教職者K

教育について考えるブログ。

いじめ問題を考える④

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昨日の続きでぼんやりやらないためにも大事だなって思ったことを書いておくんですけど,ちょっとお付き合いいただければと思います。

 

 完全匿名はない

例えば聴き取りでこれまで書いてきたようにA君がB君からいじめられていたとしましょう。

 

A君はどちらかといえば気弱なタイプ。B君は学校の中でも手がかかるとして教員の間でも有名な生徒だとしましょう。

 

そういう状況の時にA君や保護者が匿名を望むケースがあるわけなんですね。

 

「先生なんとかしてください。でも僕の名前は絶対出さないでください。」

 

「僕が言ったってバレたら絶対にB君が逆恨みします」

 

「だから,絶対に僕の名前は出さないでください。」

 

「うちの子は気が弱いから…それでお願いします…」

 

みたいな。こんな風に仕返しを恐れて完全匿名で指導を希望する場合があるわけなんですけど。

 

これをうちのボスは完全に否定していて,「それは絶対にできない」と言うわけです。

 

つまり,全く名前を出さずに指導なんていうことは不可能だと言うんですね。

 

例えば名前を出さずに指導するとしたらどうなるでしょうか。

 

「B君さ,実は君の日ごろの暴力的な行動にクラスの子からクレームが上がってるんだよ」

 

「B君,他の子が君が暴言を吐いているっていってるんだけど,気をつけないといけないよ」

 

そんな風に先生からB君に話をすることになると思うんですが,これがまさに「ぼんやりしている」とうちのボスは言うんですね。

 

そんな風に注意を受けたところで,B君のA君に対する態度は絶対に変わらないでしょう。むしろ「何かよくわかんないけど,怒られた」とB君には納得しないまま怒られた記憶しか残らないかもしれません。

 

だからそのような場合,なんとしても

 

実名を出して指導していく許可を取ることが必要

 

と言うのです。

学校が覚悟を示せ

もちろん「B君にしっかりと指導していくためにも名前を出したい」と言ってもA君は拒絶反応を示します。

 

「無理です!怖い,そんなの絶対無理!」

 

まず間違いなくそんな反応になるでしょう。しかし,そこは何としても許可を取らないといけないというのです。

 

何故なら,

 

匿名の指導を希望している時点で,学校を信用していないから。

 

これまでの経験の中で,「学校というのはあてにならないところ」「先生たちは何も解決してくれない」そういう思いがあるから匿名を希望するんだと。

 

そこに学校への信頼は無いし,そのままでは絶対に解決しない。だからそのままにしてはならないと言うんですね。

 

それでもご家庭によっては「いや、やっぱりそれ(実名を出しての指導)は遠慮したい…」ってなると思うんですけど。

 

そういう時はうちのボスはこういうんですね。

 

「失敗したときは校長が必ず責任を取るって言ってますって伝えて良い」

 

この言葉を担任に持たせてから家庭訪問に向かわせるんですね。

 

凄くないですかこれ。この圧倒的な自信。そして生徒指導への覚悟。

 

ボス曰く

 

「子どもと家庭に覚悟を決めてもらわない限りいじめの根本的な解決はない。子ども達に覚悟を決めてもらうためにも学校がまず覚悟を決めること」

 

なんだそうな。

 

そうやって学校が本気になっていじめ問題に職責かける覚悟が無い限り,学校は信用なされないし,信用されないところに解決は無いというのです。

感想

なんとなく書いてるんですけど,これ間近で聴いてるときに私ちょっと泣きそうになってるんですよね。

 

「(こんなに子どものことを想っている人がいるのか…)」

 

ってちょっと感動さえ覚えたんです。

 

うちのボスを見ていると「職責をかける」っていう言葉が本当に綺麗ごとじゃなくてこの人だったら本当にそれぐらいの覚悟もってやるんじゃないかなっていう説得力があるというか。

 

そしてトップがそうある以上,こちらも覚悟をもたないといけないなっていう気になるんですね。

 

日ごろそういう風に本当に子ども達のために本気になってるか?ってことを常にこちらに問いかけてくる存在なんです。

 

教員になってそれなりに経験積んだつもりでしたけど,本当にまだまだでしたわ。

 

今回の記事が皆様にとっても参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!