教職者K

教育について考えるブログ。

持ち家が羨ましくなった話。

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私は,賃貸派である。

 

家を買おうと思ったらそろそろ思い切らないといけない年齢だが,このまま行こうと思っている。

 

というのも,今後日本は人口減少する一方だろうから,空き家だらけになっていくだろう。

 

つまり,住居が供給過多になる。

 

なので今の石油ではないが,「お願いしますから住んでください」という状況にすらなるんじゃないかと考えているわけである。

 

そんな私なのだが,この自粛期間中は持ち家が非常に羨ましく感じた。

 

というのも,娘と散歩していて,改めてアパートを見てみたのだが,隣の一軒家と住んでいるアパートが全く同じサイズだったのである。

 

仮に隣の家の住人の名を佐藤さんとしよう。

 

佐藤さんは多分4人とかでその面積の家を使っている。

 

一方でこちらは4世帯でその面積を割り,おそらく15人ほどで使用している状況だ。

 

更に佐藤さんちはなかなか経済的に裕福な家らしく、我々が駐車場にしている部分の庭にすべて芝を貼り,四方をゴルフ場のように緑のネットで囲んでいる。

 

もちろん,ゴルフの練習も出来るし,キャッチボールも十分出来る。やっているところは見たことがないが,きっとバドミントンも出来るだろう。(バレーはキツいかな)

 

一方でこちらはどうか。

 

当たり前だが,バーベキューというこの季節のお楽しみが出来ない。やったとしてもホットプレートに落ち着くだろう。

 

ちなみに我が家の場合,妻はそれすらも煙が出るのを嫌がるので,フライパンで焼いた肉を持ってくるというシステムになっている。当然だが,その効率と反比例するように私のテンションは上がらないままである。

 

更に子どもと家の中でかくれんぼとなると,二箇所ぐらいしか隠れる所がない。

 

ここは一つテンションが上がることを…と思い,流行りのオンライン飲み会に興味をもったのだが,

 

そもそも飲み会をする友達がいない

 

ということに気づいて絶望している。

 

例え開催出来たとしても,子どもが寝た後に喋っていたらまず間違いなく狭い室内に響く。

 

酒を飲んで子どもを起こしてしまった場合,コロナに感染することよりも恐ろしい結末が予想されるのである。

 

なので,今回のコロナの騒動で色んな価値観が変わっていると思うのだが,持ち家もまたそんな魅力を取り戻しているのではないかと感じたのである。

 

だからそんなことが気兼ねなく出来る一軒家とはやはり魅力的だなと感じたのである。(まぁそれでも買う気はないが)

 

ちなみにちょうど家に一軒家についてのポスティングがあったので見てみると,

 

新築物件4100万円!

 

月々7万9千円!(ボーナス払い15万!)

 

ローン45年!

 

なんて書いてあり,

 

いや俺ローン返す頃には80だわ!

 

と思ってくしゃくしゃに丸めてすぐに捨てた。

 

金持ちとそうでないもの,その差もまたコロナが浮き彫りにしているのは間違いないようである。

 

 

GWに家にいたことが無かった男が初めて家にいてみた話。

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さて、連休最終日である。皆さんはこの連休をいかがお過ごしだっただろうか。

 

かくいう私は,教員になって初めてGWを家で過ごした。

 

というのも,毎年この時期は大会直前ということもあり,部活動にとってGWは最後の追い込みの時期になっているのである。

 

私もどちらかというと部活バカなので,これまで毎年のように県外に行っては大会に参加してきた。

 

最初に書いておくが,そういうこれまでの経験が無駄だったという気は全くない。

 

私はそれによって多くの指導者達からたくさんのことを学んできたし、それは私が望んだことでもある。

 

更には引退間近の三年生や保護者の皆さんと,このGWの遠征を通じて作ってきた思い出というのは本当に良い思い出である。

 

しかしながら,それは振り返ってみると,私の家族にとってはそうでは無かったのかもしれないなと今更ながら思うのである。

 

昨年は娘が産まれて初めてのGWだったのだが,私は妻と娘を置いて一人で県外まで遠征に出かけていた。

 

そんな私にとって今年のGWは初めて家にいる時間だったのである。

 

新型コロナウィルスの影響もあり,出かけても散歩程度のものだった。

 

基本的には家での時間を過ごしたのだが,この5日間で色んなことに気づいた。

 

まず、娘の成長である。少しずつ意味のある言葉を喋るようになって来ているのだが,更に語彙が増えていた。

 

「シーカーセ!」

 

と新幹線が通るたびに言う。

 

また寝る時には家族3人で川の字になっているのだが,私の肩をポンポンして寝かせようともしてくる。立場が逆転しているのである。

 

更に楽しいことがあると,

 

「もっかい!(もう一回!)」

 

と言ってせがむ。

 

散歩中にはチューリップが咲いている場所があり,そこで必ず立ち止まる。

 

今日にはもうそのチューリップが枯れていたのだが、

 

そのチューリップに向かって娘は,

 

「もっかい!」

 

と言い続けているのである。

 

花の変化に気づいていることが分かり,些細なことだが私はとても嬉しかった。親とはほんのわずかなことでも子どもの成長が嬉しいらしい。

 

そして妻への見方も少し変わった。

 

妻はこの自粛期間中も家で少しでも娘が楽しめるようにと,手巻き寿司だったり,ホットケーキ作りだったりと,とにかく工夫を凝らしてくれた。

 

娘の成長に伴って少しずつ子育てにもゆとりが生まれてきたのか,最近は穏やかな毎日が続いている。

 

これまでは初めての子育てで,祖父母も近くにおらず,更には私も居ないという環境で妻にもゆとりが無かったのだろうな…と今ならその気持ちが分かる。

 

私はこの連休で,これまでこのブログにも色々と書いてきた自分の方が大馬鹿野郎だったことに気付かされたのだった。

 

連休の最後,今日の夕飯はまたしても妻の好物であるすき焼きにした。

 

前回のホワイトデーの失敗を生かし,今日は脂身の少ない肉をチョイス。

 

最後まで胃もたれすることもなく,妻も満足そうに食べていた。

 

「脂身の少ない肉を400グラム。」

 

これが今我が家ですき焼きをする際の肉の適量である。

 

(ちなみにネギ,えのき,しいたけは必要。しらたき,白菜,豆腐は不要。)

 

自粛期間で大したことは出来なかったが,それでも私にとっては悪くない休日であったように思う。

 

「もっかい!」

 

娘ではないが,そんなことをこの連休を振り返った今思っている。

【レビュー】書評の仕事

先日こちらの本を読みましたのでレビューを書きます。

書評の仕事 (ワニブックスPLUS新書)

書評の仕事 (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者:印南 敦史
  • 発売日: 2020/04/08
  • メディア: 新書
 

年5百冊本を読むという書評家さんのかいた作品です。

 

この人がどう書くかで本の売り上げが変わるのだとか。

 

私も毎日の様にこんな文章を書いていますので、プロはどんなことを意識して書評を書いているのか参考にしたくて書いました。

 

大事だなと思ったことをまとめます。

 

「書き手」が出過ぎない

まず,「そこに芸術性はいらない,書き手の個性は要らない」とはっきり書いてあって,私みたいに全面に出たがるタイプからすると、

 

「え、そうなの!?」

 

といきなり先制パンチを貰いました。

 

というのも,書評である以上,

 

読み手が求めているのは「どんな本なのか」「買うに値するか」「得るものはあるのか」

 

だからでしょう。

 

なのでそれを判断する際に書き手の個性は情報としては余計になるようです。よって控えるべきだとされていました。

 

(ちなみに私はアクセスを集めたいとか,本の売り上げに貢献したいとかっていうモチベーションでこのブログを書いている訳ではないので,今後も好きに書きたいことを書こうと思っております……。)

いい書評とは。

また本の中ではいい書評とは,

 

「書き手が誠実に本音で書いていることが伝わって来るもの」

 

としています。

 

これ確かにそうで,文が上手いかどうかってかなり二の次で,そもそも「最後まで読もうと思える文章かどうか」ってのが凄く大事だと思うんですよね。

 

特に今は世の中にメディアが溢れてる時代ですから,素人の文なんて誰も読もうと思わないですから。

 

だから書き手が誠実かどうかってのは、文章を読ませるための最初の条件なんじゃないかなと私も思いました。

 

ちなみに誠実に書くと,私はもっとこの本に「書評家」としてのテクニックが載っていることを期待したのですが,

 

むしろ「書評家というのがどんな仕事なのか」というその仕事の裏側がメインになっている本でした。文章のテクニック的なものを期待している人にはちょっと違うかもしれません。

どれだけ人生経験を積んできたか。

そんなこの本の中で私が「確かに!」と思ったのは、

 

「いい文章を書けるかどうかは、どれだけ人生経験を積んできたか」

 

という部分。これはホントそうなんじゃないかなと思いました。

 

結局何かを経験した時に、それを自分の中にあるものと組み合わせて新しいものを作り出すしかないんですよね。

 

だから人生経験が多いほど,面白いものが出来る。

 

最近よく思うんでけど,

 

「行動と読書の幅が,自分の未来の幅を決める」

 

なんじゃないかなって。

 

だから今のうちにいろんな本読んで,人が出来ない経験をいっぱいしておきたいなって思いますね。

 

最後になりますが,今みたいに一般人もレビューをたくさん書く時代にプロとして生き残っていくのは並大抵のことではないと思います。そんな書評家という仕事の裏側を覗きこめる一冊になっております。

 

皆様の次の読書の一冊として参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき、ありがとうございました!

 

【レビュー】落日。

先日こちらを読みまして。

落日

落日

  • 作者:かなえ, 湊
  • 発売日: 2019/09/02
  • メディア: ハードカバー
 

直木賞の候補作になっていたということで気になって読んでみました。

 

このあらすじと感想を書いてみます。

あらすじ

長谷川香という女性は,親から虐待を受けています。

 

母親が期待する通りにうまく振る舞えないとベランダに放り出される日々…。

 

そんな彼女の心の支えになったのが,隣の家の子の存在でした。

 

隣の家の子もまた虐待を受けており,二人は顔が見えないまま,ベランダでお互いに励まし合います。

 

しかし,その隣の家では後に長男が妹を刺殺し,両親を放火で殺してしまうという事件が発生します。

 

成長した香は映画監督となり,この事件のことを題材にしようと調べていくことで、次々とこれまで分からなかった事実が明らかになっていく…

 

そんな本格的なミステリーになっています。

感想

感想としては、まず物語全体に緊張感があり、読んでいてずっとハラハラします。

 

次々と分かる事実は読者のミスリードを誘い,非常に読んでいて面白い作品でした。

 

何より私が一番思ったのは、

 

女性の怖さ

 

なんです。

 

この本に出てくる女性がみんな怖い。男なんて単純な生き物だということを改めて思わされます。

 

湊かなえさんのデビュー作の「告白」もそうだったと思うんですけど,女性の執着する怖さみたいなのがすごく書かれています。

 

特に本書の中には、隣の家の女の子としてサラという子が出てくるですけど。

 

平気で嘘はつくわ,裏と表の顔はあるわ,善意に見せかけたイタズラするわ,嘘ついて男同士の仲も悪くするわ、

 

と,もう中々の性格の悪さなんですよ。

 

そして何が怖いって

 

このキャラクターが少しも空想に思えないところ

 

だったんです。

 

実際に居ますからね、こういう生徒。自分が話の中心じゃないと気が済まない子。

 

教員なんでそういう目で本を読んでいました。

 

特に小学校5年生ぐらいからはそうだと思うんですけど、担任の力量って

 

女子と上手くやれるか

 

に凄くかかってると思うんですよね。

 

ここがめちゃくちゃ難しくて、私も部活では女子部をもっているんですが,毎年「必ず」一回は人間関係でトラブルが起こります。

 

そのトラブルをうまく解決出来ないと,勝ち上がるチームは作れないんですよね。

 

クラスもそうで,そういう女子達の信頼をいかに得るかが肝になっているというか。

 

この本からはそんな女性の執着の強さと怖さを凄く感じましたし、そういう心理を勉強する上でも参考になったかなと思います。

 

ということで,今回は湊かなえさんの「落日」についてあらすじと感想を書いてみました。

 

皆様の次の一冊の参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!

 

 

謎の組織。

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皆様ゴールデンウィークをいかがお過ごしだろうか。

 

私は教員になって初めての連休を経験している。

 

毎年この時期といえば県外の大会に泊まりがけで遠征に行っていたので、嘘のように静かな日々である。

 

しかしながら今年は行くところがない。

 

子どももストレスが溜まってしまうので、人混みを避けて近所の公園を散策したりしている。

 

今日はちょっと山にでも散歩に行ってみようかと車で1時間かけて山へ行ったのだが、駐車場から全て閉鎖。

 

調べてなかった私が悪いのだが、そういうご時世な訳である。

 

行くところが無くなってしまったので、急遽目的先を目的地にしていた山の近くにあるという庭園に変えることにした。

 

思いつきで行った場所な訳だが、ここが素晴らしかったのである。

 

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広大な庭園にこの時期はチューリップが咲く。これからの季節はバラが見られるそうだ。

 

あまり自然に興味のない私だが,また来たいと思った。

 

人もまばらだし、自然の中にいる感じがなんとも解放感があって良かったのである。

 

ちなみにこの庭園だが、「ライオンズクラブ」なる組織が運営しているそうで。

 

私は前々からこの「ライオンズクラブ」なる組織が気になっていたのである。

 

というのも、毎年GWに県外で行われている大会もその「ライオンズクラブ」の主催になっているのだ。

 

毎年ネパールの帽子みたいなやつをかぶったおじいちゃん達がかなり大規模に運営しており,あの爺さん達は何者なのかがいつも気になっていた。

 

なので、このライオンズクラブについて調べてみようと思ったのだが、こういう時にいきなりネットを引いてしまうのは面白くない。

 

私はまず、妻にライオンズクラブについて知っているか聞いてみた。

 

私「ねぇ、ライオンズクラブって知ってる?」

 

妻「知ってるよ。」

 

私「どんな組織なの?」

 

妻「会員はみんな名前にライオンって付けて呼ばれてる」

 

私「絶対嘘でしょ」

 

妻「本当だよ。例えば佐藤さんだったら佐藤ライオン。

 

私「恥ずかしくない?」

 

妻「いや、それが普通なんだって。ちなみに呼ばれたらガオッて返事するのが決まりなの」

 

彼女が言っていることが本当か嘘かは知らないが、少なからずめちゃくちゃ面白そうな組織である。

 

同時に私の頭に更なる疑問が湧く。

 

私「じゃあさ、そのライオンズクラブ

 

大西ライオンが加入してきた場合

 

はどうなる訳?

 

やっぱり大西ライオンライオン?」

 

妻「…いい質問。大西ライオンはきっと大西さんだろうから、

 

そこはやっぱり

 

大西ライオン

 

って呼ばれることになるかな。」

 

そんなやりとりをしながら庭園を散策して来たのである。

 

ちなみにリクエストされて今日もソフトクリームを買った。

 

いくつ買ったのかって?

 

もちろん、妻と娘の2つ分である。

 

晴れた日に自然の中を歩き回るのは本当に気持ちが良かった。

 

コロナで山が閉鎖されていなかったらこんな発見もなかったのだなと思う。

 

なので、残りの期間もそんな発見が出来たらいいなと思っている。

 

ちなみにライオンズクラブが何なのかは、今も謎のままだ。

ガキの使い。

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苦手なのである。買い物を頼まれるのが。

 

最近は給食が無いので昼休みにコンビニに行ったりする職員もいるのだが、

 

「なんか買ってきて欲しいものある人いますか〜?」

 

なんて周りに聞いたりする人もいる。

 

なんというボランティア精神か,と私は感心している。私だったらそんな声は掛けないままそそくさと行ってくるだろう。

 

なぜ買い物を頼まれるのがそんなにも嫌かというと、買ってきたものでガッカリされるのが怖いからである。

 

頼む方は特に気にすることもなく,欲しいものを挙げる。

 

しかし、実際の場面では例え一つの商品を言われたとしても、選択しなくてはならならかったりする。

 

その選択をミスるのが私にはストレスなのであるーーーーーーーーーーーーーーーー。

 

先日私は娘と奥さんとドライブに出掛けた際に、

 

「ソフトクリーム買ってきて」

 

と奥さんから言われたのである。

 

先述した通り、行きたく無いのだが,三密を避けるためにも私が行くことになってしまった。

 

果物屋さんが出しているというそのソフトクリームなのだが、私がソフトクリームを注文すると、店員さんは、

 

「バニラですか?いちごですか?」

 

と聞いてくるわけである。

 

…むずい。

 

バニラか、いちごなのか。

 

妻からは「ソフトクリームを買ってこい」と言われているだけである。期間限定でいちご味があるなんて聞かされていない。

 

しかし、ここは苺をチョイス。妻も娘も苺が好きだ。しかも苺の方が高い。こちらにしておけばまず間違いないはず。

 

そう妥当な判断をしたと思ったら、また次の設問がやって来る。

 

カップですか?コーンですか?」

 

…知らん。

 

次から次へと質問で隙を与えてもらえない。敏腕系の教員の授業のようである。

 

どっちだ?カップか?コーンか?

 

なぜ私はこんな事に頭を悩ませなければならないのだという気になる。電話して聞くにも後ろにお客さんが待っていてそんなゆとりはない。

 

この時点ですでに,

 

味(2種類)✖️容器(2種類)=4パターン

 

の選択肢があるわけである。この中から妻が満足する答えを見つけるのは至難の技だ。

 

ちなみに私は常々、「食べられる分コーンの方がお得」だと思っている。

 

しかし、妻は「コーンなんかでお腹を満たしたくない」とかいうタイプだ。

 

「ここはカップ!」

 

そう判断した私はカップをチョイスしたわけである。

 

しかし、またしても次の設問が出されてしまう。

 

「いくつですか?」

 

いくつ…?うーん、考えてなかった。

 

今は最大3個必要な場面である。(私、妻、娘)。よってこれによって提示された選択肢は更に増える事になる。

 

味(2種類)✖️カップ(2種類)✖️個数(3通り)=12通り

 

である。

 

妻は「ソフトクリーム買って来い」といっただけだが、実際に買いにいった私はこの12通りの中から妻好みの正解を選ばなければならないのである。このストレスたるや…。

 

とりあえず個数を考えるのだが、まず私は別に食べたくない。更に、まだ1歳の娘もそれほど食べられないだろうから、妻から一口貰えば良い。

 

「1つでお願いします!」

 

私はそう合理的に判断し、

 

最終的に

 

「苺ソフトクリームをカップで一個」

 

購入したわけである。

 

オーダーを聞いた店員さんは目の前で生の苺を数個とり、カップの中に入れてぐしゃぐしゃと潰す。

 

さらにその上にミルクソフトクリームを載せて、その上に苺をまるまる一個ちょこんと載せた。

 

生の苺を使ったソフトクリームは見るからに美味そうで、これなら満足してもらえるだろうという確信をもつ。

 

お金を払うと、絶対に溶けさせてはならないという緊張感から,私は走って車に戻った。

 

溶けないようにスピードを上げつつ,絶対に落とさないように細心の注意を払う。我ながら完璧である。

 

(ちなみにこの時中学生時代の同級生だったS君が高原学習の際にソフトクリームを落として泣いていたことを思い出した。)

 

そして,私はこれらの難関を全て乗り越え,妻にソフトクリームを届けた訳である。

 

私「どうぞ!」

 

妻「あれ?

 

 

 

 

なんで一個なの?」

 

ミスったー!

 

一個じゃなかったみたいー!

 

しかし、ここは冷静に私がそのような判断に至った経緯を説明する。

 

私「俺は要らないからさ。食べなよ」

 

妻「あぁそう。

 

 

あれ?

 

 

 

スプーンもう一つは?」

 

スプーン!!??

 

え、スプーン??そんな選択肢まであったんですか??

 

妻「2つスプーンあればこの子も同時に食べれるじゃん。」

 

そうか…スプーンか。全く何も考えていない私はスプーンを余計に貰わなかったのである。

 

しかし、そんなのは一つのスプーンを回せば良いだけの話だ。

 

「(これは正解を出したな…)」

 

私はそう確信したのだ。12パターンの中から最も妻の満足度の高い選択をしたはずだ。

 

しかしどうだろうか。

 

今度は娘がそのアイスを見ながら泣き始めたのである。

 

どうやら彼女は

 

「私に食わせろ」

 

と主張しているらしい。

 

ということで、娘に何口かあげる妻。

 

娘に何口か譲り、いよいよ妻が食べようとすると、娘がここで更に大号泣である。

 

カップに手をかけ、鬼の形相で泣く。

 

結局そのまま娘は一人でアイスを食べ続け,最後にドロドロになった液体を妻が一口だけ飲み込むというエンディングを迎えた。

 

私のチョイスを責められたのは言うまでもない。

 

これだから人の買い物に行くのは嫌なのである。

 

だから私は、みんな行けるなら買い物は自分で行くべきだと思っている。

 

例えそれが1歳児であっても、である。

 

 

 

【レビュー】店長がバカすぎて

先日こちらの本を読みまして。

店長がバカすぎて

店長がバカすぎて

  • 作者:早見和真
  • 発売日: 2019/07/13
  • メディア: 単行本
 

本屋大賞の9位になった作品ですね。なんとなく,タイトルが気になって読んでみました。

 

こちらは本屋の店員さんをめぐるお話です。

 

店長のちょっと情けないキャラクターや、面倒な作家さんなど,一癖あるキャラクターの設定が魅力。

 

更には、この本自体が作中に登場してくる入れ子構造になっていたり,最後には全部伏線を回収したりするなど,非常に今時っぽい話だなと思いました。

 

私がこの本から考えさせられたのは、

 

現代における本屋の役割

 

なんですね。

 

というのもネットでいくらでも本が買える時代に本屋さんの役割ってなんなんでしょうか。

 

個人的には視認性,つまりネットっていうのは自分の興味のある本しか調べないですけど,リアル書店は「こっちにもこんな面白い本あるよ」って気付きやすいメリットがあるのかなって。

 

パラパラっと見れば大体自分に必要かどうかも分かりますしね。

 

加えてこの本では本屋に勤める皆さんの本への熱い想いが語られています。

 

つまり,そういった読書好きの人達の目線で本を勧めてもられるのも書店の良さなんだなと思いました。

 

この本の中ではそんな本屋で働く皆さんの薄給さにもスポットが当たっているわけなんですけど。

 

やりがいや仕事の意義と給料が見合わないってよくあることなんだなって思うんですよ。

 

学校で言うと、図書館司書もそうで。

 

ほとんどが非常勤で時給で働いています。でも本来子ども達に本を勧めたり,利用を促したりすごく大事な仕事ですよね。

 

最近思うんですけど,意義とか責任が給料に比例するわけじゃないと思うんですよ。

 

この本は、そんな大事なんだけど軽視されがちな本屋という仕事にスポットを当てたいっていう優しさから来てるのかなと思いました。

 

辛辣なタイトルですが、そんな想いがこめられているんじゃないでしょうか。

 

ちなみに海外に行っている時に、途上国に何カ国も行っている人からお話うかがったんですけど,経済成長する国の特徴の一つが,

 

「本屋に若者がたくさんいること」

 

なんだそうで。

 

本屋を見れば、その国が成長できるかどうかが分かると。そんな一つの指標にもなっている場所なわけです。

 

そんなこの時代における本屋さんの意義を考えさせられる一冊となっております。

 

ということで,ゴールデンウィークが始まりましたが、やることないという皆様は読書でもいかがでしょうか。

 

皆様の読書の参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!

【レビュー】本屋さんで待ち合わせ

先日こちらの本を読みまして。

本屋さんで待ちあわせ (だいわ文庫)

本屋さんで待ちあわせ (だいわ文庫)

 

前回読んだ三浦しをんさんの「お友達からお願いします」から連続して読んでみた次第です。

 

前回のものはエッセイでしたが、こちらの本は書評を書いた一冊。

 

私も本読んではこんな風にブログに書いているので,プロはどんな風にまとめているんだろうと気になって読んだわけです。

 

まず、

 

読んでる本が特殊

 

それを感じました。

 

エロの巨匠・加藤鷹の書いた本から,古典の東海道四谷怪談まで多岐にわたっているわけです。

 

私みたいに読みやすい小説とかビジネス書とか読んでるわけじゃないんですね。

 

古典だったり,職業が分かるものだったり。

 

そういう幅の広さが文章を書く時の深みにつながっているんだろうなって思いました。

 

それに、三浦しをんさんもそうですが、一流の人はやっぱり古典が好きなんだなと。

 

ワンピースの作者の尾田栄一郎も7人の侍イメージしてキャラクターを創作したりしてますし,落語とか歌舞伎の要素も入ってますし。

 

やっぱり古典にはそんな

 

時代を超えて変わらないもの

 

が詰まってるんだろうなって思いました。

 

本の中にもあるんですが,

 

作家の星新一は、自分が生きた証を作品で残そうと考えたそうで。

 

そのためにも、未来の人も違和感なく読めるように、自分の作品から時代の変化に取り残されそうな単語や表現を徹底的に排除することにこだわったのだそうなんです。

 

そうやって作られている作品達だからこそ今の時代にも読まれたりしてんでしょうね。

 

ちなみにこちらの本、表紙が「お友達からお願いします」と繋がっているという仕掛け。

 

つまり,お友達からお願いしますで関係性がスタートしてからの,本屋さんで待ち合わせなわけです。

 

その辺もなんだか粋で、そういうセンスもきっと色んな読書をしているところから来ているんだろうなと思いました。

 

ちなみにたくさん登場してきた本達の中で私が興味を持ったのは

 

「江戸の下半身事情」

 

ってやつですね。授業研究のために使いたいなと思いました。(←使えるか)

 

ということで、次の一冊を探したり,本を読む上での魅力なんかにも気付ける一冊になっております。

 

何より私はもっと読書の幅を広げようと思いました。

 

気になる方いましたら是非どうぞ。

 

本日も読んでいただき、ありがとうございました!

【レビュー】その日の前に

先日読んだこちらの本のレビューを書きます。

その日のまえに (文春文庫)

その日のまえに (文春文庫)

  • 作者:重松 清
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫
 

こちらは家族や級友などを巡る人々の「その日」までの日々を描いた短編集。

 

その日とは「死んでしまう日」を表すわけで,そこに至るまでの家族や友達の葛藤を描いた作品になっております。

 

なんで今更読んでるかっていうと,好きなんですよ、重松清が。たまに読み返したくなるんです。

 

最近の流行りの作家さんの本ていうのは、

 

どんでん返しがあったり,

 

伏線の回収があったり。

 

そういう読者のミスリードを誘うエンターテイメント要素が強いものが多いのかなって思うんですけど。

 

重松清の作品はそういった要素はほとんどなくて,すごく純粋に人間の感情に注目した作品が多い印象です。

 

そしてその魅力の一つが,余韻の残る言葉選びなのかなって。

 

この本の中にある,病気で亡くなってしまいそうな奥さんを旦那さんとまだ小さい子ども達が最後に見つめる描写では,こんな言葉が書かれていました。

 

頼む,神よ,邪魔をしないでくれ。僕の妻は,もう,こんなに透き通ってしまった。

 

「透き通った」ってなんなんだろう?涙で見えなくなるぐらいぐしゃぐしゃに泣いているのかな?とそんなことを想像させられましたね。

 

そしてそうやって個人が想像して頭の中に思い浮かべる映像っていうのがやっぱり一番綺麗なんじゃないかなって思うんですよ。

 

誰にでも平等に迫ってくる大切な人の「死」を考え、今ある日常に感謝したくなる一冊になっております。

 

ちなみに私が重松清が好きなのは「家族」とか,「学校」とか,「友達」とかそういうものをテーマにしている作品が多いからなんですね。

 

なんだかそういう共同体みたいなものってもはや「オワコン化」してる現代じゃないですか。面倒だし、出来るだけ離れたいというか。

 

でもこの人の作品を読むと,やっぱり最後に人が求めるのは「人とのつながり」なんじゃないかなって思えるんですよね。

 

なんかそういう面倒臭いものも捨てたもんじゃないんじゃないかなって。

 

もしかしたら私自身がそういう共同体の幻想みたいなものをまだまだ信じていたいのかもしれません。

 

なんだかたまに引っ張り出してきては読んでしまう作家さんなんですよね。

 

ということで,GW中の一冊にいかがでしょうか。

 

他にも重松清のおすすめを何冊か挙げておきます。

 

とんび (角川文庫)

とんび (角川文庫)

  • 作者:重松 清
  • 発売日: 2011/10/25
  • メディア: 文庫
 
ビタミンF (新潮文庫)

ビタミンF (新潮文庫)

  • 作者:重松 清
  • 発売日: 2003/06/28
  • メディア: 文庫
 
エイジ (新潮文庫)

エイジ (新潮文庫)

  • 作者:清, 重松
  • 発売日: 2004/06/27
  • メディア: 文庫
 
ファミレス

ファミレス

  • 作者:重松 清
  • 発売日: 2013/07/23
  • メディア: 単行本
 

 

どれも家族とか学校がテーマなので,大人から子どもまで楽しんで読める作品になっております。


皆様の読書選びの参考になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!

 

 

 

【レビュー】危険なビーナス

最近こちらの本を読みました。

危険なビーナス (講談社文庫)

危険なビーナス (講談社文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2019/08/09
  • メディア: ペーパーバック
 

書店を守るためにこれまで電子書籍化をして来なかったという東野圭吾さんなんですが、今回のコロナの件で電子書籍化すると話題です。

 

私も以前はよく読んでたんですが、最近の作品はあんまり読んでいなかったので久しぶりにこちらの文庫を読んでみました。

 

あらすじとしては、獣医師の主人公のもとに弟の妻を名乗る人物が現れて、弟が行方不明になっていることを知り、その跡を追うストーリー。

 

そこから話が展開する東野圭吾らしいミステリーになっております。

 

久しぶりに東野圭吾さんの本を読みましたが、安定の読み易さ。難しい表現とか描写とかよりも,構成そのものが流石です。

 

なんでこんなにネタが思いつくんだろと思います。

 

今回の本読んでいて思ったのが,東野圭吾さんの魅力の一つが

 

「モラルジレンマな問い」

 

 

なのかなと。

 

本作では

 

「弟が行方不明で死んでいるかもしれない場合は、弟の妻を好きになってもいいのか」

 

これが一つの問いになっていて、惚れっぽい主人公は弟の妻を好きになってしまってもいいのか悩むわけです。

 

こういう際どい問いかけをしてくるわけですよ。

 

手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2006/10/06
  • メディア: 文庫
 

他にも代表作のこちらの「手紙」では交通事故で妻が死んでしまって,その拍子に娘の中身だけが妻に入れ替わってしまうというお話なんですけど。

 

「娘を抱いてもいいのか?(中身は妻だけど)」

 

ってところに主人公はめちゃくちゃ悩むわけです。

 

そして妻は妻で

 

「妻として生きるのか,娘として生きていくのか」

 

に悩むという。

 

なんでそんなエグい問いが思いつくんだろって思いますね。

 

読みながら読者側はどうしても「自分だったらどうするかな?」と考えさせられてしまうというか。

 

そして私はそういう読者のことを揺さぶる問いの立て方って道徳の授業とかにも繋がるものがあるんじゃないかなと思うんですよね。

 

だからこの時期はひたすら読書してようかなと。

 

投資王として有名なウォーレン・バフェット

 

「霧で周りが見えない時は,爪を研いで待てばいい」

 

って言ってるんですよ。

 

だから今みたいなコロナで周りが見えない時は,じっと本読んだりして爪を研いでたらいいのかなと思っております。霧が晴れた時にすぐに動けるように。

 

東野さんの本は何を読んでも面白いのであんまり読書習慣がない人にもおすすめになっております。

 

気になる方いましたら是非どうぞ。

 

本日も読んでいただき、ありがとうございました!