最近読んだ本について書いてみます。
幸せの定義っていうのは人によって色々あると思うんですけどね。
私の中では「猛烈に読みたい本が手元にある」っていうのが一つそれだなと。
最近はこの本がバッグの中に入っていたんですけど,早く読みたくてすごく幸せな気持ちになれましたね。
こちらは伊坂幸太郎の作品には珍しく,子ども達が主人公の話。
表題になっている「逆ソクラテス」は子どものことを決めつけてかかる先生の価値観をひっくり返してやろうと奮闘する子ども達のお話です。
先生がある子の素振りを見て「全然ダメ」と言った後に,プロ選手から「君は才能がある!」と言ってもらうように計画したり。
他にも先生が馬鹿にすることを見越して子どもが書いた絵をプロの絵とすり替えておくことを企んでみたり…。
とにかくそのアプローチがユニークなんですね。
先生とか周りの大人たちの決めつけに対して,
「僕は、そうは思わない」
と言う言葉で子ども達が抵抗していく姿がなんとも言えないわけです。
私自身子どもと向き合う仕事なので,そういう目で子どものことを見たりしていないか,ハッとさせられましたね。
他にはこんな言葉も。
「三津桜みたいに怖さを感じない奴がいたら,怖がらせる以外に指導方法を持っていないそのコーチ,詰みじゃん」
「(怒るコーチを見て)あぁいうの見てるとさ、スポーツやったところで人間性は鍛えられないんだなぁと思っちゃうよね」
「人生って超大変なんだから。大人だって正解は分からないし,普通に暮らしていくのだって超難易度高いんだよ。ゲームでいうところのイージーモードなんてないからね。なのに,誰かを馬鹿にしたり,いじめたりする奴は,それだけで難易度上がるんだよ。だって、将来、いつそのことがばらされるか分からないでしょ。なんで好き好んでハードモードにするんだろ。よっぽどの権力者になれる自信があるんだったらまだしも,将来、どこで誰と、どういった立場で出会うかなんて分からないでしょ。自分が馬鹿にしていた相手が、仕事の取引相手になることもあるだろうし、将来結婚する相手の知り合いってこともある。もしかしたら、大人になって大けがして、担ぎ込まれた救急病院の担当医が、昔、自分がいじめていた相手だったら、どうする?怖くない?」
こういう一言一言が,なんだか考えさせられましたね。
読んでいて思ったんですが,この本は
作家・伊坂幸太郎なりの教育書
なんだなって思いました。どうしても教育書っていうと堅苦しかったり,耳が痛い話が多い訳なんですが。
そうならないのは,伊坂幸太郎のバランスのとり方が絶妙だからでしょう。
「逆ソクラテス」っていうタイトルがまさにそうですし,伊坂幸太郎は「死神の精度」っていう作品では,死神にヘッドホンで音楽を聞かせたりして,死神のキャラクターをポップにしたりしてるんですけど。
そういう独自のバランスのとり方みたいなのがこの人の作品の特徴になっているわけです。
ということで教育に関心がある人もない人も楽しめる一冊になっております。
そろそろ日も短くなってきましたし,秋の読書の一冊にいかがでしょうか。
おすすめです。
皆さんの参考になれば幸いです。
本日も読んでいただき、ありがとうございました!