教職者K

教育について考えるブログ。

キャンプと私。

自慢じゃないがインドアな人間なのである。

 

私は学生の頃からバレーボールという室内競技を選択し、暇さえあれば読書していたような根暗なのである。

 

「色白いね」とこれまで何度言われたことか。そりゃそうだ、外で遊ぶことをしてこなかったのだから。私は紫外線とは縁の遠い生活を送ってきたのである。(スリランカにいた頃をのぞく)

 

思い起こせばバーベキューすら自分でした事がない。

 

実家でバーベキューをする際はアウトドア好きの2人の弟と父親に任せて、何も求められる事なく、これまでのうのうと人の焼いた肉を食い、ビールを飲んで生きてきたのである。

 

しかし、いざ自分が家庭を持つとそうも言っていられないから困っている。

 

妻は昨年から子どもに自然体験をさせたいと私にキャンプを提案。

 

さらにタープまで買ってきた。

 

「あとよろしくね」という。

 

彼女は私のアウトドア能力の低さを知らないのである。というか、男というものはみんなこういう事が得意だと思っている節すらある。

 

私は不安を抱えつつ、まぁなんとかなるだろうと楽観視し、タープと食材を抱えてデイキャンプ場へ出掛けたわけである。

 

早速タープ張りに取り掛かるのだが、これがよくわからない。

 

そもそもそのキャンプ場にはご丁寧にも各グループに木のテーブルとベンチが用意されており、その上にタープが来るようにしたいのだが、どう設置していいのかが分からない。

 

タープに付属の説明書の一番最初に書いてある

 

「タープを地面に広げます」

 

ができない。

 

だってベンチとテーブルがあるから。何これ、邪魔なんですけど。要らないんですけど。まず最初にベンチとテーブルをキャンプファイヤーにしてやろうかと思った。

 

とりあえずテーブルに被せるようにタープを置いてみる。

 

そしてポールを娘(5歳)にもっててもらう。これでポールに紐を引っ掛け…あれ?ペグが抜けちゃう?

 

ペグの方向を少し変えて…あれ?これどう張るの?というか紐細すぎじゃない?

 

ん?っていうかポール曲ってない?

 

ん、自立してる?これで?

 

耳を澄ませたら「もたもた」という擬音が私から漏れて聞こえていたんじゃないかと思う。

 

悪戦苦闘するもまるでポールが立たず。

 

そのうち子どもからも

 

「ねぇ、パパまだなの?」

 

「もう遊びたいんだけど」

 

アスレチックを前にしてもう我慢できない娘。焦る私。変な汗まで出てきた。

 

そうこうしている間に周辺のお父さんキャンパーたちは次々と立派なタープをビシッと張り、焚き火を始め、一杯飲み始めている…。あぁいうキャンプがしてみたかった…。

 

周りとの差にどんどん惨めになる私。

 

畜生…バレーなら俺の方が上手いのに…。

 

畜生…授業なら俺の方が上手いのに…。

 

畜生…多分俺の方が本読んでるのに…。

 

俺はタープ一つ張れないのか…。

 

そんなことをひたすら考えたわけである。

 

なんとか一本ポールが立つも、もう一本を立てている間に紐がまた抜ける…。

 

「もういい。タープ要らない」

 

30分ほど格闘したあと妻が怒り気味にそう私に宣告してきたのである。試合終了である。

 

私としてもこれ以上粘っても出来る気がせず、少しホッとする。(←情けない)

 

そして娘と多少アスレチックで遊び、食事の準備へ。

 

他の家庭がガンガン薪で火を燃やす中、我が家は妻が煙臭くなるのを極端に嫌がるため、

 

カセットコンロ

 

による調理なのである。(室内用)

 

みんながブロックの風除けみたいなとこで薪を燃やす中、我が家はそこにカセットコンロをおいて調理をする。うーん、ロマンが…。

 

一応妻に言ってみた。

 

私「せっかく来たんだしさ、焚き火とかしてみたいよねー。ほら薪とかも売ってるし…」

 

 

妻「タープも張れない奴が100年早いわ!」

 

私「……」

 

言い返す言葉がない。ごもっともである。多分私が火を起こしたら子どもを危険な目に遭わせる可能性もある。妻の判断は賢明だ。でも火とか燃やしてみたいじゃない?だって男の子だもの…。

 

かくして私のファーストキャンプは苦い思い出と共に終わったのである。

 

しかし、そんなキャンプでも子どもは楽しかったらしく、数週間後にすぐ2回目のキャンプに行く事になった。

 

私も流石に前回の二の舞はしない、と心に決め、YouTubeにてタープの張り方を何度も見た。

 

さらに前回付属のロープの細さに頼りなさを感じたのでAmazonにてそれっぽいのを購入。

今度こそ、という決意を持って2回目に臨んだわけである。

 

タープを広げ、事前に動画を見ていた通りの角度にペグを打つ。この時斜めに入れれば抜けにくい。よし、予習通りだ。

 

一本目のポールが立ち、2本目も…これが安定しないのである。なんせこの日は強風である。

 

ポールの間でタープがバサバサ揺れる。風を受けるとこんなにも強い力が掛かるのか。ポールがグラグラ揺れてなかなか安定しない。そのうちにまたロープが抜けてしまう。

 

そうこうしているうちにポールを支えさせていた娘(5歳)が言う。

 

「ねぇパパまだ?」

 

「もう遊びたいんだけど?」

 

繰り返される記憶。

 

「歴史は繰り返さないが韻を踏む」と言ったのはアメリカの作家マーク・トウェインだったか。この状況、前回と場所が違うだけで完全に韻を踏んでいる…。

 

そうこうする間にもタープは風を受けてバサバサと揺れつづける。風を受けてポールもグラグラと安定しない……。

 

 

やばいこのままでは……。

 

またしても言われてしまう…。

 

「もういい。タープ要らない」

 

やはり出た、、妻からのタープ不要宣言。繰り返された歴史。

 

頑張ってYouTube見てきたのに、ロープまで買ったのに…。結局強風のためガスコンロによる調理もままならず、2回目のキャンプは散々な結果になったのである。

 

かくしてキャンプは強烈な失敗体験を私に与えた。何が自然体験でストレス発散じゃ!かえってストレス溜まるわ!と1人ごちたのだった。

 

かくして、今日3月31日。

 

新年度前、最後の休日だが、妻と子が実家に行っていることもあり、部活もなく、久しぶりに1人の時間を過ごす事が出来たのである。

 

私はこの貴重な休日をどう過ごすか、心に決めていたのである。

 

「もう一度タープに挑戦しよう」と

 

とてもじゃないが子どもがいると落ち着いて作業ができないと思ったのだ。まずは自分1人で練習を積みたい。

 

またしてもYouTubeで動画を見て、イメージトレーニングをしてからタープに挑む。

 

最初にポールの長さとロープを同じくらいにしておくのがポイントで…

 

ペグの位置を目印がわりにして…

 

取り掛かること30分ほど…。

 

出来た。

 

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私がいかに嬉しかったか。

 

やれば出来るのだ私も。嬉しくて何度も写真を撮ってしまった。

 

まだまだ上手い人に比べれば張りが甘いし、時間もかかっているが、それでもイメージ通りの場所に、それも1人で立てる事ができた。

 

本当は焚き火もしたかったのだが、いざ色々見てみると、焚き火をするには必要な物品が多いのである。

 

私みたいな賃貸暮らしでスペースのない暮らしをしている人間としてはあまり物を増やしたくもない。

 

だから今回もガスコンロを持参。

 

フライパンをおいて、昨日の夜に仕込んできた焼き鳥を適当に並べる。

 

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味付けは適当に。

 

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完成。

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何これ超美味いんですけど。ここ最近食べた中で一番美味いかも。っていうか外で食べるだけで美味いんですよね。

 

結局1人で全て食べ切る。

 

更に家にあったバウルーを用意。

 

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ここにパンとチーズとウィンナーを適当に挟んで。

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焼く。

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何これ超美味いんですけど。

 

本当はもう一品作ろうと思ってたんですけど、もうこの時点でお腹いっぱい。

 

でもいいのだ、タープ張れたから。

 

前よりも少しだけ前に進めたから。

 

他のキャンパーからしたら当たり前かもしれないが、私からしたら大きな一歩だ。

 

常々思うのだが、物事をつまらなくする要因は「人と比べること」なのだなと思う。

 

人と比べるからガスコンロを使っていることが恥ずかしいし、タープを張れない事が恥ずかしいと思うのだ。

 

あくまで他者ではなく、自分が何を出来るようになったのかを見つめれば、こんな事でもとても楽しい。

 

次は違う張り方が出来ないかなと思い、今ネットで新しいペグとポールを注文しているところだ。

 

自分のペースで少しずつ出来ることを増やしていければ、それで良いのではないかと今は思っている。きっと趣味でも仕事でもそれは同じだろう。

 

さて、年度内最後の休日はそんな良い一日になった。

 

明日から4月だ。来年度も頑張ろう。