教職者K

教育について考えるブログ。

今年の合唱コンクールの話。

 

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今年の合唱コンクールなんですけど,無事にグランプリが取れたんですよね。

 

我ながら勝率高いなってほくそ笑んでるところなんですけど。

 

それでもですね,思い出すのは3年前にも3年生持った時のことですね。

 

その時は私の中で過去一番難しい曲を選んで。

 

子ども達もめちゃくちゃ練習して表現も考えて。

 

指揮者も伴奏者も死ぬほど練習して仕上げた合唱コンクールでグランプリ取れなかったんですよ。

 

もう一つの合唱大好きな先生が見てるクラスに負けたわけです。

 

裏側をあとで聞いたんですけど,2人いる審査員で票が割れたみたいなんですね。

 

若手の審査員がうちのクラスを。

 

一方で県の中でも大御所の審査員がもう一つのクラスを推したみたいなんです。

 

そして結果的に2人の力関係もあってグランプリを逃したんですよ。

 

この経験から私が3年前に学んだのは,

 

「音程の確かさは表現に勝る」

 

ってことだったんですよね。表現よりもまずは確かさが大事なのかなって。

 

そうやって聞き直すと確かに,うちのクラス表現は凄くついているけど,音程ずれてる箇所がいくつかあるんですよ。

 

そういうところをプロは見逃してくれないんですね。(グランプリのクラスは音程の面ではほぼノーミスでした)

 

そして大御所がそっちをとったってことはやっぱり音程が第一なのかなと私なりに考えたわけです。

 

だから今年はとにかくパート練をやって音取りの徹底をしたわけです。

 

さらに他のパートと合わせた時につられてしまう部分については私の方でピアノで音とりながらハーモニーを確認する。

 

この瞬間は必ずこの和音になる

 

っていうのを子ども達が体感できるように,コンクールの2日前ぐらいまでひたすら地道にこの練習をやったんですよね。

 

これいわば絵で言う下書きみたいな作業じゃないかなって思いましたね。下書きがしっかりしてたら8割完成ですから。

 

そして仕上げの表現,色付けの部分なんですけど。絵も下書きまでは良くても色塗りで台無しになることもあるからここは慎重になりたいところなわけです。

 

ここはたまたま来てた音楽科の実習生に聞いたら,

 

「表現を別の言葉に置き換えるといいですよ」

 

って言われて,それだ!って思ったんでそれやってみたんですよ。

 

アカペラの「いざたて戦人よ」っていう曲が課題曲だったんですけど,兵士たちを歌ったすごく勇ましい曲なんですね。

 

その中でPP(ピアニシモ・とても弱く)が出てくるわけです。

 

でもこの戦士たちの歌の中で突然の「とても弱く」はなんだかそぐわないんですよね。

 

それに子ども達はとにかく真面目ですから「とても弱く」なんて言われた日には極端に声が小さくなったりしてしまって大きい会場で声が届かなくなってしまう事もあるわけです。

 

そこで,ここをどんな言葉に置き換えるかを生徒に考えてもらったところ,

 

「ここは力をためる場面だと思う」

 

っていう言葉が出てきて,みんながそれに「なるほど!」ってなったんですよ。

 

彼らはこのPPを「戦いの前に歌いながら士気を高め,力を溜めてるシーン」と解釈したわけですね。

 

そうイメージするだけで丁度いい声が出てくるから不思議なんですよ。(いやほんとに)

 

そして最後のff(フォルテシモ・とても強く)の部分を生徒達は「華々しく」という言葉に置き換えたんですけど、ただ強いだけでなく自然と響きのある大きな声が出てくるから不思議なもんですよね。

 

なので,今回はその音取りと別の言葉への置き換えがものすごく効果的だった気がしますので,記録として書いておきますね。

 

誰かの参考になれば幸いです。

 

読んでいただき,ありがとうございました!