さてオリンピックの日本バレーが男女ともに終了したわけである。
私もずっとバレーをやって来た人間であるので,私が感じたことを書きたい。
まず女子である。
どうなるかと見守った最終ドミニカ戦だが,見ていて勝てる気がしなかった。
私自身監督をやっていて分かるのだが,選手に声が届かない瞬間があるのである。
あの試合はまさにそういう試合だったように見えた。
もう選手たちがこれまでの試合で自信を失っていたのだろう。それでもなんとかもってきたものが韓国戦に負けてぽっきりと折れてしまった。
そんな気持ちで臨んだであろうドミニカ戦。
一セット目は25-10という結果である。選手の表情を見れば大体試合の行方は分かってしまうのだが,もうスタートの時点で無理だなと思った。
過去の華々しい成績と比較し,中田監督の手腕が否定されているが,私はそこまで中田監督が悪いとは思わない。
選手とのコミュニケーションを細かにとっていたのは明らかだろうし,コーチ陣にしても女性監督を支える素晴らしい男性指導者が選ばれている。
(コーチについている元東九州龍谷高校監督の相原昇氏にしても,前コーチのフェルハトアクバシュ氏にしても名将ですよ)
じゃあ何が悪かったかと言えば,運が悪かったのだと思う。
これまで長く日本をけん引してきた大エース・大セッターの木村や竹下らの引退。
更にコロナで一年間延期になったことで,レセプションの要である新鍋とセッターの佐藤美弥が引退した。
一球目と二球目の核になる人物がいなくなり,結果的には中田監督がこだわって目指した「一球目から早いバレー」という形だけが残った訳である。
どうもそれが中途半端な形で仕上がった印象だった。
一試合目のケニア戦では仕上げて来たように見えたが,相手のサーブが強くなると,なかなかかみ合わず,スパイカーが打ち切れない。
ネーションズリーグにおいてはレギュラーメンバーを固定して戦うやり方をとり,そのことにも批判があったが,あれも何とか急ごしらえで上位に行くためには仕方のない判断だったように思う。
なんというか,強豪校にも選手が獲得できなかったり,コロナで十分に練習できなくて負けてしまうみたいな時があるのだが,今回の女子はまさにそんな感じなのではないかと思う。
たまたま中田監督はそういう時に監督だったのではないか。そういう運のなさのような気がするのだが,それでも勝ち負けだけで判断されるのが勝負の世界の厳しい所である。
さて,今後の女子バレーはどうなるのだろうか。
個人的にはPFUブルーキャッツのバルデス・メリーサが日本代表になったらまた面白くなるんじゃないかと思う。
何にせよ身長で劣る日本にとっては竹下に次ぐセッターの発掘は急務だろう。頑張ってほしいものである。
さて,次は男子である。
なんというか,今の男子は日本人らしくないのである。
というのも,大体これまで日本人のでかいやつは動けないと相場が決まっていたのである。
私が現役の頃もそれこそ190センチ以上の奴は全国にもゴロゴロいたわけだが,揃って動きが遅い巨神兵みたいなやつがほとんどだった。
それがどうか。
今の日本にはデカくて上手くて,全身バネみたいなやつがいるのである。
しかも三人も同時に,だ。(石川・西田・高橋)
私はもう安西先生のような目でこの三人を見ているわけである。
パンチ力がある3人が常にサイドとバックから打ち切るし,サーブもショートを相手エースのスパイクコースに打って助走を潰すなど大胆ながら実に緻密なバレーをしている。
負けはしたが,ここまで日本の男子バレーが話題になったのは私が生まれてから初めてのことかもしれない。バレーファンが増えるのは私にとっても嬉しいことである。
そして,次のパリ大会はまだ若いこの三人が残ることを考えると,メダルの大チャンスなのである。
私が監督だったらどうするかを考えたのだが,ここは賭けに出るしかないと思う。
今の路線のまま行っても,ブラジルやイタリアなどの日本以上の高さとデータとテクニックを使ってくる強豪チームには勝てないと思うからだ。
そこで,私が監督なら思い切って西田をセッターにコンバートする。
そして一球目を真ん中に高く上げ,基本的にそれをセッターの西田に全部打ってもらう。つまり,2アタックである。
そしてブロッカーが寄ってきたところでトスフェイントにしてサイドが決める。今大会の石川のトスフェイントが話題になっていたが,あれは現状で防ぎようが無い攻撃なのである。
(ちなみにこの作戦は神様のバレーという漫画でもやってくるチームがあるので読んでみてね☆)
だから,あれを通常の攻撃にしてしまうというのが,私の考えである。もう三段攻撃は使わない。一球目からトスにしてしまえば相手のブロックも割れてくる。基本的に日本は二本目で打つ。(日本だけに)もしくはそこからトスというのをバレーのスタンダートにするのである。
あえて石川でなく西田をセッターにするのはサウスポーを生かせるのと,勝気だから慣れないポジションでも張り切ってやりそうという性格も考慮している。
そしてこの作戦をメダルがかかる準決勝までひた隠しにするのだ。
一切情報が出ないようにし,これまでのフォーメーションで自力で勝ち上がり,準決勝あたりの強豪相手にいきなりやる。
これまでオポジットで打っていた西田をいきなりセッターにする。
まさに仙道をここ一番でPGに抜擢した田岡茂一的発想である。
いやぁ面白い。そうなったら絶対面白い。
誰か日本代表関係者の人とかこのブログ見てませんかね?もう妄想するだけで私なんか楽しいんですけど,分かりますかね?
なんにせよ,今回思ったのは色々あるスポーツの中で私はやっぱりバレーを見てしまうということ。(他の競技は飽きちゃうんだな。)
あぁ好きなんだなこの競技が,ということを再確認させてもらった。
なんにせよ,競技に携わる者として熱量をもらった気がする。
またここからの日本代表も応援したいものである。
本日も読んでいただき,ありがとうございました!