さて、経済を回すことが非情に重要な時期である。
中学校公民では金融のことを「血液」に例えて説明したりするのだが,
まさにその通りで,今経済活動を止めたら血液を止めた体の部位が壊死してしまうように,会社がぼろぼろと倒れていくことだろう。
しかしながら,日本人とは貯蓄が大好きな生き物なのである。
私も正直なところ
「歓送迎会無くなったからお金戻ってくるわ✌️」
とか思ってしまうタイプである。そして,私のように思った人も少なくないだろう。
なんでも日本人は「死ぬ時に残している貯蓄額」が世界トップらしい。(数千万円だとか)
何かに使うわけでもなく,「貯めること」そのものに美学を感じるのが日本人なのだ。
しかし,最近の新しい人たちはそれを否定している。
本田圭佑氏は「貯金は悪」とまで言い,
堀江貴文氏もあれだけ稼いでいるにも関わらず,貯金は1000万円を超えないようにとにかく使いまくっているという。
(堀江氏いわく,「もっていると腐る」のだそうだ)
となると,「貯蓄すべき」なのか「使うべき」なのかが分からなくなってしまう。
我々はどうすべきか,その答えをこの本に見つけた気がするので書いておきたい。
我々消費者にとって,経済活動は
所得=消費+貯蓄
という式が成り立つ。
そして,企業からすると
所得=貯蓄
という構図になる。
企業は消費はせず,すべてが投資に回るので,消費がなくなり,得たものがすべて貯蓄になるわけである。
例えば、企業が原価30円のパンを100円で売るとしよう。
企業が得る所得は30円の原価のものを100円で売るわけだから,
100−30=70
である。
つまり,企業はー30円の投資で70円の貯蓄ができるわけである。
次に消費者で見る。
最初の消費者の
所得=消費+貯蓄
という図は
貯蓄=所得ー消費
と変えることもできる。
100円のパンを買った場合,
貯蓄は「所得ー消費」だから,この場合所得が無いので,
0ー100=−100
つまり,
貯蓄は−100円
なのである。
「ほら消費者のマイナスじゃん,お金使うとマイナスになるなんて当たり前でしょ」
と思われるだろうが,ケインズはここからが面白いのである。
消費者のレベルで見るとそうなのだが,先ほどの計算を企業と合わせてみる。
企業 投資−30円 貯蓄 70円
消費者 投資 0円 貯蓄 ー100円
合計 投資−30円 貯蓄 −30円
つまり,個人ではなく社会全体のレベルで見た時に,
投資=貯蓄
が成り立つのである。
つまり,投資のために何かにお金を使うことは,貯蓄と同じなのである。ひいては社会全体が豊かにもなる。このことを本田圭佑も堀江貴文も言っているのではないかと思うのだ。
しかし、一点注意が必要だと思う。それは、
彼らは使うお金をすべて投資にカウント出来る個人事業主である
という点である。
つまり、彼らは企業側の人間なので、お金を使うことは投資して貯蓄することと同義なのである。
では我々一般人はどうか。
そこで大事になるのは、
「投資か消費なのか」
を考えることだと思うのである。
(続きます)