教職者K

教育について考えるブログ。

もしも学校教師が前田裕二の「人生の勝算」を読んだら。③

③仮想敵の存在

 

前田さんは3つ目に熱狂的なファンコミュニティを作り出すためには、

 

「仮想敵の存在が必要」

 

とも書いています。

 

なるほど、たしかにAKBなどはメンバー同士で競争させることによって応援する側の気持ちを盛り立てています。

 

他のグループの存在も仮想敵になりうるでしょう。「今度のシングルでは絶対オリコン1位を取らせたい」という気持ちがさらに応援に熱を入れさせます。

 

 

最近何かと話題のキングコングの西野さんも「ディズニーを倒す」と宣言しています。これも、そう宣言することで自分のコミュニティーを盛り上げる戦略なわけですね。

 

これは学校でも言えることで、学校における仮想敵というのは、

 

「他校」

 

「他クラス」

 

「他グループ」

 

だと考えています。

 

部活動というシステムは、他校という仮想敵を作ることによってチームの結束を促していますし、

 

合唱コンクールや体育祭といった行事も、他のクラスを一時的に「仮想敵」に見せることによってクラスの団結を高めているのです。

 

どこの学校にもこれらの行事があるのは、それが仮想敵を作りクラスをまとめていく上でとてもよくできたシステムだからだとも言えます。

 

また中学生ではよくグループ間でのいざこざが起こります。

 

「ラインのグループから外されて悲しい」

「あのグループの子に睨まれた」

 

そんなことを言ってはしょっちゅう喧嘩になるのが中学生というものです。

 

いや仲良くしろよとこちらは思いますが、これらの事例もある意味で、

 

「仮想敵を作ることによって自分たちのグループの結束を確かめている」

 

と考えられます。

 

私たち教師からするといい迷惑なのですが、あのグループ同士のいざこざにも実はそんな意味があるのではないかと思うのです。

 

私自身部活を持っていて思うのですが、どんなに良い子達でも必ずそんなグループ同士の対立になる時があります。

 

そして、それは悪いことではなく、必ずその経験の後にチームは強くなるんですね。なので最近ではチーム内に混乱があっても「お、集団として次の段階に移行しようとしてるな」と少し楽しめるようになって来ました。

 

 

 

このように仮想敵の存在というのは非常に効果的な面もあります。

 

しかし、反面で過度な敵意識というのはあまり教育現場にはそぐわない部分もあると思います。

 

その辺のことを理解してバランスよく効果的に使う道を探っていきたいものですね。