教職者K

教育について考えるブログ。

ベーシックインカムについて授業で考えてみる。

f:id:suno200002000:20190927213822j:image

 

公民の授業で「人権獲得の歴史」っていうところをやっていて。

 

いかに人類が人権を獲得してきたかっていうその変遷を見ていくんですけど,

 

いかんせん

 

面白くない

 

んですね。

 

なんというかこう,言葉が硬いというか。生徒達が興味を持ちづらいところなんですよ。

 

なので,今回はまずその変遷をさらっと抑えて。

 

1689  権利章典出される

1789  フランス革命

1889  大日本帝国憲法

1989  ベルリンの壁崩壊(→冷戦の終結へ)

 

こんな風に100年ごとに人間は人権に関わるような大きな出来事が世界で起こっていること,そして今後も人々の権利は時代とともに拡大していくだろうっていうことを説明した上で,

 

 

ベーシックインカムの是非」

 

を考える授業をやってみたわけです。

 

必要最低限の収入を保障するこの制度。

 

スウェーデンではすでに月7万円程支給して実験も行われているとか。

 

これを生徒達と一緒に考えてみました。

 

だいたい出てくるのはこんな意見。

 

 

反対の意見

「ただでさえ日本は借金大国。余計に国債が増える」

 

「10%でも反対意見多いのに、さらに増税となったらパニックになる」

 

「働かなくなる。大人の引きこもりの人がもんだいになっているけど、今以上に増えると思う。」

 

「最低限の収入が保障されても、その分税金が高くなるなら負担感は変わらない」

 

「働かないのにお金もらえる人がいるというのがそもそも納得出来ない。腹立つ」

 

 

賛成の意見

「生活が保障されて、ゆとりが生まれる」

 

「お金が支給されることで,助かる人たちがいる」

 

「子育てにはお金がかかるから,少子化対策にもなるかも」

 

「ゆとりが出来れば、お金が循環して好景気が生まれるのでは」

 

「給料の高さじゃなくて、やりがいで仕事が選べる。」

 

「嫌なら辞めるっていう人が増えるから、過労死とかなくなる」

 

 

それぞれそんな風に意見を出してもう一度自分の意見を再構成するという授業を試みました。

 

「先生はどうなんですか?」

 

と聞かれたので私も答えるんですけど。

 

私はやってみていいんじゃないかと思うんですね。

 

そもそも

 

「お金が満たされたら人は働かないのか?」

 

っていう話なんですけど、人って人との繋がりを求めたり、仕事を通じて人に貢献すること自体が喜びだったりするから,

 

ベーシックインカムで支給されても多くの人が働き続けるんじゃないか

 

って考えているわけです。(それに7万円じゃ暮らせないし。)

 

私海外から帰国してしばらく無職だった時期があるんですけど,その時が一番精神的に辛かったですもん。誰とも所属してなくて,世の中から必要とされていない感じ。

 

何もしてないうちにやっぱりなんかしらしたくなってくると思うんですよね。

 

 

それに国の借金増えるっていう意見もあると思うんですけど,何もしなきゃ増える一方なわけで。

 

投資的に国民にお金を渡してみるというダイナミックなことやってみない限り状況は変わらないんじゃないかなと思うわけです。

 

やりたくない仕事は辞めてしまう人が続出してしまうっていう意見も、そもそもそういう仕事はなくてもいいんじゃないかと。そう思うのです。

 

 

そんなこと言うと,

 

「いやいやいや,それはダメでしょ」

 

と結構反対意見多かったですね。みんな真面目なんでしょうね。働かないとお金はもらっちゃいけないっていうのが根底にあると感じましたね。

 

ということで結構盛り上がったので学校の議論のテーマとしてこんなのもいかがでしょうか。

 

 

先に説明した通り,100年刻みで人権はどんどん拡大して来てますから。

 

2089年にはベーシックインカムが当たり前とかになってるのかもしれませんね。