さて昨日の続きです。
個人的に「深い学び」とは
知識を組み合わせて新しい知識を得ること
だと思うんですけど。
佐藤学先生は
「学校の真の目的は民主主義の基礎を作ること」
とおっしゃっていて,そういう意味では
多様な答えが考えられる授業
こそが深い学びのある良い授業であり,出てきた多様な答えを認め合えるクラスこそがいいクラスなのかなと最近思うのです。
では多様な答えを出すような課題とはどんなものなのか。
教科にもよると思うのですが,
今回は私も教えている社会科で考えてみたいと思います。
①本物の資料から考える
歴史教えていて思うんですけど,歴史ってもう過去のことで,確定していることがほとんどですから,生徒が考える余白があんまりないんですよね。
でも,資料をみてどう考えるかを問うと多様性が生まれてくるというか。
この前は「御成敗式目」の条項をずらずらっと提示しまして。
「北条氏がこれを制定した狙いって何だろう?」
っていうのをやってみました。
そういうことやると生徒達は
「自分たちで作ることで地位を固めたかったのかな」
とか
「裁判の決まりみたいなのが多いから,基準を作りたかった」
とかやっぱり多様な意見が出てくるんですよ。教科書だけじゃどうしてもここまでにはなりません。
(ちなみに御成敗式目は当時土地をめぐる裁判に時間がかかりすぎていたので,その問題を解消するという狙いがあったそうな)
他にも前見た研究授業では
「日米和親条約を全部見て日本とアメリカの関係がどう変わったかを考える」
ってやつだったんですけど,同様に多様でしたね。
なんだか,そんな風に教科書みたいにかなり分かりやすく精選されたものじゃなくて,
本物の資料に触れてそこから読み取る
っていうやり方は一つ社会科における深さの追求の仕方なんじゃないかと思うのです。それに,昔の人の残したものから昔の人たちに想いを馳せるっていうのは本来の歴史の面白さなんじゃないでしょうか。
②自己表現できる
これは英語科にもつながると思うんですけど,自己表現するような課題もまた多様なのかなと。
子ども達は自己表現が大好きですし,根底で自分の意見を認めてもらいたいと思っています。
なので先日私は「北方領土」について授業で取り上げました。
授業の流れはこんな感じ。
①北方領土の現状について読み取る。
(ロシアとのこれまでのやりとりの経過,日本人にとったアンケート結果,ロシア人の住民の生活の様子など)
②北方領土問題はどう解決すべきか自分の意見を書く。
っていうのをやってみたんですけど。
「もともと日本のものなのに絶対おかしい」
「でも16000人もロシア人住んでるよ。もう諦めてもいいのでは」
「それはロシアの問題。資源もあるんだし,将来のためにも絶対返還してもらうべき」
「ロシアって核ももってるし,関係が悪くなって他の面にも影響出るのは良くないから,部分返還がいいのでは」
と非常に意見が多様でしたね。
やっぱろそういう発言の一つ一つには自分の体験がベースにあるんですよ。戦争に興味がある子は核とかロシアとアメリカとの関係とかから発言してましたからね。
そういう自己表現につながる課題というのも深い探求につながりやすいのかなと。
③解法に多様性がある。
とは言っても,数学みたいな教科もあるじゃないですか。答えが決まってるやつ。
あぁいうのは,どうしたら多様性のある課題になるのかなと思うんですけど。
そういう場合はアプローチの仕方(解法)に多様性を見つけていくと良いのかなと。
例えば社会でも時差の計算っていうのがあってですね。もう答えは一つなんですよね。
でも子どもによっては,
・地図に書いてある時計を手がかりにしてたり
・経度から計算してたり
・自分で分かりやすく図にしてみたり
とそのアプローチは多様ですよね。
それを取り上げて「どれが分かりやすい?」「間違いない?」ってやっていけばそこに深さが生まれるのかなと。
そんな風にアプローチを比べることで多様性を認めていく授業もあると思うんですよ。
④ハイレベルの問題
そして,こういった多様性というのは問題が難しくないと生まれないんですね。
出来る子はさっさと終わらしてもう考えようともしないですから。(勝手に読書とかし始めますしね)
だからある程度難しい問題のが良いわけですよ。
なので中学生に高校入試の問題出してみたり。有名私学の入試問題出してみたりするのも面白いなと思いましたね。
みんなレベルが高い問題だからいろんなやり方で解こうとするわけです。
それに苦手な子もこれなら出来なくても恥ずかしくないじゃないですか。出来なくて当たり前のことやってるんですから。(もし出来たらヒーローです。)
教員側もなかなか大変なんですが,センターとか入試問題とかバンバンといて使えそうなものを持ってくるっていうのは大事だなと思いますね。
⑤まとめる。
授業の最後にやる「まとめ」ってめちゃくちゃ多様だなって思うんですよ。誰一人同じまとめを書く子って居ないですからね。
なので私はノートの下を五行ほど開けて,授業の最後は必ず今日の授業のまとめを書かせています。
前に見た授業だと
「友達の名前を使って今日のまとめを書いてごらん」
っていう先生もいましたね。対話的じゃないと成立しないまとめ方ですから,そういうやり方もあるなぁと思ってみてました。
ということで今回は私が思う社会における「深い学びにつなげる方法」を書いてみました。
今のところはこう考えてるんですけど,また思いついたら足していきますね。
さて,明日も頑張りましょう!
読んでくださり,ありがとうございました!