②客から中の人へ
2つ目の熱狂を作る方法。それが「客から中の人へ」です。
前田さんはスナックを例に挙げて、
「なぜスナックが潰れないかというと、客がお酒を作ったりするなど、運営に回ることができるから」と書いています。
AKBにしてもファンがどれだけ頑張るかが推しの人生を左右しています。この共同体感覚が熱狂を生んでいるわけですね。
これは学校で言い換えるなら
「(教師ではなく)子どもがクラスの運営に回れると、学校が好きになる」
と言い換えることができるのではないかと思うんです。
学級経営にしても授業にしても子ども達にいかに「自分たちで運営している、作っている」という感覚をもたせるかが熱狂を生む上で大切なわけです。
授業においてこの主導権をもたせる方法というのは、かなり長くなってしまうのでまたの機会に。
今回紹介するのは学級経営における子ども達の運営側への回し方です。
私の一番のオススメは、
「クラス会議」
です。
クラスの問題点を自分たちで出し合って自分たちで解決する。
単純なものですが、これめっちゃくちゃ効きます。子ども達が運営しているという意識をとても持ちやすいんです。
以前クラス会議をやった時に私のクラスから出た問題点は、「授業中の私語が多い」というものでした。
子ども達はその解決方法を考えて「それぞれが意識して私語を減らす」という結論を出しました。
はっきりいってこの結論では何の具体的な解決にもなっていません。もし企業で、こんな解決策を出してきたら、「もう一度やり直してこい」と言われることでしょう。
でも、「それぞれが意識する」で確実に私語は減ったのです。
これは有効な解決策を見つけられたからではなく、話し合いの過程で自分たちが参加しているという意識をもてたことが子ども達の行動を変えたのだと想像できます。
このように、教育的効果を求める上でもクラス会議は有効ですし、生徒達が自分たちで運営しているという意識をもちやすいのでとてもおススメです。
中学校ではなかなか時間が取れないのですが、私は少なくとも学期に一回は取り入れています。時間がない時はコンパクトにして帰りの会などで話題を提供するなどしてもいいかと思います。
(ちなみにクラス会議について気になる方は赤坂真ニ先生のクラス会議についての本がおススメです)
赤坂版「クラス会議」完全マニュアル 人とつながって生きる子どもを育てる
- 作者: 赤坂真二
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さらに部活動にしてもクラス運営にしても重要なことは運営側に回ってもらうためにも、
「生徒が決定する」
ことを意識しています。
なので、現在私の持つチームではキャプテンは生徒自身が決めます。
以前はこちらで決めていたこともありましたが、自分たちで決めるための話し合いをもつことで、キャプテンになる子は自覚をもち、
また他の子も選出した責任がありますから一生懸命にキャプテンを盛り立てようとします。
結果として私が一方的にキャプテンを決めるよりもいい人選になってくるのです。
心理学の世界には、
「自己選択をする事で、2倍から4倍のパフォーマンスアップにつながる」
というデータもあります。
それくらい、パフォーマンスを上げる上でも子ども達に自己決定をさせることが重要なのです。
ただし、これにも時期が重要ではないかと思います。
「よし、じゃあ全部子どもらに任せよう」
と思っても、子どもらが育っていない段階で生徒だけで話し合いをさせたら、お互いに誹謗中傷になってしまうことも十分に考えられます。
最初はある程度教員が主導を握り、子ども達がある程度の段階になったら主導権を譲っていくようにしています。
以上、長々と書いてきましたが、
「いかに運営側に回すか」
というのが、
ファンコミュニティーを作るだけでなく、良いクラスを作る上でも重要なのではないかと思っています。
運営側に回すしかけがあるかどうかを見直したいものですね。