教職者K

教育について考えるブログ。

授業内で生徒指導はもうやっちゃおうよっていう話

f:id:suno200002000:20240114102203p:image

教員の間でよく「うちの学校は生徒指導が多い」とか「生徒指導ない学校でいいよね」っていう言葉がよく使われるんですけど。

 

この文脈で使われる時の『生徒指導』っていう言葉は「何か問題が起きてからの指導」であり、「ヤンチャな子たちに対しての指導」っていう意味を指しています。

 

そして、生徒指導とはそういうものだっていうイメージをもっている人が教員にもとても多いんですけど、これはもう過去の話であり、間違いなんですね。

改訂された生徒指導提要では、何か起きてからではなく、物事が起こる前の事前指導の重要性を訴えていますし、特定の子しか対象にならない事後指導よりも、すべての子が対象になる日常の関わりこそが教員が注力すべき生徒指導であるとされています。

 

そして生徒指導提要の中では『生徒指導実践上の視点』として四つの視点が示されています。

 

この四つの視点は特別な場だけでなく、いつもの授業、普段の生活から意識することができるので、日頃からこの四つを意識して指導にあたることが大切です。

 

以下にその四つを紹介します。

『自己存在感の感受』

まず一つ目、自己存在感の感受。自分がここに存在している、所属している意義が実感できる。そんなクラスになっていることが大事です。

 

授業でいえば、指名に偏りがあって一部の生徒だけが活躍するような授業ではよくないでしょう。

 

また学力の低い子は常に授業中に疎外感を感じています。だからこそ、どんな学力の子でも参加できる場面があるか、授業でそういうった子達への支援が考えられているかはとても大事です。

 

私は社会科の担当なので、どんな子でも参加できるようなクイズを挟んだり、ゲームを挟み込んでみたりしています。少しの工夫をするだけでも子ども達の参加率は上がるんですね。

 

分からない子にヒントを用意したりする先生もいますね。

 

そうやっていかに工夫をして、日常から子ども達に自己存在感を感受させるかは教員の腕の見せ所だと思います。

 

『共感的な人間関係の育成』

そして二つ目がこの「共感的な人間関係の育成」です。クラスに友達がいるってそれだけで学校に行く目的になるんですよね。

 

だからいかに人間関係をつくっていくか。そのきっかけ作りみたいなものが教員には求められる訳です。

 

授業においては学活におけるグループエンカウンターみたいなのものがよく使われる手法として挙げられます。

 

ただそういうちょっと特別な時間だけの話ではなくて、普段の授業からグループとかペアでの活動がちゃんと設定されていて、適切に運用されているかがとても大事だと思います。

 

授業で見ていると関係性があまりできていないグループだったりすると、すぐに話が途切れたり、顔を合わせない子もいます。そういうグループには教員が入ってうまく会話を繋いであげる。

 

そんな人間関係づくりのサポートも教員の大切な仕事です。

 

(私は意見が途切れやすいので授業内ではあまり推奨しませんが、みんなから拍手がもらえる場面があるなんていうのも良いでしょう)

 

『自己決定の場の提供』

また「自己決定の場の提供」も示されました。様々な人間関係のトラブルや進路への不安を解消していけるようになるためには、自己決定する経験が大事なんですね。親に決められてばかりでは世の中生きていけませんから。

 

授業内でいえば、対立が生まれるような発問を設定する。私も授業をやる上ではまず対立が生まれる発問にできないか考えます。

 

対立が生まれた方が意見交換が楽しいんですね。お互いの意見の違いを聞いてみたくなるから。そして、相手の意見を聞くやり取りがされるようになれば、それが上の共感的な人間関係の構築にも繋がっていきます。

 

また私の授業では最後に自分の意見をノートにまとめる時間を設定して最終的な自分の意見をもつように促しています。

 

これも自己決定させるための手立てとして設定しています。そして、それが出来るようにするためには授業の流れの分かる板書作りも重要だと言えます。

 

そんな工夫をしながら、生徒に学校生活の中で自己決定させる事が大切です。

 

『安全・安心な風土』

そして最後は安全・安心な風土です。自分の意見を笑われない、ちゃんと聞いてもらえるっていうのはとても大切なんですね。

 

喋っても最後まで聞いてもらえなかったり、馬鹿にされたりする空気があるとビクビクして学習に集中出来ませんから、学力も伸びません。

 

なので、授業内で人を馬鹿にしたり、人権を侵害するような発言に対してはしっかりと指導しなければなりません。

 

そうやって教員が言うべき時に言ってくれるという姿勢は、子ども達の安心に繋がります。当然日頃からそういう指導をされているクラスはトラブルが少なくなるわけです。

 

最後に

見てきて分かるように生徒指導と教科指導は別々のものでなく、大きく重なっています。しっかりと生徒指導ができているクラスは学力も伸びるのです。

 

なので私は日頃からこの四つの視点を意識して教育活動にあたっていますし、常にこの四つが組み込まれた授業になるように自分の授業を構成しています。

 

日頃から工夫されている先生は多いと思いますが、ちょっとそれにどんな意義があるのか上に当てはめて考えてみると幅が広がると思います。

 

皆さんの授業づくりの参考になれば幸いです。

 

読んでいただき、ありがとうございました!