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私のこの一年の後悔を聞いてもらえるだろうか。
私は飲み会の設定が出来ないのである。
学年主任という立場にあり、歓迎会や送別会など学年で会食の場を設定することも求められるのだが、この一年で一回もやらなかった。
多分一回も学年での会食がないというのは、自分自身の教員人生の中で初めてのことだと思う。
なぜか。まず来る人と来ない人で差を生みたくないのである。その場にいた人といなかった人で今後の会話に差が生まれるようなことは避けたい。
また、ただでさえみんな忙しい。提案する以上負担になりたくないのである。
また飲酒運転やアルコールが入った上でのトラブルは公務員として絶対に避けたい。学年の飲み会の後にトラブルになったとなればそもそも設定に問題がなかったかが問われる。そうなるといっそやらない方がリスク管理になるだろう。
しかし、会食の場は意外と大事で、そういう時の何気ない会話が面白いアイディアにつながったり、スタッフの知らない一面が見えたりする。
だから何度もやるべきか迷うのだが、私の中にいるクララが立ち上がれずにいる。
「飲み会やろうか」の一言がどうしても言えないのである。この意気地なし!
この一年何度も会食を設けるべきか悩んだのだが、その度にスルーしてきた。他の学年が飲み会をしてもうちの学年はやらない。そのうちに「あの人は無駄なことが嫌いだから、そういうソリッドな経営方針なのだ」と周囲から言われるようにもなった。
違う、ただの臆病者なのだ。ただそういわれると逆にもうそのスタンスを崩すのが難しい。スティーブジョブズが急にタートルネックをやめて、Vネックを着だすようなものである。だからこの一年何もしなかった。
ただスタッフには本当に感謝しているので、せめて勇気を出して年度末くらいはどうかと1月くらいから考えていた。
ただそうなると店のチョイスも難しい。それぞれに食べられないものはないか。どの日だったら負担が少ないか。
教員だし、思い切り楽しむためには周りに話を聞かれてはいけないだろう。そんな条件をクリアするセンスの良いお店を全く飲みに行かない私はそもそも知らない。
それに各教科、各分掌、送別会、歓迎会…、と仕事としての飲み会がそもそもこの時期は多いのである。もうここまでくるとここに学年の飲み会を入れるのは狂気の沙汰である。自ら肝臓を傷めつけに行っているとしか思えない。というかそう考えると飲み会自体が暴飲暴食と夜更かしであえて不健康になろう、という摩訶不思議なイベントにも思えてくる。
飲み会はそもそも送別会があるんだからそこで労えばいいじゃないかと自分自身を納得させることにした。
ただ、せめて主任として最後にお弁当くらいはどうか。
昼にちょっと豪華なランチをとってみんなで会議室で食べる。これなら負担なく進められないだろうか。そう思って先週からいろいろと見ていた。
しかし、「あ、来週は全部年休もらいます」という転勤者からの言葉があり、これも幻と消えたのだった。クララが立ち上がろうとしたらおじいさんに両肩を押さえられて車いすに座らされた気分だ。いや、悪いのはどう考えても私。うだうだしているといつの間にかタイミングを逃す。何度もいう。この意気地なし!!
かくして私はこの1年主任として会食を一度も設定しないでこの1年を終えた。スタッフにはせめて何かを最後に渡すつもりだ。
来年度こそは、たまにはVネックを着てみようか。いや、やっぱりまだタートルネックのままで、これからも机にお菓子を置くくらいにしておこうか。
クララは今も立ち上がれずにいるのである。
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