教職者K

教育について考えるブログ。

【レビュー】推し、燃ゆ

 最近こちらを読んだのでレビューを書いてみます。

推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

 

 直木賞を受賞された21歳、宇佐美りんさんの話題の一冊。

 

直木賞で話題ですし,「推し」という表現をクラスの子達もやたら使っているので何か得るものがあるんじゃないかと思って読んでみました。

 

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」

 

そんな書き出しで始まるこの本は文字通り,推しが炎上してしまった女性ファンの動向を書いた一冊。

 

主人公はアルバイトをしながら推しに関するブログを書き,総選挙で推しを勝たせるためにCDを買う。そんな推しを中心にした生活を送っています。

 

本はそんな推しへの愛で溢れていました。

 

理由なんてあるはずがない。存在が好きだから,顔、踊り、歌、口調、性格、身のこなし、推しにまつわる諸々が好きになって来る。坊主にくけりゃ袈裟まで憎い、の逆だ。その坊主を好きになれば、来ている袈裟の糸のほつれまでいとおしくなってくる。そういうもんだと思う。

 

未来永劫、あたしの推しは上野真幸だけだった。彼だけがあたしを動かし、あたしに呼び掛け、あたしを許してくれる。

 

こういう推しへの愛がいたるところにちりばめられている一冊です。

 

正直なところ私はアイドルとかに熱中した経験が無いですし,いわゆる「推し」もいません。だから,こういう風に異常なまでに熱中してしまう人の気持ちが良く分からなかったんですけど。

 

でも,この本を読んで,そういう人っていうのはもしかしたら何か非常に大きなコンプレックスだったり劣等感を抱えているのかもしれないなと思いました。

 

そういう倒れそうな自分を支えてくれる存在,それこそが「推し」なのかもしれないなと。

 

このようにこの本の主人公はどこか傾倒してしまう偏った人物に見えて,私は読んでいて「コンビニ人間」を思い出しました。

 

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

 

 (これはコンビニでずっとバイトしている偏った人を書いた一冊。面白いですよ)

 

そういう風に読んでいたら確かに一人称を「私」でなくて「あたし」で書き続けてるんだな…とか読んでいて色んな発見がありましたね。

 

「推し」を追いかける姿は非常に現代的ですし,いろいろと考えさせられる一冊であったように思います。

 

ということで、次の読書の一冊にいかがでしょうか。

 

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!