以前も書いたのだが,中学校では多くの学校で修学旅行に携帯電話を持っていくことを禁止している
。
持っていない子も当然いるわけだし,さらには紛失のリスクもあることからそのような判断を取っているところが多いようである。
安全管理については業者から生徒にガラケーが貸与され,それによって教師と連絡が取れるわけである。
安全は確保されるわけだが,そのことによって別の問題も発生する。
その1つが、カメラである。
つまり,普段携帯電話で写真を撮りまくっている生徒にとって携帯を持っていけないということは,せっかくの思い出を残す手段を失うことになってしまうわけである。
そこで学校としては,
「自己責任で家のデジカメを持っていってもいいよ」
とアナウンスするか,
もしくは
「写ルンです」を班に一台支給したりする
わけである。
デジカメが無限であるのに対し,写ルンですは圧倒的に有限。さらにその場で写真も確認できず,なかなかいい画になりづらく不便ではある。
さらに写ルンですを使い慣れていない子達は写真を撮るタイミングを逃しまくり,結局枚数を残して使いきれないまま帰ってくることも多い。
このように今の時代からするとなかなかに不便なところもある写ルンですだが,レトロであるがゆえの良さもあるのではないかと私は思うのである。
まず,対象をよく見るようになる。
何でもかんでも撮るのではなく,限られた枚数で最大限良い写真を撮るために,対象をよく見るようになる。そこに普段ない発見があったりする。
さらに写真の確認ができないが故に生まれるエピソードが面白かったりもするのだ。
私自身思い出したのだが,高校での修学旅行は沖縄だったのである。
男4人のグループに写ルンですが一台支給され,順番にカメラを回しながらそれぞれ写真を撮った。
そして修学旅行後に写ルンですの中身が現像され,クラスに張り出されたのである。
他の班が名所をバックにした楽しそうな集合写真が多い中で,うちの班が撮った写真を見て驚いたことがある。
というのも…
大半がハイビスカスの写真だったのである。
班員の1人が撮りまくっていたらしい。
「誰が買うんだこれ」
「女子高生みたいな写真とってくんな」
とその写真を撮ってきた男は散々つっこまれていたし,私もつっこまずにはいられなかった。
結局私はほぼ写真を買わなかったのである。
しかし,改めて考えてみると,
それはその男が初めて見るハイビスカスの花に感動し,貴重な一枚をそれに使いたいと心が動いた瞬間がこの写真には同時に納まっていたんじゃないかと今なら思うのである。
男子高校生が初めて見る花の綺麗さに感動しているってなんだかちょっと可愛げがあって悪くないよなとあの時バカにしてしまったことを少し後悔もしている。
デジカメではこういうエピソードは生まれないが,レトロな写ルンですであるからこそこういう話が生まれるのも事実である。
これから学校で写ルンですが手渡された時は,そんな楽しみ方もしてみてほしいなぁと思うのである。
追伸
買っとけばよかったかな,ハイビスカスの写真。逆に私の中で一番思い出に残ってるんだよなぁ。今日も読んでくださりありがとうございました!