教職者K

教育について考えるブログ。

晴れ渡る空の色。

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先月末に「2019年に起こった私的10大ニュース」なるものをまとめて記事にしようかと思ったのだが,全く記事にせずやめたという経緯があった。

 

 

それは去年は伯母の訃報があったからである。

 

 

 

suno200002000.hatenablog.com

 

 

この一件は非常に我が家にとって大きいことで,

 

それをいつもの調子で他の出来事と同じようにおちゃらけて書いてしまうことが躊躇われ,

 

かといって全く触れないのもなんだか違う気がして,結局私は書くことそのものをやめていたのだった。

 

今回の正月の帰省ではまたそんな伯母の面影を感じる出来事があったので書いておきたいーーーーーーーーーーーーー。

 

すでに築年数30年以上となった実家は帰るとリフォームがされていた。

 

古くなったキッチンは全て新しくなり,これまでタイル張りで寒かった風呂場も大分使い勝手が良い新しいものに変わっていた。

 

そんな新しくなったキッチンの隅に人形が置かれていたのである。

 

あの日光を動力にして左右にゆらゆらしながら顔が揺れるおもちゃである。

 

「こんなんあったっけ?」と私が不思議に思って聞くと,なんでも伯母が何年も前に弟にくれたものらしい。

 

大学で弟はたまたたま伯母のいる県に進学することになったのだが,その時伯母はしょっちゅう弟の面倒を見てくれていたのだという。

 

一人暮らしをする弟を食事に連れ出してくれたこともあったらしい。

 

食事が終わってお代を払おうとする弟を怒り,

 

「何してんの!だめ!」

 

「私のことをここではお母さんだと思っていいから」

 

と言ってくれたそうだ。

 

私は知らなかったが,ゆらゆら揺れる人形は引越しの際にそんな伯母が「一人暮らしを始めても寂しくないように」と弟に買ってくれたものなのだそうだ。

 

 

 

そんな人形であるがゆえに,リフォームでたくさんのものを処分したにも関わらず,今も我が家のキッチンに置かれている。

 

捨てる事は出来ない。それは伯母が残してくれた優しさそのものだからである。

 

 

 

そんな弟に先日子どもが生まれ,父親になった。同時に私も初めて伯父になったわけである。

 

甥にはその時の空の色をイメージした名前がつけられた。合計で29時間以上かかってようやく生まれた子ども。きっとその時の空が弟夫婦にとってとても印象的だったのだろう。

 

私はまだ会ったことがないが,甥に対して一つだけ思っていることがある。それは甥っ子には,いつか伯母が弟に愛情を注いでくれたように,自分も何かをしてあげたいということ。

 

それが先に生まれたものがこれからの世代にしてあげられることなんじゃないかと思っている。

 

連日弟からの近況報告が家族ラインにて伝えられるのだが,そのたびに私はあの人形を思い出したりする。

 

 

我が家の実家では,伯母からもらった人形が,今もゆらゆらと揺れている。