教職者K

教育について考えるブログ。

プロフェッショナルを見てみた。

 

いま、ここで輝く。 ~超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室

いま、ここで輝く。 ~超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室

  • 作者:おおたとしまさ
  • 出版社/メーカー: エッセンシャル出版社
  • 発売日: 2019/05/14
  • メディア: 単行本
 

先日このブログでも取り上げた「イモニイ」がプロフェッショナルに出ていました。

 

(本についてはこちらから)

 

suno200002000.hatenablog.com

 

テレビでは本と重複する内容がかなりありましたが,映像で見るとまたその魅力が分かったように思います。

 

今回は私が大事だなと思ったポイントを書いていきます。

 

・今本気で考えているかどうか。

井本先生は「子ども達が今本気で考えているかどうか」の一点にのみ着目して授業を考えていると。

 

そしてその本気で取り組んでいる姿を「ぷるっとしてる」と表現しているわけです。

 

そして子ども達をぷるっとさせるために教科書を使わず,カリキュラムを若干逸脱したオリジナルの問題を出していました。

 

授業に入ると子ども達が出された問題にみるみる熱中していく様子が放送されていました。

 

教師をおいて子ども達だけで授業後も議論する姿はなかなか説得力のあるものでした。

・学力を上げようと思わない。

その授業を見ていた取材者から「これで成績上がるんですか?」と聞かれるのですが,井本先生ははっきりと

 

「いや知りません」

「そこは大して大事だと思っていない」

「幸せには関係ない」

 

と言ってしまうわけです。

 

学力向上は教員の一つの使命とも言えるわけですから,これはなかなか大胆な発言です。

・社会が先にあるのはおかしい。

そんな井本先生の考えを支えるのが,「社会は子ども達が作る」という考え方であるようです。

 

つまり,社会が先にあってそこに当てはまるような教育をする必要は無いと。

 

世の中の価値観というのは案外いい加減で変わるものだから,目の前の子ども達をまず肯定すべきだという考え方のようなのです。

 

そしてそうやって育っていった子ども達が社会を作るのだから,社会に当てはまるように子ども達を育てる必要はないと。

 

テストができるかどうかというのは,再現性が高いだけなので,そこに価値はなく、むしろ試行錯誤する経験こそが生涯の財産になると考えているようです。

 

そう言って

 

「そのままでダメなはずがない」

 

と目の前の子を全肯定する姿がとても印象的でした。

・もっと大事なのは子ども達と関わること。

またそれ以上に大切にしているのが生徒とのコミュニケーション。

 

「用がないのに何かをするのは(子どもに)興味がある証拠」

 

として,積極的に生徒とコミュニケーションをとっていました。

 

朝職員室に入る前にまず生徒に絡みに行く姿は本当に楽しそうで,根っからの教育者なのだなと思わされました。

・なぜこんなにも注目されるのか。

私なりになぜ井本先生がこんなにも注目されているのかを考えてみたのですが,

 

学校はロボットを作る,画一的な価値観の人間を育てる場所として機能してきた側面があるわけじゃないですか。

 

その中でいたって自由に多用な生徒達の考えを認めて引き出す井本先生の教育のスタイルというのは,

 

とても現代的で,国の目指すアクティブラーニングそのものであるが故に注目されているんだろうなと思いました。

 

少なからず子ども達にとって「いい先生」だと思います。

・評価や入試との関連。

一方でいわゆる受験対策や点数を取るための授業はしていないわけですから,これが様々なニーズのある学校現場においてどうなのだろうか,という見方も出来ます。

 

多分子ども達は数学が面白いと感じるようになると思いますが,一部の進学に関心が高い親や生徒からすると不満に繋がりやすいところもあるでしょう。(もっと受験対策してくれよと)

 

しかし,私は個人的に点数や進学ばかりを気にして学問を楽しめずにいる現代の評価のシステムの方にこそ問題があるように感じています。

 

またTwitter上では元教え子達?と見られる人達のツイートも見ることが出来ましたが,

 

「先生の授業変わらんな」

「先生の授業はいつも面白かった。教育者の鏡」

 

と非常に好意的に受け止める生徒が多かったですが,一方で

 

「俺には合わなかったかな」

「3年生でがっつり受験対策自分でした時が一番楽しかった」

 

という意見も見受けられました。受け止め方は人それぞれですね。

感想

めちゃくちゃ反省しました。

 

「私は井本先生みたいに子供を熱中させているのか?」

 

と考えたら,授業構成が甘すぎる気がしてものすごく反省したんですよね。

 

今日から子ども達がきましたが,そういう目で見ると生徒とのコミュニケーションも甘くなっていなかっただろうか、などと凄く自分自身を振り返るきっかけになったように思います。

 

自分の生活の全てを子ども達に捧げているその姿は修行僧のようであり,尊敬の念を抱きました。

 

また幸せのあり方についても考えさせられたように思います。

 

出世や名声に全く関心がなさそうで,ただただ目の前の子ども達の「ぷるっ」とした姿を求めるその姿勢は教育者の本来あるべき姿であるように思えたのです。

 

私も少しでも近づけるように頑張りたいと思いました。

 

ということで,今回はプロフェッショナルをみて感じたことをまとめてみましたが,いかがでしたでしょうか。

 

皆様の参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただきありがとうございました!