教職者K

30代教員の日々の徒然。

ガキの使い。

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苦手なのである。買い物を頼まれるのが。

 

最近は給食が無いので昼休みにコンビニに行ったりする職員もいるのだが、

 

「なんか買ってきて欲しいものある人いますか〜?」

 

なんて周りに聞いたりする人もいる。

 

なんというボランティア精神か,と私は感心している。私だったらそんな声は掛けないままそそくさと行ってくるだろう。

 

なぜ買い物を頼まれるのがそんなにも嫌かというと、買ってきたものでガッカリされるのが怖いからである。

 

頼む方は特に気にすることもなく,欲しいものを挙げる。

 

しかし、実際の場面では例え一つの商品を言われたとしても、選択しなくてはならならかったりする。

 

その選択をミスるのが私にはストレスなのであるーーーーーーーーーーーーーーーー。

 

先日私は娘と奥さんとドライブに出掛けた際に、

 

「ソフトクリーム買ってきて」

 

と奥さんから言われたのである。

 

先述した通り、行きたく無いのだが,三密を避けるためにも私が行くことになってしまった。

 

果物屋さんが出しているというそのソフトクリームなのだが、私がソフトクリームを注文すると、店員さんは、

 

「バニラですか?いちごですか?」

 

と聞いてくるわけである。

 

…むずい。

 

バニラか、いちごなのか。

 

妻からは「ソフトクリームを買ってこい」と言われているだけである。期間限定でいちご味があるなんて聞かされていない。

 

しかし、ここは苺をチョイス。妻も娘も苺が好きだ。しかも苺の方が高い。こちらにしておけばまず間違いないはず。

 

そう妥当な判断をしたと思ったら、また次の設問がやって来る。

 

カップですか?コーンですか?」

 

…知らん。

 

次から次へと質問で隙を与えてもらえない。敏腕系の教員の授業のようである。

 

どっちだ?カップか?コーンか?

 

なぜ私はこんな事に頭を悩ませなければならないのだという気になる。電話して聞くにも後ろにお客さんが待っていてそんなゆとりはない。

 

この時点ですでに,

 

味(2種類)✖️容器(2種類)=4パターン

 

の選択肢があるわけである。この中から妻が満足する答えを見つけるのは至難の技だ。

 

ちなみに私は常々、「食べられる分コーンの方がお得」だと思っている。

 

しかし、妻は「コーンなんかでお腹を満たしたくない」とかいうタイプだ。

 

「ここはカップ!」

 

そう判断した私はカップをチョイスしたわけである。

 

しかし、またしても次の設問が出されてしまう。

 

「いくつですか?」

 

いくつ…?うーん、考えてなかった。

 

今は最大3個必要な場面である。(私、妻、娘)。よってこれによって提示された選択肢は更に増える事になる。

 

味(2種類)✖️カップ(2種類)✖️個数(3通り)=12通り

 

である。

 

妻は「ソフトクリーム買って来い」といっただけだが、実際に買いにいった私はこの12通りの中から妻好みの正解を選ばなければならないのである。このストレスたるや…。

 

とりあえず個数を考えるのだが、まず私は別に食べたくない。更に、まだ1歳の娘もそれほど食べられないだろうから、妻から一口貰えば良い。

 

「1つでお願いします!」

 

私はそう合理的に判断し、

 

最終的に

 

「苺ソフトクリームをカップで一個」

 

購入したわけである。

 

オーダーを聞いた店員さんは目の前で生の苺を数個とり、カップの中に入れてぐしゃぐしゃと潰す。

 

さらにその上にミルクソフトクリームを載せて、その上に苺をまるまる一個ちょこんと載せた。

 

生の苺を使ったソフトクリームは見るからに美味そうで、これなら満足してもらえるだろうという確信をもつ。

 

お金を払うと、絶対に溶けさせてはならないという緊張感から,私は走って車に戻った。

 

溶けないようにスピードを上げつつ,絶対に落とさないように細心の注意を払う。我ながら完璧である。

 

(ちなみにこの時中学生時代の同級生だったS君が高原学習の際にソフトクリームを落として泣いていたことを思い出した。)

 

そして,私はこれらの難関を全て乗り越え,妻にソフトクリームを届けた訳である。

 

私「どうぞ!」

 

妻「あれ?

 

 

 

 

なんで一個なの?」

 

ミスったー!

 

一個じゃなかったみたいー!

 

しかし、ここは冷静に私がそのような判断に至った経緯を説明する。

 

私「俺は要らないからさ。食べなよ」

 

妻「あぁそう。

 

 

あれ?

 

 

 

スプーンもう一つは?」

 

スプーン!!??

 

え、スプーン??そんな選択肢まであったんですか??

 

妻「2つスプーンあればこの子も同時に食べれるじゃん。」

 

そうか…スプーンか。全く何も考えていない私はスプーンを余計に貰わなかったのである。

 

しかし、そんなのは一つのスプーンを回せば良いだけの話だ。

 

「(これは正解を出したな…)」

 

私はそう確信したのだ。12パターンの中から最も妻の満足度の高い選択をしたはずだ。

 

しかしどうだろうか。

 

今度は娘がそのアイスを見ながら泣き始めたのである。

 

どうやら彼女は

 

「私に食わせろ」

 

と主張しているらしい。

 

ということで、娘に何口かあげる妻。

 

娘に何口か譲り、いよいよ妻が食べようとすると、娘がここで更に大号泣である。

 

カップに手をかけ、鬼の形相で泣く。

 

結局そのまま娘は一人でアイスを食べ続け,最後にドロドロになった液体を妻が一口だけ飲み込むというエンディングを迎えた。

 

私のチョイスを責められたのは言うまでもない。

 

これだから人の買い物に行くのは嫌なのである。

 

だから私は、みんな行けるなら買い物は自分で行くべきだと思っている。

 

例えそれが1歳児であっても、である。