んで、実際に授業づくりに入っていくわけなんですけど。
まず従来の日本の教育についてのその先生の考え方はどういうものかというとですね,要約するとこんな感じです。(以下講演されていた内容も含みます)
・みんなが前を向いて授業を受けるスタンスは世界中で今から150年前に始まった。
・日本はそれをまだ引きずっている。←古すぎ。
・フィンランド・カナダ・オーストラリアは20年も前にそのスタイルから脱却してアクティブラーニング(対話したりしながら学習者が主体的に学習する形態)を進めている。
・それらの国ではみんな勉強好きになって大学まで行くから結果的にフリーターとか非正規雇用とかほとんどいない。
・日本もそこからアクティブラーニングやっていこうっていう流れが出来たけど,ほとんどの学校が6人グループだったし,リーダー決めてたし,班で意見を一つにまとめてた。これら全部ダメなやり方。結果的にダメなアクティブラーニングが流行してこれが学力を下げることにつながってしまった。
・日本の経済成長率は直近で197カ国中190位。はっきり言って世界から取り残されている。この原因は教育にあると考えている。
っていう話なんですよ。
確かに日本の学校授業のイメージって前向いて授業聞くスタンスですけど,これ世界中でやってる国がもうほとんどないみたいなんですね。
もともとこのやり方は明治時代の政府が富国強兵の方針を進める上で効果を発揮するものだったわけです。YOUTUBERのゆたぼんさんがいう「ロボットに見えた」というのはあながち間違ってないというか。
子どもたちを型にはめ込んである程度均一化された思想と能力の人間を作り出すのに適した教育方法だったわけです。でも,もうそういう時代じゃないんですね。
んじゃあその先生の言ういい授業って何?
っていう話なんですけど。
話聞いてる限りでは下のもののように感じました。
・グループ学習は4人。
6人だと何もしない奴が必ず出てくる。かといって3人だと関係性に行き詰まることがある。だから4人。最初から4人組で授業を始めてしまってもいい。もう前向いて全員が授業するスタイルはいらない。4人での学び合いを進めていくべき。
・全員が全力疾走する授業を。
学習内容についていけない子(いわゆる落ちこぼれの子)も,学習レベルの高くて授業の内容が簡単すぎるような子も(吹きこぼれの子)も夢中になるような授業にすること。教師はそういう授業をデザインする必要がある。
・ジャンプ課題を設定する。
上の目標を達成するためには学力高い子にとっても「これはちょっと考えないと分からんな」という課題を授業の中で設定してやること。その課題のことをジャンプ課題というのだそうな。
ただそれだと,「低学力の子は手も足も出なくなっちゃうから嫌になっちゃうんじゃないか?」と思いそうなものなんですが,
応用があるから基礎ができるようになる。
っていう考え方なそうで。
つまり,スポーツでいうなら地道にパスの練習をしてからゲームに入る,じゃなくて最初からゲームをやってしまうことで必然的にパスの練習もいっぱいするようになるっていう考え方なわけです。
(実際に全国学力調査の結果を見ても,学力が伸びている学校は必ずB問題(活用を問う問題)から伸びているのだとか。最初にA問題(基礎知識を問う問題)の正答率から伸びている学校はないんだそうです。だからまず応用から取り組めとのこと)
そしてさらに,
・出来ない子は出来る子に聞けるようにする。
必要があると。
よく「出来た子は出来てない人に教えてあげて」っていう先生いますけど,あれだと出来る子は課題が簡単だし,毎回できる子は教えなくちゃいけないから絶対に嫌になると。
だから出来ない子の方が分からなければ周りに「わからないから教えてほしい」って聞けるように育ててやることが大切だとおっしゃっているわけです。
(確かに日常生活でも困ったら人に聞けるって大事ですよね。人に頼れたら生きていけますもん)
そして周りに聞ける子は必ず低学力から抜け出していくとのことでした。
つまり,研究授業に向けて私はこれらの条件をクリアしつつ,
かつ学習指導要領の内容をクリアしつつ,
さらに面白いと子ども達に思ってもらえるような授業
をデザインする必要が出てきたわけです。
これがめちゃくちゃ難しいんですよ。
出来ない子が「教えてほしい」って言えるってクラスの人間関係出来てなきゃ絶対できないことですからね。恥ずかしくて言いたくないじゃないですか。それにできない子ほど一人でやろうとしますしね。
さらには全員が夢中になるような課題なんて一体どうしたらいいんでしょう…。
私は迷いに迷ったわけです。
(また続きます)