最近この本読んでたんですけど。
これオススメです。
日本の教育の問題点や今後の可能性をオランダの教育との比較をしながら浮き彫りにしている一冊。
(Kindle Unlimitedに入っている方は,読み放題の中で読めますよ。)
ちょっとこの本を参考にしながら,一体何が日本の教育で問題なのかを考えたいと思います。
教育への投資の少なさ
本の中ではまず日本の教育の問題として「投資の少なさ」が挙げられています。
例えば黒板。
学校教育のテンプレートになっている黒板ですが,粉は舞うし,色も見づらかったりと,けして万能ではないわけです。
オランダではホワイトボードが活用され,中国では電子黒板が当たり前のように広がっています。
さらに,オランダでは年間一人13万円の教員の研修費が出るそうで。
反対に日本は今どんどん研修費が減らされていて,さらに賃金も下がっているという現状があります。
ちなみに
日本の教育投資の割合はOECD34カ国中最低
という数値です。
さらに他の国と比べると
突出して教員の労働時間が長い
という特徴があるわけです。
投資が少ないが故に,先生方の努力にのみ頼る構図になっており,酷く非効率な教育システムになってしまっていると言えるわけです。
進学率が基準の教育
日本の教育は生徒の興味関心をどう伸ばすというよりも,
いかに効率的に生徒の学力を伸ばすか,
生徒をより良い進路に乗せるか
ということにこれまで重きが置かれてきたと言えるでしょう。
一斉スタイルはそういう意味では効率が良いですから,他の国が早い段階でアクティブラーニングに取り組んでいる中で,日本だけが今更アクティブラーニングなんて言っているのにはこういう背景もあるのだと思います。
また教員もそれに慣れているので
アクティブラーニングっぽい一斉授業
が広まってしまっているようにも思います。
(私も多分これに近いところがあるので、大いに反省しています)
結局先生のひいたレールの上を走っているので,それ以上に生徒が学問に興味をもって追究しているわけではないのです。
教科書中心主義
そして,上の進学率重視の教育にも共通するのですが,それであるが故にどうしても「教科書中心」の授業になると本の中では指摘しています。
確かに私自身もテストがある以上,「教科書の内容をおさえる」ことに注意を払ってしまうところがあります。
しかし,そのことは逆に
・教科書にない知識を軽視すること
・学習者の本来の興味を無視すること
にもつながってしまうわけです。学習者が「これもっと調べたい」と思ってもそのことが教科書に載っているわけではないのです。
また本の作者であるリヒテルズさんは日本の教科書について「内容が貧相」とまで言っています。オランダの教科書はもっと分厚くて色んな知識が載っているわけですね。
日本の教科書や受験のあり方そのものを見直さないとこれは解決しないのではないかと思いました。
私自身授業をやっていて「これは教科書にはないけど面白い」と思うことを生徒に紹介するのですが,必ずと言っていいほど,
「それテストに出ますか?」
と聞いてくる子がいます。
私もそうでしたが,子ども達も「教育とは教科書をしっかり覚えて受験に勝つこと」だと思っているわけなんですね。
古い教員養成
そして日本の教員養成のシステムにも問題があると指摘されていました。
というのも,日本の大学での教員養成は「理論」がほとんどであり,「実践」は教育実習などのわずかな期間になります。
これが諸外国ではすでに「実践」に重きを置く流れになっているようなのです。
私自身今になって「あ、これ大学で習ったわ」「そういう意味だったのか」と分かることがあるのですが,それは実践を積む中でようやく気づけた部分がかなりあります。少なからず大学生の頃はあまり分からなかったですね。
日本のそうした教員養成のあり方というのは見直すべきなのかもしれません。
私好きな言葉に
「泳ぎ方の勉強をしても,プールに入らない限り泳げるようにはならない」
っていう言葉があるんですよ。
まさに教育もそうで,もっと実践を積むことに重きが置かれていいのではと思っております。
ということで本を読みながらそんなことを考えました。
少なからず,今回のコロナウィルスの騒動もそうですが,まさに
答えがない問題
に世の中は立ち向かっていかなければならないわけで。
教科書中心で,教科書に書いてあることを再現する試験に重きが置かれている現状というのは変えていかなければならないでしょう。
少しずつ入試も変わりつつありますが,その背景にあるものを我々現場の教員もしっかりと理解しておく必要があるなと思いましたね。
ということで,今回はそんなことを考えましたのでまとめておきます。
皆様の参考になれば幸いです。
本日も読んでくださりありがとうございました!