べたがるので,早々に断念。上手くいかないわけである。
ちなみに,昨日は「おじいちゃんおばあちゃん大作戦」を試みてみた。
これは,テレビ電話の際に祖父母と「はみがきをちゃんとする」という約束をしてもらうものである。
祖母「○○ちゃん,はみがきちゃんとできる?」
娘「出来る!」
祖父「本当にちゃんとできるかな~?」
娘「ほんと!!」
こんなやり取りをテレビ電話を通して約束し,そのあとに歯ブラシをもってきたのである。
私「さぁおじいちゃんとの約束通り,歯磨きできるかな~?」
娘「…ヤダ…」
私「……さっきするって言わなかったかなぁ…?」
娘「シナイ!シナイ!」
とまぁ,ロボットのように「シナイ!」を連呼するわけである。
すでに2歳にして表の顔(祖父母への顔)と裏の顔(親への顔)を使い分けるあたりが末恐ろしい。
私も泣く娘を見たくないので,歯磨きをするのが嫌なのである。その緊張が出ていたのだろうか。
妻からは
「入り方が硬い」
と名門校のコーチのようなアドバイスをいただいたのだった。
つまり,私の(娘の)歯磨きに対する嫌悪感が,そのまま娘に伝わってしまったのかもしれない。
そこで少しでも楽しい雰囲気をと思い,「プロポーズ大作戦」なるものを決行してみたのである。
この作戦では,私は歯ぶらしをもって自分を実況しながら娘に近づく。
私「おーっと!3番の佐藤さんが歯ブラシをもって向かっていったのは,6番の○○さんの前だ!」
私「フリータイムの時から,歯を磨いてあげたいと思ってました。お願いします!」(歯ブラシを出す)
私「ちょっと待ったー!」
私「おーっと!!ここでちょっと待ったをかけたのは,酪農家の高橋さん!」
私「一緒に牛の世話してください。お願いします」(歯ブラシを出す)
私「ちょっと待ったー!」
私「またしてもちょっと待ったがかかる!現れたのは警察官の鈴木さんだー!」
私「最初に見たときから決めてました。お願いします!」(歯ブラシを出す)
一人でこんなことを全力で演じながら娘にアプローチ。
全く意味は分かっていないだろうが,雰囲気だけで娘の方も楽しそうである。
緊張の中で娘の返答を待つ…。答えはいかに…?
「シナイ」
私「なんと,カップル成立ならずーーーー!!!!」
…ですよね。うん,意味わからんもんね。
結局このあと羽交い絞めにして仕上げはお父さんを行ったわけである。
このように子どもの歯磨きはなかなかに難しい。
誰かアドバイスがあれば教えて欲しいところである。