教員採用試験の倍率がどこの県でも落ちているようである。教員の端くれとして思うところを書いておこうと思う。
採用試験の倍率が低下してきた理由は明白である。
それは,この仕事が,
めちゃくちゃ忙しいからだ。
いや倍率が高かった頃から忙しかったのは多分変わっていないだろう。しかし,それがインターネットの力によって可視化されたのである。
ツイッターやブログには教員の仕事への不満が溢れている。それを見た学生たちが教師という仕事を敬遠するようになっているという構図である。
10年前までは10倍ほどだった私がいる県の倍率も今や5倍まで落ち込んでいる。
一般の皆様は,
「本当に先生てそんなに忙しいの?」
と思うかもしれない。しかし,実際やってみるとこれがめっちゃ忙しいのである。
ちなみに私が初任の時は,土日も部活をやっても問題なかったので,私も「一生懸命な先生がいい先生」だと思い,盆と正月以外ほぼ休まずに練習していた。
生徒指導も夜中まで対応することもあったし,ほとんど寝る時間以外の全てを仕事に充てていたと思う。
そして初めての給料をもらった時の感想は,
「これ倍額もらっていいだろ…」
だった。
初任給の喜びよりも労働量に対しての額の少なさに驚いたのだ。(多分時給換算したらとんでもないことになってたと思う)
このような忙しさが可視化され,学生がこの仕事を敬遠するのはよくわかる。
もはやとどまることを知らない倍率の低下である。
このままいけば現場にとんでもなく質の低い教員が立つことも考えられるわけであり,早急な対応が求められている。
しかし、ね。
これに対する各県の対応がちょっと私には理解しがたいのである。
例えば,
・採用試験の受験科目を減らす
とか,
・教員免許なくても受験できるようにする
とか
・現役の教師がYOUTUBEでやりがいをアピールする
なんてことを各県が今やっているわけである。
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。
私はこれらすべての対策に疑問を感じずにはいられない。だって本丸である教員の忙しさの改善に触れているところがどこもないのだ。
当然今もツイッターには教員の過重労働情報が溢れている(ちなみにこのブログもだぞ)
現在の教員採用試験への各県の対応は穴の空いた船の浸水部分を無視して,
「もっと船に乗ってくれる人っていませんかね?」
「今なら乗船の条件ゆるいですよ!」
「めっちゃやりがいありますから!」
と言ってるようなものなのである。誰が乗るんだこんなもん。
そしてそういう政策を見るたびに今後に不安を感じるのである。
教員採用試験の倍率を本気で取り戻そうと思ったら業務を減らすしかないだろう。しかし,我々現場の教員にその権限はないのである。上の人たちがそのような感覚のままで本当に学校という場所が変わるのだろうか。心配になる。
私はこれらの政策を聞くたびにあのオリンピックの傘帽子を見た時のような「決定権を持つ人たちのセンスのなさ」みたいなのをすごく感じるのである。
そして同時に一番思うのは,
この船に自分は乗っていて大丈夫なのか?
ということである。
自分はこのまま倍率が下がり,現場の質が確保されなくなっていく中でうまく生き残ることができるのだろうか。
今は元気だが,「いつ病気になってもおかしくない」と私は常に思っている。実際元気だった先生が心を病んで…なんてこともよく聞く話なのだ。
そんな思いで「次やるとしたら何やろうか」というのをもう初任の頃からずっと探しているし、やりたいことがあればいつでもやめるつもりでいる。
ここ5年ほどずっと考えているのだが、今のところ私には教師以上にやりたいことがないのである。
私は中学校の時にこの仕事を志したのだが,今でもそのきっかけになった先生を尊敬しているし,自分の人生の文脈の中からこれ以上自分が頑張れる仕事というものを他に見つけられないでいる。
とりあえず今できることをやる。
そんな気持ちで明日も6時前には家を出るのである。
追伸
時代の変化に追いつけてないんでしょうね。学校が。なにかを変えるにはあまりにも図体がでかいというかね。ま、頑張ります。今日も読んでくださりありがとうございました!