「一万時間の法則」
というのが,教育界の1つの定説としてあるのである。
これは,
どんな分野でも10000時間練習すればその分野のエキスパートになれる
というものである。
だいたい1日3時間の練習を10年続けるとこれくらいの時間数になるのだ。
たしかに中学校から大学まで1つの競技を続けたらまあエキスパートの世界に入るだろう。
そしてこの1万時間の法則という言葉は,言葉のキャッチーさもあって瞬く間に教育界に浸透していった。
さらにこれは同時に,
「たくさん練習すれば上達する」
ということを裏付ける1つのバックボーンになって来たのである。
たしかに甲子園に出るようなチームはどこも朝から晩まで練習しており,「いっぱい練習した方が勝てる」というのは今も昔も変わらない1つの定説になっているのである。
しかし,この長時間労働が問題視されるこのご時世に,たくさん練習して勝つことが本当に手放しで素晴らしいことだと言えるのか私は疑問なのである。
さらに,
最近ではこの10000時間の法則が正しくないのではないか
という話も出て来ているのである。
詳しくはこの動画を見て欲しいのだが,この中でダイゴ氏はこんなことを言っている。
プリンストン大学が2014年に行なっている研究やミシガン大学の行った研究で、1万時間集中的な訓練を行ったら誰でも天才レベルの能力が身につくとした1万時間の法則には不備があったのではないかとされています。
練習量が多いか少ないかということは実は関係がないかもしれないということです。練習量が少なくてもトップレベルになるような天才が一部いるわけです。逆に、どれだけ必死に練習してもいつまでたっても上達しない人もいるわけです。
練習が無駄だとは言わないけれど、それ以外にも大事なことがあるのではないかということを今回の研究では示唆しています。
このように,従来の10000時間の法則に対する反論を述べているわけである。
このような動画を見たり,さらには時代の流れもあるので,
私は今年の部活のチームを,
過去一番少ない練習量
で大会に臨んだのである。
練習時間はガイドライン通り。つまり土日どちらかは休む。それにやっても3時間程度。
平日も確実に休みをとる。さらに他の部との兼ね合いもあるので,体育館が使える日は実質週3日という練習時間の少なさである。
そのかわり短い練習時間を最大限に濃いものにするためにも,体育館が使えない日はビデオで春高や海外のプレーを見せてモチベーションを高めた。
また自分たちのビデオを見て自分たちで課題を見つけるように促し,体育館が使える時には見つけた課題にのみ集中して取り組むように心がけたのである。
ようは体育館使えない時にはモチベーションを高めることに重点をおき,使える時には最大限濃くて厳しい練習をやる,というやり方をとったのである。
またバレーそのものについてもセオリー通りではなく相手のリズムを崩すことだけを考えて,従来3本で返すところを2本で打って返す練習を続けて来た。普通にやっても絶対身体能力で勝てないからである。
その結果としてだが,チームは
かなり伸びた
のである。
過去にはほぼ休みなく練習していたこともあったが,それ以上のスピードで伸びたのではないかと感じている。
半分が初心者から始めたにもかかわらず地区予選を勝ち抜いて県大会に出場することができた。
怪我のリスクも減ったし,私自身も家庭を見る時間も出来たし,現状でベストではないかと思ったのである。
しかし。
一昨日行われた県大会では一回戦で圧倒的な力の差を見せつけられて上位チームに負けてしまったのである。
それも練習時間の差というよりは圧倒的な高さとテクニックの違いを見せつけられた内容だった。
さらにうちに勝ったそのチームがすごく練習しているのかといえばそうでもないのである。
今回うちのチームを倒したところは市町村の方針もあって土日は全く部活動として活動していないのだそうだ。なので個々人でクラブチームで練習しているらしい。
なんだか陸上の世界で,100メートルの決勝に日本人が残れず,黒人選手ばかりが残ることに似ているなぁと思った。
悲しいがスポーツの世界にはどこかで才能の壁というか,練習時間では超えられない絶対的なもって生まれたものの差が出ると思うるのである。
このような経験もあり私は10000時間の法則って実はそんなに正しくないんじゃないかと思っているのである。
いや現実には影響はあるかもしれないが,そんなにも時間をかけるくらいだったら日頃の練習に無駄がないかもっと見直した方がいいと私は思っているのだ。
しかし,だからといって「もう長時間練習はやめましょう。必要ないですよ」と私が言ったところで大した成果を出しているわけでもないので,はっきり言って説得力はあまりない。
どうしたら短時間練習でもっと勝ち上がれるチームになるのだろうかと感じている今日この頃である。
追伸
部活縮小の流れはあるし,そこを追うのが今の時代に逆行しているのもわかるんですけど,やっぱり負けると単純にめちゃくちゃ悔しいんですよね。 笑新チームでまた頑張ります。