教職者K

教育について考えるブログ。

【レビュー】流浪の月

 先日こちらの本を読みまして。

流浪の月

流浪の月

 

本屋大賞をとったことで話題の本ですね。どんなものかと思って気になって読んでみました。

 

なので今回はあらすじと感想を書いてみます。

 あらすじ

主人公である家内更紗はある日突然両親を失う。それによって伯母家に引き取られることになるが,その家での生活はなんとも息苦しい。

 

自分の居場所を求める更紗はいつも公園にいて「ロリコン」と噂されていた小児性愛者の佐伯文の家についていく。

 

文は小児性愛者ではあるものの,更紗の居心地の良い相手となり,大切な存在となる。

 

しかし,そのことは周囲からは理解してもらえず,二人で動物園に出掛けた際に,文は誘拐犯として捕まってしまう。

 

時を経て大人になっても二人はお互いに求め合い,更紗は文を追い続ける。

 

しかし,周囲からはどうしてもその関係性を認めてもらえず,再会した二人は世の中を流浪していくことになる……。

感想 

面白かったです。周囲からは絶対に理解されない関係性を描いたところが凄いなと思いました。

 

また,本の中には小児性愛やDV,過去の経歴が消えないインターネットの怖さみたいな現代的なテーマがちりばめられて,それが読んでいてスリルがありました。

 

また私が一番感じたのは,作者の微妙な心を見逃さない感受性です。

 

微妙な動作、言葉の端っこに人の本心が出るってことはあると思うんですね。そういうのをもの凄く細かく書いています。

 

例えば更紗の彼氏の亮という人物はDVをした後に,謝るわけです。ごめんごめんと謝っておいて最後に,

 

「佐伯にも会っていい」

 

なんて言うわけです。この一言に更紗は

 

「どうして許可されなくちゃいけないの?」

「やっぱりこの人は私を管理したいんだ」

 

ってことを感じ取るんですね。

 

そんな人間の本性がたった一つ動作や言葉から見えるみたいな瞬間てあると思うんですけど,そういうのが本の色んな所にちりばめられていました。

 

本の中では一貫して2人は互いに求めているのに 周囲がそれを許してくれないわけです。

 

だから,

 

人の目ってなんだろう?

 

事件の当事者でない人間が事件について語る資格はあるのだろうか?

 

今はネットの時代でみんなが無責任に好き勝手なことを言える時代なわけですが,この作品はそんな世の中に対しての強烈なアンチテーゼなのかなと思いました。

 

改めてそんなことを考えさせられる一冊です。

 

全体的に非常に読みやすく,面白いのでお勧めです。

 

気になる方いましたら,是非どうぞ。

 

本日も読んでいただき,ありがとうございました!