ー前回までのあらすじー
ジャニーズだらけの中に与沢翼が乱入してきたのだ!
(※話の流れわからない方は昨日の記事をお読みください。)
さて,続きである。
突如乱入してきた与沢翼の存在により,場は混乱を極める。
私はこの次点ですでに負けを確信していた。
そいうのも,この状況ではカニバリズム(共食い)が起こるからである。
なぜなら,今の状況は
ジャニーズ3
与沢翼1
というものである。この中で好みを決めようとする場合,ジャニーズ好きの女性票は必然的3分の1に割れることになる。
しかし,どうだろうか。その点最初からタイプの違う与沢翼に入る票については割れることがない。
最初からこれを狙っていたか…
そのHの作戦に舌を巻く。Hは合唱コンクールでも部活でも緻密に作戦を練ってくるタイプの策士なのである。
そして私は本来策を練るタイプの人間であるにも関わらず,今回はこのように準備不足な状況でリングにあがって来てしまったことをひどく後悔し始めていた。その策のなさ,無防備すぎるバンザイアタックである。
そして,同時に相手の手札が分かった今,今回の正解はなんだったのかも考えたのだが,しばらく考えて分かった。
そうか,和菓子だったのかもしれない…
と。
これだけチョコだのマカロンだのケーキが並ぶ状況だ。
その中で和菓子があったらあんこの優しい甘さが女性陣の意表をついたかもしれない
いわば洋装の中に和装。和装が似合う好青年系男子。
つまり,
照英を連れてくれば良かった…
そんな気づきを私はこの場になってしたのである。
しかし,今更そんなことに気付いても遅い。女性陣は男性からの貢物を次々と試食し,プリントに評価を記入していく。
評価が終わり,男性は緊張して結果発表を待つ。
遊びではあるが,やるからには真剣にやることが大事である。つまらないことでも,負け続ければそれがクセになる。こんな些細な戦いでも簡単に負けを認めてはならないのである。
そして優勝者が発表された。
「優勝は…
A君!」
場がどよめき,そして混乱した。
A君とは生徒の名前である。この選手権には参加していない生徒の名前が呼ばれたのだ。
我々参加者達は,その判定に納得がいかず,説明を求める。
すると,
なんでも生徒であるA君が
「大好きな〇〇先生へ」
と女性教諭に手作りのプリンをプレゼントした
というのだ。
このピュアな行動に票が集まったわけである。
文句なし、文句なしの優勝である。
私は自分が恥ずかしい。
ジャニーズさえ連れて行けば勝てるだの,和菓子にすれば良かっただの。そしてなによりも一番恥ずかしいのは、札束を積みに行ったHである。
大人達は忘れていたのである。こうすれば勝てるという策に溺れ,本来一番大切であるはずの「気持ち」を…。
女性とは品物も大事だが,それ以上に
そこまでにかけられた労力
にときめく生き物なのである。
「どうせこんなのが好きなんだろ」と適当に選んできた私…。
そして
金にものを言わせて勝ち逃げを目論んだH…。
そんな中でA君は
先生に不要物の持ち込みとして怒られるのを覚悟でリスクを背負いながらも学校に手作りプリンを持ち込み想いを伝えようとした…。
思いがあるのは誰なのかは説明しなくても明らかである。
男に大事なのは顔じゃないよ,ハートだよ…。
この選手権は我々にそんなことを教えてくれた気がする。
つまり,結局この選手権に勝ったのは,A君。
芸能人で言うと,鈴木福君みたいな感じだろうか。
男とは見た目だけでは判断されない,女性はそういう器量の大きさをもっている。
そんなことを感じさせてくれる選手権であった。
そして、私はテレビで鈴木福を見るたびに、A君を思い出すのである。