30超えたあたりからでしょうか。
最近ものすごく「死」について考えることが多いんですよね。
最近もこちらの本を読みましたので書評を書いてみたいと思います。
概要
作者は精神科医であり,医学博士の先生です。
たくさんのガン患者の方と向き合ってきたその経験から実際にいらっしゃった患者さんのエピソードをもとに「死」について考えさせられる一冊になっています。
本によると,がんの発生件数は
男性62%
女性47%
にもなるようです。
更に一度ガンになると
・5年生存率は62%。
・5人に1人がうつ病に。
・1年以内の自殺率が24倍。
という数字が出ているようで。現代医学をもってしても立ち向かえない病気,それがガンなのですね。
そしてこのお医者さんはそのガンという病気を「どう治すか」というよりも患者さんと向き合いながら「どう最後を迎えるか」を一緒に考えていらっしゃる方なのかなと思いました。
現代社会は死を遠ざけている。
本の中では,
現代社会は「死」という目を背けたくなるものを完全に遠ざけてしまった
といっています。
確かにそうで,今や祖父母との同居する世帯は減り,アンチエイジングなどで昔に比べたらずっと若さを保てる時代になりました。
途上国に行くと思いますが,途上国は「死」がすごく身近なのですね。お祝いとして生きている動物をその場でオトして食べさせてくれたりする。
先進国はそういう人間が敬遠したがる「死」を極力遠ざけることに成功したわけです。
ただし,
そのことが逆に今生きていることへの緊張感やありがたみのなさ,につながっているんじゃないか
とも思うのです。
さらに世の中全体が人の老化という当たり前の現象に対して厳しすぎると思います。
俳優さんとか科学の進歩で本当にいつまでも若いですし,それが可能な時代にもなったわけなんですが,
世の中に老いを晒せなくなった人が多くなった
という不自然な現象も起こっているんじゃないかと思うわけです。
「want」と「must」
本の中では「want(したいこと)」と「must(しなければならない)」話が出てきます。
人間はどうしても,「したいこと」を「しなければならないこと」で抑え込みがちなのですね。
例えば私もそうですけど,
「本当は旅行にもっと行きたい(want)けど,お金を貯めないといけない(must)からやめておく。」
とかそんなことがいっぱいあるじゃないですか。
ただ,死を前にした時に
その人生では後悔が残りませんか?
ということをこの本は問いかけてくるわけです。
例えば必死にお金を貯めたとしても,明日ガンになるかもしれないないわけですよね。(可能性は少なくても,ゼロではないわけです。〕
そう考えると「自分は何のためにこのmustを大事にしているのか?」「自分の本当にしたいことwantは何か」を考える必要が出てくるわけです。
まとめ
やはり読んで思うのは「死を考えることは今の自分の生き方を考えること」なのだと思います。
明日死んで後悔がない,そんな生き方をしないといけないなと,背筋が伸びる思いで読ませていただきました。
実際の患者さんのエピソードの中には20代でガンになりそのまま亡くなった方もおり,「自分自身が今ガンになったら…」を想像せずにはいられませんでした。
「漫然と生きてないか?」
「やりたかったこと全部やれたか?」
「そもそも何がやりたいんだ?」
そんなことを語りかけてくる良書であると思います。
興味のある方いましたらぜひどうぞ。
読んでくださりありがとうございました!