教職者K

教育について考えるブログ。

いじめ問題を考える②

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登別でもいじめの自殺あったんですよね…。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/0fc2888b377fa3513f211658f35a496635643b24

 

これは本当に他人事ではなくて,もしかしたら自分のクラスの子だったかもしれない。

 

そして,自分の子どもだったかもしれないわけです。

 

学校という場所に子ども達を安心して預けてもらう,そして子ども達にも学校生活を楽しんでもらうためにも,このいじめ問題というのは避けて通れないんですね。

 

そして悲しいことに,学校は対応を誤ってしまうこともあるわけなんですよ。

 

その点今年のうちのボスは本当にプロ。めちゃくちゃうまくて抜かりがない。

 

今まで私が失敗してきた案件もこの先生に相談してたらうまくいってたかもな…と思うくらいのプロなんです。

 

ちょっとうちのボスの高すぎる熱量がうまく伝わるか分からないんですが,皆様にもうちのボスが大事にしていることをちょっとずつご紹介したいと思います。

聴き取りと指導はきっちり分ける

まず我々は今年,ボスからまず言われたのは,

 

「あなた達の生徒指導は全部間違っています」

 

最初に,こうはっきり言われたんですね。

 

どう間違っているかというと,いっぱいあるんですが,まず多くの先生たちが,

 

聴き取りと指導をごっちゃにしている

 

と。これがダメなんだそうです。

 

どういう事かというと、例えばA君がB君から後ろから輪ゴムをぶつけられたとしましょう。(どこかで聞いたような話ですね)

 

そうすると教員はまず被害生徒であるA君から事情を聴きます。

 

そしてその話を元にB君に確認していくわけですね。

 

「ふざけてやりました」

 

と仮にB君が言ったとしましょう。

 

そうすると教員は,

 

「A君の気持ちを考えなかったのか」

 

「人を傷つける行為は良くない」

 

と話を始めてしまうパターンが多いわけなんですが,これが良くないというのです。

 

ここで「聴き取り」と「指導」をごちゃごちゃにすることで上手くいかなくなってしまうケースが多々あると。「聴き取り」である以上「聴き取り」で終わりにしないといけない。

 

つまり,もしかしたらそもそも聴き取りが甘くて二人の言い分に合わないところがあるかもしれない。

 

一人の先生では指導に偏りがあるかもしれないし,管理職が把握していないかもしれない。

 

そういう不安定な状態のままで指導に入ってしまうことが後々の不信感につながると言っているわけです。

 

加害者側の家族ももちろん自分の子を守りたいですから,納得できないような指導は絶対に出来ませんからね。

 

だから,聴き取りの段階では聴き取りまで。

 

いったんそこで間を置き,管理職を含めて対策会議を開いてから,どのような指導方針か検討しないといけないわけです。

 

そこでしっかりと方針を固めてから、後日指導に入っていくわけです。

デメリットはある

実際にこのことを意識して今職場は回っているんですが。

 

的確で丁寧で全体で共有した上での指導には間違いなくなります。

 

ただ一点だけデメリットがあって。

 

それが、

 

スピード感がない

 

ということなんです。

 

つまり,我々がB君にどう指導していくかを会議して考えているうちに,またA君がいじめられてしまう可能性があるわけです。

 

A君は何もくぎを刺されていないわけですから,また輪ゴムを投げつけたり,暴言を吐いたり。そのことは十分考えられます。

 

なので上記のように指導と聴き取りをきっちり分けるというのは,丁寧な対応の上では非常に重要なプロセスなわけですが,そこに弱点があるわけです。

どうデメリットを補うか。

ならもうその場でやった方がいいんじゃないの?

 

と思われるかもしれませんが,重大な案件ほど後々にどういう対応を学校がとったのかが問われると。だから合理性のない判断をしないためにも,そこは時間をかけるべきだそうです。

 

 

ではその間のA君はどうするのかというと,

 

「指導が始まるまでのA君の安全をどう確保するか」

 

をまず保護者と生徒に具体的に提示する。

 

更にその上で「今万全の態勢で指導できるように学校全体で会議をもっているので,指導に入るのは明後日まで待ってください!」みたいに進捗状況を報告する。

 

そこまでされたら保護者も生徒も絶対に納得して待ってくれると。

 

そうやって誠意を見せた上で指導に入っていけば,加害者側も被害者側も納得するものになるし,ミスの少ない生徒指導になるとうちのボスは言っているわけです。

感想

実際やってみると分かるんですけど,我々はものすごく聴き取りと指導をセットにしています。

 

これはもはやそういうリズムが染みついちゃってるんですよね。

 

しかも「分ける」っていうことはそれだけ手間が増えますから,教員側の負担も大きくなります。

 

ただやっぱり保護者や子供からしたら安心するのはこういうやり方なんじゃないかなって思うんです。

 

時間かかってもいいから根本からきっちり解決して欲しいじゃないですか。むしろちゃちゃっとやってやったことにしたいのは教員側の都合なのかもしれません。

 

だからこういう指導のプロセスは大事だなぁと実感しております。

 

まだまだあるんですけど,とりあえず今日はこの辺までで。

 

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!