私が今居る学校では「防災の日」というのがあって。
この日は休日に登校してまず避難訓練をし,さらには防災に関する授業を一日中受ける。
給食では非常食が配られる。菓子パン,魚肉ソーセージみたいな簡易なものである。
当然食べ盛りの子達にとってこんなものでは全く足らないわけであり,お腹はぺこぺこになる。
子ども達はぶーぶー言うが,現実的に震災が起こったらそうなるのである。
さらには下校まで被災したことを想定した集団下校である。
私の目から見てもこの訓練はなかなか徹底していると思っているし,こうやって訓練することが意識を高め,非常時でも慌てず行動する上では非常に重要なことだとも思う。
ただ,以前被災した時に中学生だった子が,成人してその思い出を語っていたのだが,その話をきいてこうした訓練の矛盾点も感じたのである。
その人はこんなことを言っていたのだ。
「自分たちは訓練通り運営に回っていたから,配給の列に並べなかった。そうすると,大人が我先にと食料を持っていって,すべて食べつくしてしまう」
「自分たち(避難所運営に回った生徒)が食べられたのは3日目に飴が1つだけだった」
「訓練を受けている子ども達が動いて,大人は何もしなかった。避難所に届いたものを渡しきってしまうと自分たちには食べるものがない。だから子ども達はコンビニに盗みに入った。ニュースではこんな時も日本人はルールを守る,みたいな報道がされていたけれど,実際にはそんなことはない。そうしないと生きていけなかった」
「震災後も街に来たのは大半が良い人だったけれど,被災した人の気持ちにつけこもうと悪い商売をしようとした人もいたのが事実」
とこんな話を色々聞いて私はちょっとショッキングだったのである。
同時に思ったのが,
教育が機能する時というのは,世の中が正常に機能しているという前提の上にのみ成り立つのではないか
ということなのである。
だから,こうやって非常時に行動することを教えることが果たしてその子のためになるのか私は疑問に感じているところがあるのである。
人のものを奪ってでも生き延びなければならない状況はあると思うのだ。でも,そのことは学校教育では教えられない。
同時に感じたのは大人の意地汚さみたいなもので,本当に訓練が必要なのは,大人なんじゃないだろうか。
なんにせよ,何が正しい防災教育なのだろうかと最近の私はよくわからないでいるのである。
追伸
子どもはちゃんとしようとしているのに,っていうのは他にもあって。授業参観で子どもが頑張ってるのに大人がうるさいとかね。まずは大人がマナー守ろうよって感じですよね。今日も読んでくださりありがとうございました!