最近バレーのW杯やっていて、「日本対中国」の試合見ていた人も多いと思う。
そして多くの方が,
「日本全然じゃん…」
「弱いなぁ…」
「昔は強かったのに…」
と思われたのではないだろうか。
振り返ってみると日本は男女ともにオリンピックで優勝するなど,輝かしい成績を過去に残して来ているわけなのである。
過去には「東洋な魔女」と呼ばれるなど,バレーは国民的人気スポーツだった。
そして多くの男子たちがそんな全日本の男子に憧れてバレー部に入った時代があるのである。
では,
なぜ勝てなくなってしまったのか。
その辺の所をバレーボールに関わっているものの一人として今回は書いてみたいと思うのであるーーーーーーーーーーーーーー。
そもそもなのだが,あの試合の平均身長を見てみると,
日本が175に対して
中国は190㎝。
15センチもの差があるわけである。
そして中国の何がすごいってこれが「平均」であること。実際には190よりでかい選手もいるわけである。
そもそも考えてみて欲しいのだが,日本人女性で190センチある人に会ったことがあるだろうか。日本人は人種的にそこまで大きくなれないのである。
それに例えいたとしても、その女性が運良くバレーボールをやっているとは限らないだろう。
しかしどうだろうか,海外を見ると,190センチ以上あってかつとんでもなくバネとスピードがあってバレーをやっている選手がゴロゴロいるのである。
日本人なら全国から一人か二人しか見つけられないような人材を人口が多い国なんかは数十人,数百人見つけてくるわけである。
さらにその中からコートに選ばれる6人となればもう,日本人から比べるとはるかに身体能力に差があるわけである。
バスケットやバレーボールと言った身長が大きくものをいう競技においてこれが如実な差となるわけである。
しかし、そう書くと
「そもそもそんなに身長って大事なの?」
という方もいるかもしれない。
実際にバレーボールという競技では身長は高いほど有利である。
上の図を見て欲しいのだが,高いブロックが2枚きっちりつける状況というのは,こんな感じでボールが抜ける位置がかなり限定される。
つまり,守備側は
斜線の範囲のみ守ればいい
のである。
しかしこれが身長が高いチームだと,ブロックの上から打つことも可能になってくるので,
ここまでボールが飛んでくる範囲が広くなる。守る側がぐっと不利になるのがおわかりいただけるだろうか。
逆にいうと,身長がないチームは相手チームが限定して来た小さな範囲の中にボールを落とさないと得点が取れないわけである。
つまり言い換えるなら身長の差があると,コートそのものの大きさが変わることに等しい。
極端な話、私の中ではこんなイメージなのである。日本が明らかに不利だ。
つまりこれに勝つには日本は針の糸を通すような繊細なバレーをして相手コートにボールを落としていくしかないのである。
しかしそうなると,
「いや身長差は昔からあっただろ」
「身長差があっても勝ててた時代もあった」
という方もいると思う。おっしゃる通りである。
しかし,昔はその体格差を
戦術
で埋められたのである。
日本は
・回転レシーブ
・天井サーブ
・一人時間差
・ブロード
・アイパッドの導入
などこれまで様々な他国にない戦術を編み出し,これによって身長差を克服して来たのである。
これらの戦術でブロックを割ったり、相手が攻撃出来ない状況にすればまた戦況は変わるからだ。
しかし,現在これだけ情報化が進んだ現代社会において,これらの戦術が世界でも当たり前になった。
そしてこの数十年でバレーボールという競技は「もうこれ以上ない」というくらい戦術面では考え尽くされてしまったのではないかと思うのである。
現に全日本では,「新技開発会議」なる会議を設けて他の国がやっていないコンビネーションや新しいイノベーションが起こさないかを考えているらしい。
しかし,どんなに斬新な作戦を考えられたとしても今の超情報社会ではすぐ情報が各国に回り,対策が取られてしまう。
つまり,
もう戦術では差がつかない。
だとしたらやはりパワーや高さが勝負を決定づけてしまうのである。
私は日本のバレーがここから先世界のトップにもう一度立つことがあるとしたら,それは
・混血が進んで日本人の体格そのものが向上してくる。
もしくは
・ルールそのものが小さい選手に有利なものに変更される。(身長をポイント制にして各チーム何ポイント以下にする、とかね)
しかないのではないか、そんな目で見ているわけである。
ただそんな不利な状況の中で日本は本当に良くやっているのではないかと私は思うのだ。
体格差が明らかな中でアメリカやロシアからセットを取っているだけでもむしろ凄いことなんじゃないだろうか。
ここから先の試合も、応援したいものである。