教職者K

教育について考えるブログ。

【書評】お友達からお願いします。

先日こちらの本を読んだので感想を書いてみたい。

お友だちからお願いします (だいわ文庫)

お友だちからお願いします (だいわ文庫)

 

そもそも私はエッセイが好きなのである。

 

何かよく分からないが,作り込まれたストーリーを読むよりもエッセイが好きだ。作者に親近感を感じるからなのかもしれない。

 

とは言いつつも,最近はあまりエッセイを読んでいなかったので、

 

「なんか面白いエッセイないかなー」

 

Google先生に聞いたところ色んなサイトでこちらの三浦しをんさんの「お友達からおねがいします」が取り上げられていたので読んでみた次第である。

 

エッセイであるので,書いてあるのは至って日常の出来事である。

 

ボーリングに行った話だの,国内旅行をしただの,父親が髪を切っただの。

 

そこに突飛な設定は何もない。しかし,それを面白くしてしまうのがプロの力量である。

 

「なんで花見は見るだけじゃだめで、紅葉狩りは狩らずに見るだけでオッケーなのか」

 

「『リアルにラーメン食いたい』と言いながら歩く大学生がいたが,この場合のリアルとはなんぞや」

 

など,本当にしょうもない話なのだが,日常の出来事をよく良く考えると,そこにおかしさがあることに気付かされる。

 

本のタイトルにしてもそうだ。

 

「お友達からお願いします」

 

聞いたことも言われたこともないが,なんだか素敵であり,こんなことを言われてみたいではないかという絶妙な言葉のチョイスである。

 

私はこれまでいくつかエッセイを読んできて気づいたのだが、男性が書く文が好きである。アホでバカで理系っぽい文が好きなのだ。自分がそういう奴だから。

 

そんな中にあって三浦しをんさんは女性だが、すごく男性寄りの女性の文章だなと思う。(←失礼)

 

文章にどことなく豪快さを感じつつも,女性ならではの細やかな感性を感じるのだ。

 

きっとこういう人が家族にいたら楽しいだろうなと思う。

 

文章で取り上げられる一つ一つの日常を読みながら、この世界は不思議と驚きに満ちているのだなと改めて感じた。

 

我々の身の回りの世界にもきっとそんな世界が溢れている。

 

気付けるかどうかは自分次第だ。

 

そんなことに改めて気づかせてくれた作品である。

 

コロナウィルスで外に出られない今こそ,こんな本もいかがだろうか。

 

皆様の参考になれば幸いである。